偽装同盟

  • 集英社 (2021年12月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784087717761

作品紹介・あらすじ

「ナショナリズムの台頭、格差の拡大……
すぐれたエンターテインメント小説は時代の空気を反映する」
佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)推薦!

日露戦争に「負けた」日本。
ロシアの属国と化した地で、男は、警察官の矜持を貫けるのか。

日露戦争終結から12年たった大正6年。敗戦国の日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。3月、警視庁の新堂は連続強盗事件の容疑者を捕らえるが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。
新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ……。
「もうひとつの大正」を描く、入魂の改変歴史警察小説、第二弾。

【著者プロフィール】

佐々木譲(ささき・じょう)
1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」で第55回オール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞長編部門、第8回日本冒険小説協会大賞、第3回山本周五郎賞を受賞。2002年『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞。16年に第20回日本ミステリー文学大賞を受賞。『ベルリン飛行指令』『制服捜査』『警官の血』『警官の条件』『沈黙法廷』『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

感想・レビュー・書評

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  •  「抵抗都市」につづく歴史改変警察小説の第2部。日露戦争に敗れた日本は、「二帝同盟」の名の下にロシアに従属させられていた。

     前作から数か月が経過しているが、神田明神下で身元不明の若い女性の死体が発見される。前作に登場した新堂が捜査にあたる。
     その頃、ロシアでは民衆のデモに端を発した騒乱が起きていた。これが後の二月革命へとつながっていく。

     前作同様に、ロシアの半占領下の大正時代の東京をあたかも見てきたかのように、綿密に描いている。
     ロシア帝国の崩壊後の日露の「二帝同盟」という名の従属関係はどうなるのか。第3部が待ち遠しい。

  • 太平洋戦争で敗れ米国に進駐された史実を、日露戦争に敗れロシアに進駐されたという設定に変え、様々な露側の横柄な妨害の中、殺人事件を捜査するという警察官の物語。

  • ミステリーとしては? だけど雰囲気は読ませる。続編もありそう。

  • もし歴史がこうだったら、という設定が面白い。地理的な説明はもう少し省いて謎解きを充実させるともっと良くなる。関連事件がまだ解決してないので近日中に続編あるのか?

  • 時期は、ロシア革命が起きた事の話になっています。

    日本とロシアが“同盟関係”になっていたとして、そのころにロシア革命が起きていたら、こういう騒然とした雰囲気だったんでしょうかね?

    そういう政治状況の変化が、犯罪捜査へも影響を与えていることが描写されています。最初は、統監部に気を使っていて・・・。

    描かれている事件は、よく考えてみれば数多ある設定です。でもそれが、この物語にある様な政治背景の下に発生すると、ややこしくなるんですね。

  • 日本が日露戦争に敗北し、『二帝同盟』が結ばれ、軍事権外交権をロシア帝国に委ねている世界。 
    『抵抗都市』の続編 
    特務巡査・新堂裕作が主人公なのは前作と同様。 
    今回は、ある洋装女性の絞殺事件の真相を探ることがメイン。 
    戦勝国ロシア帝国への羨望と我が身の現実。 
    そこから生まれる悲劇は、実史の太平洋戦争終戦後の日本でもあった事なのと思う。 
    1917年3月3日に起こった世界を揺るがす大事件は、この世界でも発生します。 
    はたして、この世界の日本は、どう動くのでしょうか? 
    まぁ、『帝国の弔砲』でさくっと語られてはいるけどね。
    主人公・新堂と前作のヒロイン?の行く末も気になる・・・。 

  • 時代考察が面白くてなかなかです

  • 「抵抗都市」の続編。「抵抗都市」を読んでなくても問題ないが、読んでた方が楽しめる。本作は前作での虚実がわかっているという前提でストーリが展開するので物語に没頭できる。帯に佐藤優氏も語っているが今の時代の空気を反映する大人のエンタメ小説だと思う。このタラレバの相手が中国に置き換わる近未来が想像できるだけに非常に恐ろしくかつ興味深い。前作よりも数段小説として完成度が高く面白かった。

  • 露都で二月革命が進行する中で、東京での殺人事件調査。歴史を揺るがすような大きなテーマに感じられなかったので少しスケールダウンの印象。
    とはいえニュースが小出しで伝わるもどかしさ、大正期東京の独特の空気感等ディテールの細かさはさすが。

  • 今回は前作の余韻(日韓併合、60年代の日米安保闘争、周辺事態法反対運動の変奏曲)を背景としながらも(読者に前作同様の期待をさせつつも)、こじんまりとまとめた感のある警察小説。大山鳴動して鼠一匹だが、第三部につなげる間奏曲となるのだろう。

  • 151抵抗都市の続編。やっと帝国消滅まで来たけど、ホンマに大変なのはこれからやで、と刑事さんたちにお伝えしたいですなあ。ご高齢にも関わらず連続しての大作二冊、大変面白く拝読しました。今度は第二次世界大戦に勝ったお国の姿も読みたいですが。

  • たいした話ではないような。

  • 改変歴史警察小説というテイストを除くとそれほどの話ではないような。

  • 改変歴史警察小説第二弾。推理だけでなく“お大変”“あいまい宿”含蓄ある言葉も楽しい。きっと第三弾もあるんだろうなー。一部、正史もなぞっていて頭こんがらがってくる。

  •  舞台が、日露戦争に敗戦した日本、というロシア絡みでなければ、この続編も読んではなかったろう。
    歴史改変小説というらしい。前作『抵抗都市』( https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4087716902 )の続編。というか、わずか半年ほど後のお話だ。

     いかにも続編というか、さらに第3作まで書いてもらわないと、なんともおさまりが悪いという、中途半端な作品となっている。前作で舞台設定は分かったし、ロシア帝国が牛耳る日本という世界観も本作ではなんの新鮮味もない。その中で起こる事件も(そして結果としての真相)も、実にこじんまりとして読後満足感に乏しい。本作だけだと、どこに面白さを見出してよいのか分からないほど。

     元よりロシア帝国の崩壊、ソビエト連邦勃興というタイミングを選んで時代選定だったのかもしれない。
     第3作に期待をするしかない。

  • 日露戦争の後の日本の現状とそこでの殺人事件を追う刑事のミステリー小説だ。まるでテレビ番組の刑事物語を見ている様で楽しく読んだ。なかなか面白かった。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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