生者のポエトリー

  • 集英社 (2022年4月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087717921

作品紹介・あらすじ

“詩"は人をつよくする――。
トラウマを抱え言葉をうまく発することができない青年・悠平が、急きょ舞台で詩を披露することになり……。(「テレパスくそくらえ」)
最愛の妻を亡くした元気象庁技官・公伸は、喪失の日々のなかで一編の詩に出会う。(「幻の月」)
学習支援教室の指導員・聡美と、ブラジル出身の少女・ジュリアの心を繋いだのは、初めて日本語で挑戦した詩だった。(「あしたになったら」)
……ほか、人生の大切な一歩を踏み出す、その一瞬を鮮やかに描いた全6編。逆境のなかで紡がれた詩が明日を切り拓く、心震わす連作短編集。

【著者紹介】
岩井圭也 いわい・けいや
1987年、大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー。著書に『夏の陰』『文身』『プリズン・ドクター』『水よ踊れ』『この夜が明ければ』『竜血の山』などがある。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

詩をテーマにしたこの連作短編集は、様々な人々が自らの内面を言葉にし、聴衆の前で披露する姿を描いています。トラウマを抱えた青年や、言葉に苦しむ少女など、それぞれの心の声が詩となり、物語が少しずつ繋がって...

感想・レビュー・書評

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  • この作品のテーマは「詩」。
    詩は短すぎて何が言いたいのかよくわからないので苦手。
    もう少しわかりやすく書いて…と思ってしまい、詩の良さがわからない。
    だから詩の世界を知りたいと思った。

    全6編の短編。
    トラウマを抱えて人前で言葉を発することができない青年や、親の都合で日本に来て日本語が上手く話せないブラジル出身の少女など、それぞれの心の声が詩になり、詩によって6つの話が少しずつ繋がっていく。

    正直、やっぱり私にはこの作品の中にある詩も良さがあまりわからなかった。
    でもパッションはビシビシ伝わってきた。
    自分の奥底に眠る深い想いが込められていた。

    詩とカタチは違うけど、心の内側をさらけ出すという点では、ブクログレビューとも似てる部分があると思った。
    私は文章が上手くないし、後から見ると恥ずかしくなるけど、その時に思った自分の正直な心の中を書いてる。
    同じ本を読んでも人によって感じることは違って、レビューにはそれぞれの人の想いが詰まってる。

    そう思うと詩に対する親近感も湧いてきた。
    詩は特別なものでも難しいものでもなくて、誰でも自由に読んで良いんだと、詩への抵抗感もなくなった。さすが岩井さん!

    詩が好きな人にはもっと刺さると思う。

    • 1Q84O1さん
      な、なんか照れくさいです(*ノェノ)キャー
      いつもコメント欄に集まってくる輩たちには褒められないので、Naotyさんにそんなこと言われるとな...
      な、なんか照れくさいです(*ノェノ)キャー
      いつもコメント欄に集まってくる輩たちには褒められないので、Naotyさんにそんなこと言われるとなんか照れちゃいます(*ノω・*)テヘ
      2025/04/12
    • shintak5555さん
      いつも素敵な1Qさま!きゃっ(ღ♡‿♡ღ)
      いつも素敵な1Qさま!きゃっ(ღ♡‿♡ღ)
      2025/04/12
    • 1Q84O1さん
      shintakさん

      騙されないぞ!( ー`дー´)キリッ
      shintakさん

      騙されないぞ!( ー`дー´)キリッ
      2025/04/12
  • いい小説を読んだと思いました。
    詩を創り朗読する人たちの連作短編集。
    各編ともにその主人公が創った詩が載っています。

    「テレパスくそくらえ」
    中学生の時場面間黙症で壮絶ないじめに遭っていた悠平25歳。日雇いのバイトで知り合った久太のライブを勇気を出して観に行くと、久太に場つなぎに詩の朗読を頼まれます。

    「夜更けのラテ蘭」
    大学生の千紗子は遊び人の恋人に書いていた詩を「ポエム」とバカにされます。そして大学祭で千沙子は思い切って自作の詩を朗読します。

    「最初から行き止まりだった」
    ヒップホップをやっている拓斗25歳は前科がありその時に迷惑をかけた友人がいます。ラジオで詩を朗読する女性(千沙子)を羨ましく思い、路上ライブをします。

    「幻の月」
    古希を迎えた公伸は妻に4年前先立たれました。妻の杏子が活動していた朗読のサークルの発表会で、公伸は妻との思い出の詩を朗読します。

    「あしたになったら」
    帰国子女で専業主婦の聡美が教える外国人の学習支援教室にやってきた、ブラジルからきた小学五年生のジュリアは日本の詩がとても好きでした。ある日突然教室に来なくなったジュリアが最後に聡美に母親とケンかをして教室に来られなくなったと詫びに来ます。
    母親はジュリアがポルトガル語を忘れるといけないからやめさせたのだといいます。

    この話が一番胸に響きました。

    私の友人も同じくブラジルで日本語教室とアートスクールの先生をやっています。その様子を毎日のように彼女がFacebookに載せているのを私も見ています。友人の熱い思いが再現されているかのように読みました。

    ジュリアが日本語の詩に熱心なのはとてもよくわかり胸を撃たれます。聡美は彼女なりの自由が見つかるといい。その手助けが果たして私にできるだろうかと思っていた矢先の別れでした。
    ジュリアの詩を読んで「やっぱりこの子は、言葉で他人に伝えるべきことが何かよく知っている」と聡美が想ったところに深く共感しました。

    ジュリアの書いた詩
    「あしたになったら」
    あしたになったら
    となりのまちまで いってみよう
    しらないみちを あるいてみよう
    あしたになったら
    あたらしいともだちを つくろう
    ゆうきをだして はなしかけよう
    あしたになったら 
    おかあさんと ごはんをたべよう
    おいしいおかずを かっていこう
    あしたになったら
    うまれたまちに でんわをしよう
    どこにいても わすれないように

    「街角の詩」
    押本勇也は公務員で詩を書き起こす仕事をしています。
    詩で街おこしをする<街角の詩>というプロジェクトのためですが、上司の逮捕によって中止になってしまいます。
    勇也は思います。
    「地球上のあらゆる街には、詩が溢れている。けれどそのことに気が付いている人はあまりに少ない」


    どれだけたくさんの銃口を向けても
    思い出は殺せない
    触れれば火傷するような炎でも、
    歌声は焼き尽くせない
    重機で振るうハンマーでも
    言葉は潰せない


    われわれが生きていくのに
    詩を叫ぶ以外の理由があるかい?

    • まことさん
      koalajさん。こんばんは♪

      コメントは初めてですね!
      ありがとうございます。

      読んでくださったのですね!
      ありがとうございます。
      k...
      koalajさん。こんばんは♪

      コメントは初めてですね!
      ありがとうございます。

      読んでくださったのですね!
      ありがとうございます。
      koalajさんとは、以前にも、江國香織さんの童話集や、伊坂幸太郎さんの、作品の、レビューに、「ブク友さんのブックリストを見て読みました」と言うのが、何度かあって、私もブックリストに、その作品を載せていたので、「もしかして、私のことかな、コメントしてみようかな、でも、違うかもしれないし」と言うことがありました。真相はどうでしょうか。

      岩井圭也さんは、私は4作読んでいると思いますが、この作品が一番好みでした。
      よさがわかってくださる方がいて、とても嬉しいです!

      こちらこそ、これからも、よろしくお願いいたします。
      2022/11/11
    • koalajさん
      まことさん、ありがとうございます♪
      そうです!江國香織さんの童話集や伊坂幸太郎さんも、まことさんのレビューを見て読んだんですよー。失礼しまし...
      まことさん、ありがとうございます♪
      そうです!江國香織さんの童話集や伊坂幸太郎さんも、まことさんのレビューを見て読んだんですよー。失礼しました。

      遅ればせながら、ご本人が「自分かな?」とわからないことに気づきまして、今回からコメントを送ることにしました。

      まことさんは本当にたくさん本を読んでいらっしゃいますねーいつも感心しています。
      私は読むのは遅いんですが、これからも皆さんのお薦めも参考にしながら読書を楽しんでいきたいです。ホラーはちょっとダメですけどね。これからもよろしくです♪
      2022/11/11
    • まことさん
      koalajさん♪

      やっぱり、そうだったのですね!
      とても嬉しいです。
      コメントありがとうございます。

      私は、ブクログはまだ、4年と2か...
      koalajさん♪

      やっぱり、そうだったのですね!
      とても嬉しいです。
      コメントありがとうございます。

      私は、ブクログはまだ、4年と2か月で、もっとたくさん、読まれていらっしゃる方いらっしゃいます。
      でも、私も自慢ではありませんが、ブクログ登録前に読んだ本のほうが、まだ多いです。
      でもレビューにするのが、ちょっと頭を使わないとできないですね。

      こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
      2022/11/11
  •  この作品は詩をテーマにした連作短編集になります。この作品では様々な人たちが自らの思いの丈を、詩に込めて聴衆を前に披露します。詩を披露することで、それぞれの中で何かが変わっていきます。

    「テレパスくそくらえ」場面緘黙症の青年
    「夜更けのラテ蘭」浮気性な彼に悩まされる女子大生
    「最初から行き止まりだった」犯罪の前科のある青年
    「幻の月」妻に先立たれた初老の男性
    「あしたになったら」ブラジルから来日した女の子
    「街角の詩」詩を集めた企画を取りまとめる非正規職員

     言葉を吐き出すことって難しいですよね…。私にとっては難しくって、ほとんど詩を作ったことがないんですよね…。でも、この作品を読むと詩ってそんなに構えなくともいいのかなって!ちょっと作ってみたくもなります。多分できないでしょうけど(^-^;

    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      あはは…そこはさらっと流してほしかった^^;
      いえいえ、詩は作れないかと…
      私にはそんな才能な...
      1Q84O1さん、おはようございます。
      あはは…そこはさらっと流してほしかった^^;
      いえいえ、詩は作れないかと…
      私にはそんな才能ないし…
      2024/08/11
    • 1Q84O1さん
      がっつり食い付きましたよ( ̄ー ̄)ニヤリ
      がっつり食い付きましたよ( ̄ー ̄)ニヤリ
      2024/08/11
    • かなさん
      1Q8401さん、おはようございます。
      そんなに、ガッツリ食いつかないでくださいな^^;
      でも、詩へのハードルはちょっとだけ低くなりまし...
      1Q8401さん、おはようございます。
      そんなに、ガッツリ食いつかないでくださいな^^;
      でも、詩へのハードルはちょっとだけ低くなりました!
      2024/08/15
  • 詩って良いなぁ。

    今なら作れるかも。

    もう全部叫んで海に沈めたい。。
    本当に消耗した。
    はー、いったい何だったのだろうか。

  • ねぇ…?
    心に抱えていない…?

    口にはできない、

    不安を…

    想いを…

    不満を…

    怒りを…

    哀しみを…

    心の傷を…


    もし、そうなら表現してみない?

    『詩』で

    上手くても下手でもそんなことはどうでもいい

    自分の想いを言葉に込めて
    自分の素直な表現で書く
    それが大事だ!


    そして、吐き出してみない…?
    このモヤモヤした気持ちを
    詩に表現した想いを

    小さな声でもいい
    噛んでしまってもいい
    叫んでもいい
    自分が想うがままに表現すればいい


    そうすれば…、

    心の曇りも、きっと晴れるだろう!

    そんな一冊でした

    • 1Q84O1さん
      どんぐりさん

      これも良かった〜
      新刊も良かった〜
      白銀も良かった〜
      結局、全部良いんですよ(*´ω`*)
      岩井さん良いですわ〜!
      どんぐりさん

      これも良かった〜
      新刊も良かった〜
      白銀も良かった〜
      結局、全部良いんですよ(*´ω`*)
      岩井さん良いですわ〜!
      2024/11/17
    • shintak5555さん
      白銀読み終わりました!
      えっ?女性作家さんが書いたんちゃうって印象でしたσ(^_^;)
      作風の幅が広すぎる!
      白銀読み終わりました!
      えっ?女性作家さんが書いたんちゃうって印象でしたσ(^_^;)
      作風の幅が広すぎる!
      2024/11/17
    • 1Q84O1さん
      ほんと作風の幅が広すぎですよね〜
      で、どの作品も面白いので最高です(≧∇≦)b
      ほんと作風の幅が広すぎですよね〜
      で、どの作品も面白いので最高です(≧∇≦)b
      2024/11/17
  • 「いい小説を読んだと思いました」という
    ブク友さんのレビューに惹かれて手にとりました。
    ありがとうございます!

    詩という形で自分の思いを言葉にして大切にしまっていた主人公たち。それをほかの人の前で朗読する状況に。はじめは戸惑いながらも、一歩踏み出し朗読することで何かが変わり始める。
    そして、それを偶然聴いた人の心にも響いて、
    またその人の生き方にも波及していく。

    たいへん熱量のある小説。良かったです!

  • これまでに読んだものとは全く違う岩井作品。岩井氏は詩や俳句もお好きなのですね。少し前に読んだ『楽園の犬』の主人公、麻田健吾。彼が遺した辞世の句が重要な役割を果たしたのを思い出しました。その句があったからこそ、遺書が無事に息子の手に渡ったのでした。

    オムニバス形式で語られる6つの作品。ある人物の詩が、他の人の心を打ちます。そしてその人が書いた詩が また別の人の心に触れ…。普通の生活では言葉にできない心の叫び。それらが詩に乗って次から次へと人の心に伝播していく様子が語られます。

    私は詩に触れる機会があまりありません。詩は個人的な叫びを凝縮したものだから、解釈が難しいな と思ってしまうのです。物語の中では、詩の作者のバックグラウンドがしっかり描かれていたのですが…。

    手あたり次第に借りてきた岩井作品はここまで。図書館から予約本貸し出しOKのメールが届いたので、少し離れることになりそう。でも、まだまだ追いかけます、岩井圭也さん。

    • 1Q84O1さん
      そりゃ、yyさんのことなら何でもお見通しですよ〜( ̄ー ̄)ニヤリ
      (怖っ!)
      なぜなら、私も予約本ラッシュにあいそうな予感なのです…
      ちょっ...
      そりゃ、yyさんのことなら何でもお見通しですよ〜( ̄ー ̄)ニヤリ
      (怖っ!)
      なぜなら、私も予約本ラッシュにあいそうな予感なのです…
      ちょっとタイミングがズレてまわってきてくれる有り難いのですが…^^;
      2025/05/13
    • Naotyさん
      yyさん
      岩井祭りラストはこの作品だったんですね!
      この作品を読んで「詩」に対しての苦手意識やハードルが下がったので、とても印象に残ってます...
      yyさん
      岩井祭りラストはこの作品だったんですね!
      この作品を読んで「詩」に対しての苦手意識やハードルが下がったので、とても印象に残ってます^_^

      自分の岩井フェアが終わってからも、yyさんの岩井祭りのおかげでずっと楽しかったです(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      私もパート2楽しみにしてますね☆

      予約本って、今じゃない!ってタイミングが多いですよね(^_^;)
      2025/05/13
    • yyさん
      Naoty さん、まったくそうよね
      (。'-')(。,_,)ウンウン
      お陰で「推し」が増えて楽しい。
      ありがとうございます ♡°。⋆⸜(*...
      Naoty さん、まったくそうよね
      (。'-')(。,_,)ウンウン
      お陰で「推し」が増えて楽しい。
      ありがとうございます ♡°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
      2025/05/13
  • 6つの短編
    年齢もさまざまな人達
    誰もが自分の置かれた環境に悩んでいる。
    悩みもそれぞれ
    自分な心を見つめて吐き出す。
    まさに吐き出すと言う表現が相応しい。

    詩は難しいと思っていた…
    思いすぎていたかもしれないと思った。


    われわれが生きていくのに
    詩を叫ぶ以外の理由があるかい?

    「詩」に対する熱い思いが込められた
    そんな一冊でした♪

  • 読書備忘録778号。
    ★★★★★。

    素晴らしい物語でした。
    これまで生きてきて、最も遠いところにあった詩というモノの持つ力を感じることが出来ました。

    詩の持つ力で前を向いて生きていこうと藻掻く6人の物語から構成され、物語から物語へタスキのように魂の力が伝わっていきます。

    顔面緘黙症の青年はコミュニケーションで苦しんできた思いをライブハウスでぶつける。
    女子大学生は人を見下すことしか出来ない彼氏との決別をコミュニティFMでぶつける。
    犯罪を犯した青年は暴力と犯罪でしか自己表現できなかった地区で育った思いを街頭ライブでぶつける。
    妻に先立たれた高齢男性は妻に対する感謝を朗読会でぶつける。
    外国にルーツを持つ少女は、日本も故郷もどちらも大切だということを母親にぶつける。

    自治体の企画「街角の詩」。非正規公務員の青年は事務的に企画の担当をしているうちに自分の中に変化を感じる。この企画は絶対に成功させる!しかし企画は中止になった。青年は企画を引き取り、詩を世界にネット発信することにした。
    ライブハウスで収録、コミュニティFMで収録、朗読会で収録、そして収録会を開催して収録。そして発信。

    地球の裏側。内戦が続く街で、ネット越しに外国語で語られる詩を聴いた少女。内容は分からない。でもわかる。絶対に死んでたまるか!

    胸をうたれました・・・。

  • 私は詩を書く事はしませんが、読むのは好きなので最近ニュースで誰かの発言をポエム?という風に言われてしまうのがちょっと悲しいなと思っていました。
    この本を読むと改めて詩とはなんなのかを考えさせられます。
    そして誰にでも自分の気持ちを伝える場、表現できる場所があれば良いなと。
    この本を読めて良かったです。

  • 詩を作る、朗読する。普通に生きていると恥ずかしくてそんな事出来ないと思ってしまいます。でも誰でも言葉を連ねる事で作れるのが詩です。巧拙もテクニックも気にせず心の赴くまま言葉を連ねる。それが自分表現になるし、人の心を打ったりします。
    そしてなんらかの形で人前で朗読をする、いわゆるポエトリーリーディングです。

    本作はそんな世界に飛び込んで自分の世界を広げて行った人々の連作短編集です
    心の中に色々な事を抱え込んでそれを吐き出せず苦しい人々が、詩という手段を得てほとばしらせる叫びがとても胸を打ちます。

  • ポエトリー、詩をめぐる連作短編集。

    少し乾いた尖った話が多かったものの、詩とはあらゆる感情が表現されているものだから。

    そういえば、小学校のときは授業でよく詩を書かされたなぁ。詩の表彰とかもあって、日常的に触れていた気がする。

    詩と小説、対極にあるような気もするが、うまく融合されている。

  • 言葉の大切さを改めて実感する物語。ある街を舞台に「詩」を紡ぐ人たちを描いた短編集。ラストは1つに収束していくため連作短編とも言える。特に後半以降の「幻の月」「あしたになったら」あたりは「詩」を読むシーンでこらえられない思いがあふれてきた。「詩」というテーマが中々に秀逸で文章よりも短いため伝えたい感情をダイレクトにのせることが出来る。登場人物たちの感情が見事なまでに形成されている、ありがちだけれども良い作品だったと思う。作者の岩井さんは初読みだったが、様々なジャンルを書き分けられるタイプなので別作品も期待。

  • 『夏の陰』『文身』『水よ踊れ』『流血の山』と追いかけてきた岩井圭也の新しい魅力発見。
    今までと描く地平が全く違う、温度も湿度も違う、世界も違う、だけど、やっぱりこれは岩井圭也なんだ、と思う一冊。

    「ポエマー」という言葉を誰かを表現するときに使うと、それは少しその人を揶揄するような、小ばかにするような、そんな意味が含まれることが多い。
    詩を書くことは現実から逃避した、なにか夢み心地な、そういう世界というイメージ。

    『生者のポエトリー』は「詩」を通して自分を、自分の過去を、今を、そして未来を見つけていく人たちを描いた連作短編集。
    詩、って不思議なものだとしみじみと思う。面と向かっては言えない気持ちや、自分でも持て余しているようなもやもやをとりあえず文字にして並べてみると、なんだかすっきりしたりして。
    ルールやきまりや見栄えや出来や、そんなことなにもかもすっとばしてとにかく気持ちよければいいんだ、という潔さ。
    熱かったり冷たかったり、優しかったり厳しかったり、包み込んでくれたり突き放されたり、救われたり見捨てられたり。そんなたくさんの感情や思いが、誰かの詩として届いてくる。
    そして、詩は目で読むだけじゃなく、誰かの声で届くことで、また新しい何かが生まれる。
    たくさんの思いを込めた詩が降りそそぐ。言葉が舞い踊る草原で、熱い思いを受け取った。確かにここに届いた。

  • 詩をテーマにした連作短編集。
    詩を書き朗読する事で、前を向き生きる力を身に付けていく。

  • やっぱりこの作者の作品は熱量がある。思いが胸に迫る。一人でも多くの人に読んでもらうにはどうしたら良いんだろうね?

  • 「水よ踊れ」の岩井圭也だから期待しない手はない、そしてやっぱり傑作の連作短編小説。

    詩を書き、詩を詠むことで人生を生き抜く人たちの物語。短編6つはそれぞれ薄くつながっていて、その構成は小説で良くあるパターンなのだが、独特なのは詩をつないでいくパタンだということ。小説のつながりには必ず詩を読むOR聞くが絡んでくる。

    どの掌編も、この世の中を生きづらかったり重いものを背負っていたりする人が主人公。中には重すぎて読んでいるだけでツラい境遇の人もいる。そんな彼らも人生を歩んでいかねばならないわけで、そんな時大きな力になるのが「詩」なのである。

    俺は詩については、まったくもって不熱心な方で、疎いこと限りなし…なんだが、この本を読んで、詩を声に出して読んでみるのもいいかもなぁ、って思えた。
    これから先、何かで生きていくのがどうにもツラくなったときは、詩を叫んでみようと思った。

  • 詩をテーマに据えているお話は珍しいのじゃないかと思った。
    途中まで普通だなと読み流してたけど、「あしたになったら」が良かった。

    学習支援員の主婦が、ブラジルから来た少女に彼女なりのLiberty(自由)が見つかるといいと願い、力になれたらと思うところ。

    自分の言葉を紡げるって、自由になることだと思うから。

    (あ、でも支援教室の先生としては立ち入りすぎではと思う。少女のお母さんの言うことももっともで、気持ちもとてもよくわかる。)


  • 社会派エンタメ作家。なるほど、周りにはこんな人たちもいるかもしれない。暗い部分に目を向けさせられる。
    逆境の中で詩があかりとなって、それが生命力となる人たちの6人の短編。

    どれだけたくさんの銃口を向けても
    思い出は殺せない
    触れれば火傷するような炎でも
    歌声は焼き尽くせない
    重機で振るうハンマーでも
    言葉は潰せない

    本文より

    国外にも届いて欲しいですね

  • 久しぶりに小説で泣いた。
    作者はエモい小説を書く人だと思っていたが、今回は特に胸を打つ。
    作中の人物の詩がまたよい。生きていく上で、やりきれないこと、抜け出せない逆境、消化できない気持ちは必ず生じる。でもそこで、借り物ではない、自分のことばを発したとき、たしかに何かが変わる。プログラムではない、不完全で変化し続ける人間だからこそ、生まれることば。それは人に伝わり、受け取られることで意味をなす。誰かの脳を振るわせ、心を動かす。そしてまた新たなことばが生まれる。
    ある短編の主役の詩が、次の短編の主役に影響を与えるという、連作短編形式がバッチリはまっていた。
    岩井圭也、腕のある作家だ。

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著者プロフィール

いわい・けいや 小説家。1987年生まれ。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(KADOKAWAより刊行)。著書に『文身』(祥伝社)、『水よ踊れ』(新潮社)、『この夜が明ければ』(双葉社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩井圭也の作品

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