- 集英社 (2023年6月26日発売)
本棚登録 : 104人
感想 : 11件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784087718188
作品紹介・あらすじ
あなたを知ることは、あなたという人を選んだわたしを知ること。
多民族国家の生きた声を掬う在豪作家が贈る、力強くみずみずしい《越境青春小説》。
父の転勤にともない12歳でオーストラリアに移住し、現地の大学生となった安藤真人。憧れていたはずの演劇の道ではなく就職を選ぼうとしていたところ、デザイン科でマリオネットを制作しているアビーと出会い、人形劇の世界に誘われる。日本人としてのアイデンティティの問題に苦しんできた真人のように、「同じアルメニア人と結婚を」と刷り込まれてきたアビーもまた、出自について葛藤を抱えていた。互いを知りたい、相手に触れたい。しかし、境遇が似通うからこそ、抱える背景の微妙な差が、猛烈な「分かりあえなさ」を生み……。
話題の既刊『Masato』『Matt』につらなる、「アンドウマサト三部作」最終章!
【著者略歴】
岩城けい(いわき・けい)
1971年大阪府生まれ。大学卒業後、オーストラリアに渡り就職。2013年に『さようなら、オレンジ』で太宰治賞を受賞しデビュー。14年に同作で大江健三郎賞、17年に『Masato』で坪田譲治文学賞を受賞。他の著書に『ジャパン・トリップ』『Matt』『サンクチュアリ』『サウンド・ポスト』がある。
みんなの感想まとめ
出自やアイデンティティに対する葛藤を描いた物語が、読者に深い思索を促します。主人公の安藤真人は、オーストラリアでの生活を通じて自分自身を見つめ直し、同じように悩みを抱えるアビーとの出会いを通じて成長し...
感想・レビュー・書評
-
3部作だと知らずに手に取ってしまった。
出自についての葛藤は、当事者にしかわからないものがあるのだと思う。
そんな人同士の恋愛は、一筋縄ではいかないだろうけど、乗り越えて欲しいなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Masato、Mattに続く第三弾。前の2作は多国籍のオーストラリア社会で両親とも日本人の少年が、自分は何者なのかと悩みつつ成長する話で、ストーリーを楽しみながらオーストラリアの学校制度やMasatoに代表される人たちの葛藤を考えることができた。今作は葛藤や思い悩む彼らの内面がメインで分かりにくかったけど、日本の多数派として暮らしていると想像すらしない思考に触れることができた。
-
私は“日本人”である。それは生まれが日本で喋る言語も日本語だから。でもそれはあくまでも“ガワ”の話であって、中は一体どうなんだろう。外の世界で住む者だからこそ生まれる疑問の一つだよね。
ハッとさせられる文、言葉も多々あり、「アンドウマサト」の三つの作品の中では一番読みやすかったです。 -
面白かった。日本人としてのアイデンティティに悩む彼の心情が、よく描かれているなと思ったら、作者も、単身渡豪して、その心境を味わったんだなと納得した。日本に住んでいると感じないが、他国に住めば、日本人はそう見られるんだなとちょっとぞっとする感覚もあった。アルメニア人は、もっと、複雑なんだな。と思った。典型的な日本人って、ステレオタイプの日本人って、どこにいるんだろう。白人は、そんなに偉いんだろうか?逆に、自分達は、他の国の人に対して差別的に扱っていないだろうか?歴史的にも、敗戦国の人々は、人権を踏み躙られるような扱いをされてきた。もう、文明が進んで、これだけ地球が狭く感じられるようになったんだから、どの国とか関係なく仲良くできないかな?
-
これが最後とか。
安藤真人もいよいよ大学生から社会人へと大人への道を進む。
自分の内面に向き合う多感な年頃になって
オーストラリアは外からのイメージだとおおらかな国のように思うけれど
観光では見えない複雑な多民族国家の中、
真人の家族の事情、アビーの事情も絡み合って人生はより複雑に。
大人になっていくとはこういうことなのかと、
これはどこの国に住もうともありえる話。 -
岩城けいの最新作。Masato がMattになって、再びMasato になって歩み始める。アルメニア系移民の彼女の自立と絡ませて、より複雑なダイバーシティのなかでのアイデンティティの獲得を物語にする。これでMasato シリーズは終わりかな?注目の作家さんです。
-
三部作、順番は2→1→3だったけど、とにかく完読。とにかく二人の気持ちがすれ違いまくってて苛つく。でも、これがマイノリティー同士のリアルなのかもしれない。
著者プロフィール
岩城けいの作品
