- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087718324
作品紹介・あらすじ
天才調香師は、人の欲望を「香り」に変える——。
直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編!
「君からはいつも強い怒りの匂いがした」
カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。
朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。
香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマチックな長編小説。
【著者プロフィール】
千早 茜(ちはや・あかね)
1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。著書に、『男ともだち』『わるい食べもの』『神様の暇つぶし』『ひきなみ』など多数。
感想・レビュー・書評
-
『透明な夜の香り』を読了して、しばらく経っていたけれど、千早茜さんの丁寧な人物描写によって、個性的な登場人物たちが鮮やかに思い出され、すっと作品の世界に入ることができた。そして、私の生活には馴染みのない香りの世界に、普段から囲まれているかのような感覚の中で楽しみながら読んでいた。この作品を読む中で、香りについて知りたいという思いが膨らむ作品となった。
『透明な夜の香り』で登場した調香師の小川朔、探偵の新城、庭師の源さんと個性溢れる登場人物たちが、その個性を際立たせながら、前作と鮮明につながっていく。このような中、今回の新たな主たる登場人物は朝倉満。『透明な夜の香り』では、若宮一香が担っていた朔の仕事や生活に係る様々な業務を、朔と新城が直接、朝倉の職場に出向き、誘うところから物語が始まる。その出会い方は不思議であり、疑問が浮かんだが、この出会いに意図があったことがラストに向かって明らかになっていき、私の疑問が解き明かされていく。
もう一つ気になっていたこと、それはタイトルの『赤い月の香り』の「赤い月」のところ。そもそも月の香りは分からないなと思ったけれど、赤い月とは何を表しているのだろうと気になった。作品の始めから赤に関する表現が重なっていき、朝倉の過去とのつながりが明らかになっていく。過去を背負って生きること、それは誰しもがあるけれど、その重さは人それぞれだろうな。しかも、他人と分かり合うことは難しいし、そんなに簡単なことではないだろう。それを、朔はあっさりと掴んでしまう、特殊な臭覚で感じとる朔の力は特別な個性を放っている。それが、この作品の魅力だと感じる。
『透明な夜の香り』と同様に、この作品の中でも、様々な背景や理由を抱えた登場人物が、朔に作って欲しい香りを求めて朔の屋敷を訪れる。その香りを作ることを承諾するのも断るのも朔自身が判断する。朔の判断基準は明確で、依頼人の話や存在に「まずは嘘がないこと」である。朔が登場人物たちの嘘を見破るところの展開にはどきどきするし、それぞれの嘘の背景に驚かされる。また、それを見破る朔の臭覚と思考にも驚愕する。
この作品では、朔や源さんの過去の辛いことが、明らかになる。そこには、それぞれのやむを得ない状況が絡まっている背景があった。それでも、時が経過したからこそ解きほぐされたものも感じられ、温かい気持ちになった。朔と源さんの関係にも、巡り合わせの不思議さを感じた。そして、朔と朝倉の関係も明らかになっていく。そのつながりには驚かされた。だからこそ、朔が朝倉のところに、わざわざ会いにいったのだというところにつながっていく。私の中にあった疑問がすっきりと解決していく。
もう一人、前回の登場人物、若宮一香が登場する。そのシーンは、なぜだかほっとるような気持ちになる。それは、一香が朔に係る業務からは離れたけれど、関係は繋がっていることがわかるから。互いに尊重しているものがあり、距離があり、そこが嬉しくもあり、もどかしくもある。それでも、一香の凛とした清々しさには心地よさを感じる。
前作から、さらに「香り」についての興味が湧く作品となった。それだけ、登場人物や香りの描写に惹きつけられているからだろうな。私の生活に刺激を与えてもらえた大切な作品となった。これからも千早茜さんの作品を楽しみたい。 -
個人的にはありそうでなかった匂いをコンセプトにした小説。目新しさはあったものの、いまいち肌に合わないのか、なんとなく乗りきれずに最後まで読み終えてしまった。
そもそも前作を読んでいないということと、また図書館への返却期日が近づいており、やや急ぎめに読んでしまったことも大きな原因と思う。。
朔が魅力的なキャラクターだけに、そちらにクローズアップした作品であれば、もっとハマれたかもしれない(おそらく、そうなると前作だろうが・・)。匂いがテーマの幻想的なトーンに対して、今作の内容はちょっと合ってないかな・・と。
ラスオチの満を仕事に誘った理由も、もう少し重いなにかが欲しかったかな・・。 ★3.2-
ユースケさん(^。^)こんにちは
あ~っ、前作惜しかったですねぇ。
二冊は、完全に繋がっているのです。今からでも読んでみては?ユースケさん(^。^)こんにちは
あ~っ、前作惜しかったですねぇ。
二冊は、完全に繋がっているのです。今からでも読んでみては?2023/09/09 -
アールグレイさん
コメントありがとうございます。
そうですね。前作読むとまた違う気がするので、借りてる本が尽きたら、読んでみます笑アールグレイさん
コメントありがとうございます。
そうですね。前作読むとまた違う気がするので、借りてる本が尽きたら、読んでみます笑2023/09/10
-
-
おかえり世之介~~~ならぬ、
おかえり朔~~~
ついでに早く、おかえりフェロ店長~~~(コンビニ兄弟/町田そのこ)と言いたいw
前作に引き続き、とても面白かったです。
朔と一香のその後を知りたい私としては、洋館で働くスタッフが、一香からガタイが良くキレやすい、そして睨み顔がちょっと怖いお兄さん(朝倉)になっていたことで、あれ?朔と一緒に働くスタッフは特別な存在というわけではなく、シリーズが変わるごとに(私の中ではシリーズ化決定w)なんとなーく変わっていくの?なんて思いながら読み始めました。
しかし、新しいスタッフが朝倉になったことにはきちんとした理由がありました。
一香も要所要所でいいスパイスとして登場したし、次のシリーズでも朝倉はスパイスとして登場すると予想。朝倉を取り巻く持田くんと茉莉花の存在もとても良かった!
読み始めは「ちょっとちょっと一香はどこー?」とちょっと残念だったにもかかわらず、ドラマのガリレオシリーズで「ちょっとちょっと柴咲コウはー?」と思いつつ、吉高由里子もいいね~といつの間にか思っているあの感じ(伝わってますよね?)の読書でした。
第3弾待ってます( *´꒳`* )-
こんにちは(^。^)こっとんさん
第3弾~の香り、読みたい!ですねぇ~
朔の個性的な雰囲気、一香ちゃんのことをどう思っているのでしょう?
...こんにちは(^。^)こっとんさん
第3弾~の香り、読みたい!ですねぇ~
朔の個性的な雰囲気、一香ちゃんのことをどう思っているのでしょう?
私は源さんは、朔の父親?と思っていました。どうやら違うみたいですが。
第3弾がでるとしたら、家政婦(夫)さんはどんな人でしょう?
千早さ~ん、書いて~2023/08/18 -
Manideさん、こんばんは♪
伝わりましたかー?
良かったですー(˶ᐢᴗᐢ˶)
コンビニ兄弟も早く続きが読みたいですよね!Manideさん、こんばんは♪
伝わりましたかー?
良かったですー(˶ᐢᴗᐢ˶)
コンビニ兄弟も早く続きが読みたいですよね!2023/08/18 -
アールグレイさん、こんばんは♪
源さんが、朔の父親!!!
その発想はなかった……
妄想爆発ですよね(≧∀≦)
私も色々妄想しながら読書してま...アールグレイさん、こんばんは♪
源さんが、朔の父親!!!
その発想はなかった……
妄想爆発ですよね(≧∀≦)
私も色々妄想しながら読書してますー(≧∀≦)
そして、ドラマ化したら誰が演じるのか……
ホント妄想が止まりません(≧∀≦)
ぜひぜひシリーズ化してほしいですよね!2023/08/18
-
-
━…━…━…━…━…━…━…━
1.感想
━…━…━…━…━…━…━…━
一香ちゃん、ちょっとしか登場しないけど、ずいぶん達観した感じでした。朔との距離感が、なんだか、はかない感じだけど、ちょっと微笑ましい感じもします。
新庄だけは相変わらずで、スピンオフ作品が出来そうな気配も感じてます。
前作に続いて不思議な雰囲気に包まれている感じのする作品でした。やはり、このシリーズは、別の空間を意識させられる作品だなと、しみじみと感じました。
満員電車の隅っこの方で、この本を読みながら、人に関心を示さない人たちとを眺めていると、ほんと、横にいるのにまったく繋がっていないことを認識します。
それぞれが別空間にいるようで、目に見えない境目のようなものが感じられて、本の世界観とあいまって、変な空間が見えたような気になります。
誰もがそれぞれの世界で生きている…
一人の空間って、とても大切だと、強く感じました。
繋がりは大切、、、でも、一人の世界を大切に、認識して歩んで行きたいと思わせてくれる作品でした。
この世界観は、いいな。
━…━…━…━…━…━…━…━
2.あらすじ
━…━…━…━…━…━…━…━
今回は調理のバイトで働いていたキレやで大きな朝倉がメインでお話が進んでいきます。
その朝倉が朔のもとで働き出します。
毎話、香りを求めるお客さんが登場して、それぞれに秘密を抱えていて、そのお客とのやり取りの中で、朝倉も少しづつ変わっていきます。
朝倉の謎めいた部分を隠しつつ物語は展開し、最後にその秘密も香りと共に明らかにされます。
━…━…━…━…━…━…━…━
3.主な登場人物
━…━…━…━…━…━…━…━
朝倉満 青年、大きい、前科あり
(前作メンバー)
小川朔 調香師
新庄
源
若宮一香
(客など)
リリー 歌手
城嶋 リリーの運転手、兄
仁奈
持田 満と同い年
橘 柔軟剤が臭い
泰子 源さん娘-
Manideさん、こんにちは。
「満員電車の隅っこの方で、この本を読みながら」が気になってしまいました。お疲れ様です。橘「柔軟剤が臭い...Manideさん、こんにちは。
「満員電車の隅っこの方で、この本を読みながら」が気になってしまいました。お疲れ様です。橘「柔軟剤が臭い」というのもキーワードなのかしらと思いました。前作の『透明な夜の香り』を読んでから本作の方がいいですかね。2023/08/06 -
ベルガモットさん、こんにちは。
コメントありがとうございます(^^)
満員電車と書くと、辛そうですね(笑)
間違いなく、「透明な夜の香...ベルガモットさん、こんにちは。
コメントありがとうございます(^^)
満員電車と書くと、辛そうですね(笑)
間違いなく、「透明な夜の香り」を読んでからですね。作品的には、1作目と、2作目で、そんなに時間が経過している感じでもないので、続けて読む方が、さらに良い気がします。
人は、五感の中では、視覚に引っ張られる部分が多いと思いますが、私のような影響されやすい人間は、ついつい目を瞑って嗅覚を働かせてみたくなる作品です。2023/08/07
-
-
-
ヒボさん、発売日に読めるなんて!
運命的なものを感じますよねぇ~♪
私も発売日に本屋さんに行けたなら、
きっとヒボさんと同じ行動をとっ...ヒボさん、発売日に読めるなんて!
運命的なものを感じますよねぇ~♪
私も発売日に本屋さんに行けたなら、
きっとヒボさんと同じ行動をとってしまったと思います(^-^)
「しろがねの葉」はものすごくいいですよぉ~
千早茜さんの作品にハマるきっかけになりました!
買っても後悔はない…!と私は思います。
って、悪魔の囁き、やってみちゃったっ(*^^)v2023/04/28 -
2023/04/28
-
ヒボさん、こんにちは!
ヒボさんからの“悪魔の囁き”をうけて
先日最寄りの本屋さんに行きましたが、
売り切れたのか、置いてませんでした...ヒボさん、こんにちは!
ヒボさんからの“悪魔の囁き”をうけて
先日最寄りの本屋さんに行きましたが、
売り切れたのか、置いてませんでした( ;∀;)
連休中、もっと大きな本屋さん行ってみます(*^^)v2023/05/02
-
-
「この職場は君に合っていない」
カフェで働く朝倉は、男性二人組の客のひとりに、いきなり声をかけられた。
更に「ストレス臭が充満している」「怒りの匂いもする」などと続けられ、最後には「うちで働くといい」
と仕事に勧誘される。
普通ならめちゃくちゃ怪しい人ですよね〜。
この人物は小川朔、特別な嗅覚を持つ調香師です。
本作は「透明な夜の香り」の続編で、表紙の真っ赤な柘榴が目を引き、ゾワッとする。
今回はどんなストーリーが展開されるのかな…
そして冒頭のこの場面から、小川朔の世界に入り込む。
と同時に、黒ずくめの男の登場で
「あ、新城さんだ!」とちょっと嬉しい。
(現実味のない世界の中で、人間味溢れる新城が私にとってホッとする存在)
タイトルの「赤い月」というのが何とも魅惑的です。
ちょっと背中がゾクッとして。
最後に赤い月の意味が……
今回は小川朔の過去や、源さんの過去に触れる場面もある。
そのせいか前作より人間味のあるストーリーに感じ、私的には好きかなぁ。
前作でメインの一香ちゃんも少し登場する。
そこがまた含みがあって良い。
続編ありそうですよね♪-
ちょっと何言ってるか分からない(笑)
けど、匂いって記憶が蘇りますよね。
私、幼稚園の時のお道具箱の匂いが好きで、たまにクレヨンとかの匂い...ちょっと何言ってるか分からない(笑)
けど、匂いって記憶が蘇りますよね。
私、幼稚園の時のお道具箱の匂いが好きで、たまにクレヨンとかの匂いを感じると昔を思い出します。
そしてこの作品の不思議な世界観…
続編ありそうね〜^_^2023/09/27 -
2023/09/27
-
2023/09/28
-
-
「透明な夜の香り」の続編。
香りが導くドラマチックなストーリー。
天才調香師の朔さんが今作でもとても魅力的に描かれています。
私が朔さんにお願いするとしたら、どんな香りかなぁと想像してしまいます。 -
『透明な夜の香り』続編。
勿論、前作あってこそではあるが、読者が欲している思いをこの著書にしっかりとぶつけて表現してくれている。ありがたい。
本書の中で玉手箱の話が出てくるが、香りの記憶はタイムマシンのように過去の情報を一瞬にして甦らせてくれる。楽しい記憶も苦い記憶も匂いとリンクする。
本当にオシャレな作品を綺麗に書いてくれましたね。
著者プロフィール
千早茜の作品






早く文庫にならないかなぁ。。。
それまでは我慢我慢。
表紙も内容も香りたつパフュームのようで素敵ですよね。
レビ...
早く文庫にならないかなぁ。。。
それまでは我慢我慢。
表紙も内容も香りたつパフュームのようで素敵ですよね。
レビューを拝読してわくわくしています。