時々、慈父になる。

  • 集英社 (2023年5月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087718348

作品紹介・あらすじ

1983年5月、『優しいサヨクのための嬉遊曲』から40年。
いつまでも自分が主役だと思うなよ。
毀誉褒貶を顧みない作風で時代を駆け抜けた作家による、
デビュー40周年記念の自伝的父子小説。

第一部「父親の変わり身」
第二部「親バカでない親はいない」
第三部「運命なんて愛したくない」
第四部「後のことはおまえに任せた」

時は1991年、島田雅彦30歳。バブルは崩壊したとは言え、執筆の他にも世界中を旅する仕事が続く中、妻の妊娠が判明する。夫は、子育てに適した新居を探し、子どもの名前を考える。「永遠に実現しない希望」を意味する弥勒菩薩からミロクと名付け、生後間もない頃から世界中へと連れ回し、家族の記憶はいつも旅の記憶。自由奔放に子どもを育てたいと思いながらも、お受験へ。入園式当日に朝帰りをしたのは、父だったからか、作家だったからか。息子が生まれ、世界が一変したはずの作家による自伝的父子小説。

【著者略歴】
1961年3月、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。在学中の83年に『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、08年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、16年『虚人の星』で毎日出版文化賞、19年『君が異端だった頃』で読売文学賞〔小説賞〕を受賞。主な著書に『徒然王子』『悪貨』『英雄はそこにいる』『傾国子女』『ニッチを探して』『暗黒寓話集』『カタストロフ・マニア』『人類最年長』『スノードロップ』『スーパーエンジェル』『パンとサーカス』など多数。 現在、法政大学国際文化学部教授。

みんなの感想まとめ

子育てと自己探求をテーマにしたこの作品は、著者の自伝的要素が色濃く反映されており、父親としての葛藤や成長を描いています。特に、息子の誕生を機に変わりゆく自らの価値観や、家族との絆を深める過程が印象的で...

感想・レビュー・書評

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  • 明日は父の日です。
    たまたま今日まで「父と息子」について考えさせられる本を4冊読みました。

    家庭環境が悪かったためか特殊詐欺の実行役にされてしまう『ルポ特殊詐欺』
    12歳のとき父のもとから母と義父のところへ。そして6年後母は義父を殺し飛び降り自殺という『遠い家族』
    徳川家康と二代目『徳川秀忠』
    そしてこの『時々、慈父になる。』

    〈私がまだ幼かった1970年代には、妻や子に手を上げ、賭博癖を改められず、安酒に逃げ、偉そうなことをほざくが、全部ハッタリという「イカサマ親父」が巷にゴロゴロいた。その生息域は縮小したものの、淘汰されたわけではなく、極右、差別主義系の集団では根強くはびこっている。その一方で、謙虚で、公平で、権威も主義主張も振りかざさない、嬉々として一時の遊び相手になる「慈父」が、在来の「イカサマ親父」を駆逐する勢いで増えている〉

    私の周りの父親たちも、ほぼ100%慈父ですね。きっとそれがいちばん良いことなのでしょう。そうじゃない子が、犯罪に手を染める確率が高いのでは?

    さてこの本は、「フィクションです」とありますが、いえいえノンフィクションでしょう!
    4年前に読んだ『君が異端だった頃』の続編と思って良いでしょう。
    どちらも面白かったです。
    こちらは子どもが生まれるころからのことが書かれているというだけで、特にお子さんについて多く書かれているというわけではありません。

    次のことはお友達に教えてあげたいと思いました。

    〈17年前は小学生だった平野(啓一郎)君がミロク(息子)に話を合わせるのを側から見ていて、世代交代というのは親子の間に第三者が叔父や家庭教師のように介在することによって円滑に行われてゆくものなのだなと思った。若い友人との付き合いは継続しなければならない〉

  • 著者らしい歯に衣着せぬ物言いで爽快である。
    なるほど、慈父、時々という表題も的を得ている(笑)

    子どもの成長とともに、時代の推移と変化を感じられ、ほぼ同年代としては感慨深い。

    ますます尖った小説、待っております。

  • 息子を中心にした島田雅彦の自伝のような本。著者にはずっと昔に一度会ったことがあるが、ほとんど話はせずとっつきにくいイケメンというイメージしかなかった。この人がこんなにあちこちに旅行する行動派、酒好き、女好きで、子供が生まれるとなるとどういう父親になるべきかの手本を探して択捉に行くような人だとはちっとも知らなかった。息子に対しては、さすが小説家はいろいろ考えて接するものだと感心した。政治信条的には私とそっくりかもしれない感じがするので今会ったら話がはずむかもしれない。この人の他の著作も読んでみたくなった。ただし、しきりと自分のことを貧乏だというのはちょっと鼻についた。広い交友関係に超金持ちが多いせいだと思うが、私などからすれば、たびたび海外旅行に行ったり無理やりにせよ子供を高い学校に入れたりすることができる人は十分金持ちだ。

  • ふむ

  • 島田雅彦さんが語る、様々な物語(自伝のような小説)、芥川賞選考委員会の内情(石原慎太郎の人となりについて等)や、亡くなった中村勘三郎との交流等、興味深いものが多々ありますが、話題が多くやや散漫という印象もあり、★三つです。

  • 父親になって息子をどう育てるかどのように育って欲しいかと真剣に悩む姿に、世の父親と違って息子としては有り難くもあり煩わしくもあったのではないかと思った。
    このエッセイは島田氏の存在表明のようでもあり旅日記でもあり彌六の子育て記録でもある。タイトルにあるような慈父かどうかはわからないがミロクとの関係描写のところが一番興味深かった。

  • 同じ時代の空気を吸って生きてきた同年代作家として、共感するところが多い。子育てしたのも同じ時期だ。

    『君が異端だった頃』の続編となる自伝小説。石原慎太郎や中上健次、大江健三郎、古井由貴吉との交流譚が相変わらず興味深い。

    「親バカでない親はいない」にあるとおり、やはり「優しいサヨク)も人の子であり、親である。息子への溢れる愛情を隠さない親バカぶりが感動的でさえある。

    実名のまま自らの生い立ちが書かれることを「ミロク」君が許したのは、きっと深い信頼関係があるからなんだろうな…

    でも、いちばん言いたかったのは、終わり近くにある次の部分ではなかったか?

    「…自分とは唯一無二のものというよりは、過去の反映であり、踏襲であり、反復であるということだ。」

    「私たちが「意識」と呼んでいるものは、自分が生まれる遥か昔からあって、ある日、不意にそれを宿してしまった自分に気づくものなのだ。…思春期の頃に感じた自分への違和感は、自分に宿ったばかりの意識の使い勝手が悪かったことに由来する。老いてボケが進み、自分が誰だかわからなくなるのは、自分に宿った意識が離れたがっているからである。」

  • このあと「13歳からの地政学」を読んだので、慈父とカイゾクさんが重なって見えてきました。父子の継承とか、見知らぬ子どもに師の恩を返すとか、時間の経過とともに贈与できる何かを蓄積した大人になっているか、考えてしまうストーリーでした。

  • 作家40周年の自伝的父子小説
    育児日記やエッセイを小説風にしたものかと思っていたら違った
    子供中心ではなく父側の心情や事情がガッツリと書かれていた
    作家になって地位を築いたら生活はこうなっていくんだなぁ

  • 息子を連れて世界中旅をするという羨ましい環境。とはいえどんな親も同じように育児は手探りで一生懸命。
    作家の実態を垣間見れて興味深かった。この作者が特別なのか、作家業とはこんなものなのか、凄まじい仕事量に圧倒された!

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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