- 本 ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087718522
作品紹介・あらすじ
「どこで、どうやって生きていくのか、うちは自分で決めたい」12歳の少女・真記は上京を目指すも、80年代後半の狂騒に翻弄され……親世代にも子世代にも読んでほしい、宝石のような20年間を描いた佐川光晴の最新長編小説。
広島は尾道の小学五年生・真記は、1970年生まれ。子供のいない伯父夫婦からかわいがられ、養女になるかもと心配事は絶えない。中学では英語部の朗読劇が大成功をおさめ、英語を一生の仕事にしていこうと決意する。念願の学生生活は、80年代後半のバブル経済のただなかで、順調そうにみえたのだが……。
当時の時代背景や男女の考え方を、時に繊細に、時にユーモラスに描出する。真記と同時代を生きた人にも、そしていま同世代の人にも読んでほしい青春小説。
【著者紹介】
佐川光晴(さがわ・みつはる)
1965年東京都生まれ、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞を受賞しデビュー。02年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞、11年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞、19年『駒音高く』で第31回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞受賞。このほかの著作に『牛を屠る』『大きくなる日』『日の出』『鉄道少年』『昭和40年男~オリンポスの家族~』『満天の花』『猫にならって』などがある。
感想・レビュー・書評
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瀬戸内がすぐそばに見える風光明媚な広島・尾道に育った真記の中学から33歳までの20年のこと。
ただ20年と言えど、とても努力し何事にも一生懸命で、両親の特に父の言葉を忘れることなくすべてにおいて真面目である…と思った。
けっして愛情がないわけではない両親。
特に父は「誰にとっても、一度きりの人生じゃ。男も女もない。自分の気がすむように、思いっきりやってみい」と餞別がわりのことばで東京へ行くことを許す。
東京に出てきて、大学も卒業したかったであろうが、実家の倒産で学費がままならぬことで両親を恨むこともせずに退学し、看護学校に進むという道を選ぶ。
この判断と潔さに何も言えないほど…
どれだけ強いんだ…と思わずにはいられない。
この時代がわかるだけに感慨深いものもあった。
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バブル世代の女性の話。でも、全然華やかじゃない。苦労苦労の連続。
親ガチャだと思うけど、それを小学生の頃から冷静に受け止め、真面目に努力して行動する姿は素晴らしい。けど、なんだか心に響かなかった。
話が進んで面白くなってきたかと思うと、途中で思い出話のように過去に戻ったりと、すんなり話が進まない。読解力のない私は「あれ?」ってなってしまう。
ちょっと期待しすぎたかな。 -
「禍福は糾える縄の如し」という
格言を小説にしたかのような。
尾道で生まれ育った真記が
思春期に家族との関係を考える第一章。
東京に進学し、得意の英語を使った
観光案内のボランティアを通じて
自分の将来や恋を考える第二章。
第二章のラストに訪れた転機から
看護師になってクルージングに同行し
仕事と人生を考える第三章。
そして4章で今までの出来事が
どれも大切な要素だったと思わせる。
それぞれの章で真記に関わってくれる
周囲の人たちがまたいいんだなぁ。
東京のバイト先の大将とか
船医として一緒に働く外科医の女性とか。
ひとりごとになると広島弁が出る
真記のキャラクターが愛しくて
途中辛いこともあるけれど
見届けることができて良かった! -
1歩を踏み出す勇気をくれる本
終わり方があっけないのが残念 -
ジェットコースターのような展開。
最後がアッサリで拍子抜け… -
人生は山あり谷あり。
小説ほど波瀾万丈でなくとも、
誰にでも明けも暮れもある。
そこをどう乗り切るかは、
結局、その人の人柄しかない。 -
先を見据え、やるべき事はやる。 目標達成の為には手段を選ばず、やり遂げる。大きな壁にぶち当たっても、めげずに、プランBを遂行する。
こんなタフな生き方を、子供の女の子が教えてくれるなんて。
時代は変わった と、言いたかったけど、時代背景からして、二度びっくり!
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僕より少し年が主人公。でも時代の空気感伝わってくる。
著者プロフィール
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