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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784087718669
作品紹介・あらすじ
【第170回 芥川賞候補作】
割りあてられた「男」という性別から解放され、高校の演劇部で人魚姫役を演じきった。
そんな真砂(まさご)が「女の子として生きようとすること」をやめざるをえなかったのは――。
『人魚姫』を翻案したオリジナル脚本『姫と人魚姫』を高校の文化祭で上演することになり、人魚姫を演じることになった真砂は、個性豊かな演劇部のメンバーと議論を交わし劇をつくりあげていく。しかし数年後、大学生になった当時の部員たちに再演の話が舞い込むも、真砂は「主演は他をあたって」と固辞してしまい……。
自分で選んだはずの生き方、しかし選択肢なんてなかった生き方。
社会規範によって揺さぶられる若きたましいを痛切に映しだす、いま最も読みたいトランスジェンダーの物語。
【著者略歴】
川野芽生(かわの・めぐみ)
小説家・歌人・文学研究者。1991年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科在籍中。2018年に連作「Lilith」で第29回歌壇賞、21年に歌集『Lilith』で第65回現代歌人協会賞受賞。他の著書に、短編小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』、掌編小説集『月面文字翻刻一例』、長編小説『奇病庭園』、エッセイ集『かわいいピンクの竜になる』がある。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
多様な性のあり方を描いたこの物語は、トランスジェンダーの主人公が高校の演劇部で人魚姫役を演じることを通じて、自分自身のアイデンティティを模索する過程を描いています。真砂は、演劇を通じて女性として生きる...
感想・レビュー・書評
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第170回芥川賞候補作。
主人公は身体が男性のトランスジェンダー。
高校生の時にいったんは女性として生きていこうとするが、大学生になって男性に戻ってしまう。
とても切なさが残る物語。
作中に多様な性のあり方談義が飛び交う。
シスジェンダーでヘテロセクシャルで、それこそが唯一の普通だと思い込んで育ってしまった僕にとっては、時に刺激的で、時についていけずぼんやりとしてしまい…
芥川賞という感じではない。
でも今読むべき小説の一つ。
♫Moonlight/XXXTENTACION(2018)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女の子のような名前なのに、僕や俺といった一人称が飛び交い、あれ?誰が男で誰が女?と、思いながら読み進めていくと、そもそも男女の定義をしようとしていたことが間違っていたことに気が付く…。
世間一般で言う男性が限りなく排除された人間関係が心地よく、同時にどこか息苦しく、読み終わった後に、大きく深呼吸していました。
人魚姫の歴史的背景や宗教的解釈の知識も盛り込まれ、なかなか興味深い作品でした。作者の川野さんは文学研究者…なるほど。 -
登場人物が苗字やニックネーム、外見の特徴は徐々に分かるようになっており、性別を曖昧にしたところに作者の優しさを感じた。真砂を受け止めてくれる滝上や宇内がいるのに、他人の優しさに触れる度、自分に対する違和感が強くなり、変えられない身体に悩む真砂だった。高校の時は、まだ、限られた人しか関わらないため、自分を保てていたが、大学生になって、広い世界に出た時、社会という大きな枠組みを認識した途端、自分のゲシュタルト崩壊を起こした。真砂が好きになったのは、ズブズブと自ら不幸にハマっていく女の子で、救いたい一心から、自分の性別を変える決断をする。たかが1人の女で、と思うが、愛されること、愛すことに対し、違和感を感じる自分がいるため、素直に好きだという気持ちを認識できた葉月を前にすると変わりたいと思ってしまうのは、真砂なのだからだと思う。彼女のために自分を捨て、それでも手に入らなくて。人魚姫とそっくり。しかし、物語のように簡単に泡になることもできず、もがいていた。しかし、滝上のタトゥーに救われ、どんなに自分という枠組みからは抜け出せないけれど、なりたい自分にカスタマイズできることを知った。他人に受け入れられない自分を受け入れる強さが持てた時、本当の自分としてようやく生きていけるのではないだろうか。ブルームーンの話や、人魚姫の世界と並行して物語が進んでいて、劇を観ながら登場人物たちの隠れた真実に辿り着くようなお話。皆、何かを抱えて生きている。自分以外にはなれやしないけれど、なりたい自分になるために足掻くことはできるよと、救いもなく見捨てる訳でもなく、青より水色のような儚い物語だった。滝上が個人的に好きで、「燃やしに行く?」というセリフが好き。
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タイトルの意味を知って、うーんと唸ってしまった。読後感が、個人的に「正欲/朝井リョウ」に似ていて、身近にいないわけではないのだろうけど、自分事として捉えることが難しい内容だったように思う。ただ、だからこそ、小説として楽しめた。
大学生の頃に告白されたことを思い出した。性別ってなんだろう?あのとき、この本を既に読んでいたらなにか変わっただろうか。結果は変わらずとも、もう少し違う返事になっていたのだろうか。
胸がチリチリ、ヒリヒリしている気がする。 -
感想
トランスジェンダーの手術費用の捻出、貧困、鬱に自殺率の増加、就職までに、カミングアウトの問題。色々問題山積みなんだな。
性に対する問題を垣間見た。
あらすじ
学校の演劇部。
人魚が王子に恋をする物語。滝内という女性のオリジナル脚本。
その脚本の内容や時代背景について議論する。
演劇部では性のあり方について悩むメンバーがいた。
それから数年経ち、大学生になったメンバーが再会する。マサはコロナでバイトができず、性転換できなかったことで見た目通りのまま男として生きていくことを余儀なくされていた。
人魚姫の人間になりたい願望の中での不完全さとマサのトランスジェンダーとしての心と身体の不一致がオーバーラップして表現される。 -
すばる 2024年8月号より
舞台はとある、高校の演劇部。
人魚姫を演じる主人公、真砂とメンバー達。一人称の使い方が、それぞれ僕、私
俺、わい?みたいにそれぞれの性別がわからない。最初は皆、女の子と思っていたが、ん?なんか違和感…みたいな感じで
登場人物の容姿と名前が一致せず、掴みづらい。その後、何年か経て再開したメンバー皆の苦悩、葛藤の今。
現在、トランスジェンダーに対しての社会的偏見は少なくなってきているとしても、当人が抱える息苦しさを人魚姫にシンクロさせる。人魚姫のストーリーって、どんなだっけ?と人魚姫を調べた。やはり、納得いかず。笑
今、読んでおきたい本であり、非常に良い読書時間であった。 -
「いま の わたしたちはそれをtransformと呼ぶべきではないようにかんじているわたしは ずっとそれであったのだからtransformではない」という一文に襟を正された。この作品はジェンダーについて本音と本音をぶつけた作品だと思う。最初に引用した文章にあるように“トランスジェンダー”という単語自体がマイノリティに対する失礼な言葉ではないかと考えるようになった。作品自体は思春期の不安定な性自認の話を含むが、この作品で読み解くのはもっと長いタイムスパンのジェンダーについてだと思う。現時点でジェンダー問題の先を行く問題を提示していると思う。
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芥川賞候補らしい作品
読みながら戸惑うのはトランスジェンダーへの自分の無知無関心のためだと思った
自身の多様性を知ることは他者のそれを理解するよりもむずかしい
引き続き川野芽生さんの作品を読んでゆきたい -
スッと読めると思ってたんだけど
なかなか頭と心に入ってこなかった
深いような浅いような
ほろ苦さだけが残った -
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登場人物の区別にまず性別を考えてしまっていたから頭の中がごちゃごちゃしてしまっていた
しかし、性別の判断に一人称や見た目だけでは本当のことは分からない
トランスジェンダーの就職の苦労、金銭面の負担
トランスジェンダー/人魚姫
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冒頭、演劇部の部員が会話しているシーンで混乱する。一人称が「僕」だったり「わし」だったり
複数の男女が会話しているかのように見えるが、実際は(外見は)女性ばかり。
そもそも私は物語の登場人物の性自認がどうあれ嫌悪感はないが、どこかで薄らと(この人は女性の見た目だが元は男性)等と答えを知りたくなってしまう。
そのことが悪いことなのか分からないが、やはり決めつけようとするのは良くないのだろう。
真砂が性転換手術をしようとしたとき、両親は止めた。止めた理由がそれらしい理由なので、何となく納得してしまったし、実際真砂も止めてしまったのだが、何かモヤモヤした感じが残った。
踏み切って手術していれば、真砂はもっと自由に生きていたんじゃないかとも思う。言いきれないが。難しい。
トランスジェンダーは就職も不利なのか。どこまで行っても差別は続く。見た目が男性の方が就職や賃金に有利という考え方をさせられるこの世の中が、寂しい。
真砂は最後、想い人に告白するが、返ってきた言葉に絶句することになる。真砂も結局、自分の考え方を相手に押し付けていたのだ。
知らず知らずの内に私たち人は、他人がこうするべきだ、こうあるべきだと押し付けてしまっているのかもしれない。
そして押し付けていることに気づくことは、難しい。 -
はじめの勢いがものすごかったけれど、全体としてシャトルランのような印象、かな、?
どれみふぁそらしど、ど、どしらそふぁみれど、ど⤴︎︎︎みたいなはい、はいつぎ!つぎ!もっと行けるぞ!ってかんじ?()
川野芽生さんは幻想やユートピアを得意とする作家さんのイメージがあって、特に短歌なんて、圧倒的なわからなさを見せつけられるような、、、
この作品は学生生活のトランスの生きづらさなので!トランスの人のモヤっとする部分をしることができました! -
青春群像劇のように読んだ。
一人称がいろいろ飛び交うのが妙にリアルだ。男は僕、俺、女は私、みたいのって小説の世界ではストーリーを把握するキーワードみたいになっているけれど、実際は友人同士だとワシとかオレとか言い合ってたりする。女子校だった中高時代はもっといろいろ。そう考えると一人称はさまざまあるし、きっと自分の性や身体との付き合いに関してもさまざまだ。
よかった。 -
トランスジェンダーをテーマにした演劇部の学生たちの物語。劇中作と同時進行していくスタイルで、読み応えがありました。真砂の心の中の葛藤はとても痛ましく感じたけれど、周囲に少しでも理解者がいることは救い。
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同僚の教員が生徒に推薦していたので手に取りました。
ページはそれほど多くないのですが、登場人物一人ひとりの思考を読み解くのが難解でした。
ライトな読み口の小説を読むことが多いので、まるで実社会のように悩み葛藤する登場人物の姿を追いかけるのは、少し骨が折れます。
もう少し丁寧に時間をかけて登場人物それぞれの名前と性別、互いの人間関係を整理しながら読み進めればよかったのかもしれませんが、男だと思っていた登場人物がおんなだったり、またその逆もあったり、混乱する場面もありました。
「相手を思いやっているように見える行動も、自分の選択を自身に納得させるために他者を利用しているだけ」という指摘や、一人ひとりの人間は違うのに、それぞれの関係性をひとまとめに「友情」「恋愛」と目に見える形でラベリングすることの不自然さなど、ふと考えさせられる会話もありました。
高校生や大学生の時期に読むと主人公たちに感情移入しやすいかもしれません。 -
滝上の書いた人魚姫全編まとめて読ませてくれ…!めっちゃくちゃ繊細な文章で愛についての物語であの人魚姫読みたすぎるよ…
愛とは?から自分とは?何を持って自分とするのか?みたいな根源的なテーマを読みやすく書いてあった。高校生が「好きになるってどういうこと?」みたいなの語ってるのすごいいいなーと思った。個人的には宇内の「見るだけじゃない情報を実はたくさん受け取ってて、それで一目で好きになったり」って説いいなって思った。言語化できる部分もあるけど、言語化できないまたはしなくてもいいグレーの部分って実は人生の中で多いにあるんじゃないかなって思ってる -
ひりつくような青。
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登場人物それぞれの身体と心の性別がよく分からないまま読み進めたが、意外とそういうことが明確でなくても大丈夫のような気もした。
もちろん当事者にとっては深刻で、コロナ禍でホルモン治療が継続出来ず…なんて話は考えたこともなかったけど。
性別のことだけでは無く、束縛男に惚れてしまう女の子とか、自分とは違う人に対して地雷を踏まない接し方とは?なんてことを考えるともう面倒で引きこもりたくなった。
著者プロフィール
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