長くなった夜を、

  • 集英社 (2025年4月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784087718966

作品紹介・あらすじ

コールセンターで派遣社員として働く関本環。両親はともに高校教師で、環は幼いころから厳格な父親の教えに従い生きてきて、38歳になった現在も夜9時の門限を守っている。
そんな環とは対照的に、両親に反発し自由奔放な妹の由梨は、離婚した夫との間に公彦という男児がおり、実家に戻ってパートとバイトを掛け持ちしながら暮らしている。環はそんな妹に代わり、公彦の世話をしているうち、居なくてはならないかけがえのない存在になっていた。
そんな時、由梨は両親と決別し、実家を出てマンションで暮らし始める。公彦の様子が気になり、両親が寝静まった後、毎夜のように妹のマンションを見に行く環だったが、由梨が公彦を置いて男と出かけ行くのを目撃してしまう。心配の果てに、環は以前父が放った「ある言葉」に突き動かされ、突発的な行動に出てしまい――。家族というコミュニティーが抱える闇を露わにした問題作。

【著者略歴】
中西智佐乃 (なかにし・ちさの)
1985年、大阪府生まれ、大阪府在住。同志社大学文学部卒業。2019年、「尾を喰う蛇」で第51回新潮新人賞を受賞。著書に『狭間の者たちへ』がある。

みんなの感想まとめ

家族の絆とその闇を描いた作品で、主人公の環は厳格な家庭環境に育ち、夜9時の門限を守る38歳の派遣社員です。妹の自由な生き方とは対照的な彼女は、公彦の世話を通じて家族の大切さを実感しますが、妹の行動に不...

感想・レビュー・書評

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  • うーわー
    なんて暗い救いのない話なんだろう。
    読んでいて気分が悪くなった。
    でも、こーゆー人っているんだろうな

  • ① 8/24東京新聞(夕)・・・中西智佐乃さん(文校修了生)が『すばる』9月号で発表した小説「長くなった夜を、」が“文芸時評”欄で取り上げられています。 | 詩と小説 大阪文学学校 2024年10月10日
    https://www.osaka-bungaku.or.jp/blog/11039/

    ■家庭のよどみ 乾いた視点で 評 水原涼(作家)
    <書評>「長くなった夜を、」中西智佐乃著:北海道新聞デジタル 2025年6月8日
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1169512/

    長くなった夜を、 | 集英社 文芸ステーション
    https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/nagaku-yoru/

    中西智佐乃|文学賞の世界
    https://x.gd/uvCpN

    いそべかをり | Instagram
    https://www.instagram.com/isobe_kawori/

    長くなった夜を、/中西 智佐乃 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771896-6

  • 中西さんの作品が読みたくて2作目です。
    これは…結構感情にきました。苦笑
    ----------------------------------
    親からの「教育」という形の「暴力」。
    閉ざされた「日常」。

    三十八歳、独身、派遣社員。
    私には何もない。
    どうすべきか教えて欲しい。
    ----------------------------------
    これは…結構重たかったです。

    両親が「教育」した結果、
    小さな家の中で無力な子供は、
    従うしかない。
    誰が悪い?自分が悪い。

    そこから両親が年をとって、
    なんか間違ってたかも…なんて思っても、
    もう遅い。

    なかったことにはできないし、
    あなた達が敷いたレールから、
    いまさら降りるなんて言わせない。

    本作の地の文は、
    主人公のことを「あなた」と表現し、
    ずっと客観的な他人事のように思えて、
    常に誰かを意識して、縋り、怒り、
    壊れていく姿を、ただただ見るしかできない。

    行き着く先を息を呑んで見守りました。

    家族という閉鎖的な空間で、
    一歩間違えば…というようなヒヤリとする場面や、
    本当にあるかもしれないと思わられる場面があり、
    胸が痛くなりました。

  • とてつもなく暗い。精神状態の悪い時には読まない方が良い。しかしながら一気読みしてしまう筆致には感心してしまう

  • 親の教えという毒によってじわじわと精神を破壊されていく人間の様を見られる作品。
    二人称視点ならではの読み心地で、気づけばのめり込むように読んでました。

  • ページ数少ないのに、ずっしりと重い。
    そりゃ、こんな育て方されても逆らえず、ずーっと従い続けていたら、どこかで歪みは出てくるよね。妹みたいに反発出来たら楽だったのに。親身になってくれる同僚がいて、そこだけが救い。

  • ※評価は全てつけていません
    二人称で書かれている理由、「長い夜を、」ではない理由、それが読んでいくうちに理解できてしまって、どんどんページが重たくなりました。

    主人公にとっての幸せを考えてくれるのは他人ばかりでした。
    肝心の主人公に自我がないせいで、周りの善意は伝わらない。主人公を取り巻く人間関係がほとんど一方通行であることに、虚無感を覚えました。

    主人公に意志がないために、誰に対してもまともな会話がなかったことも印象的でした。
    たとえば母に「帰りが早かったなら、なんでもいいから作っておいてほしかったな」と言われても、帰ってきた時間をごまかしただけ。そこには「私だって大変なんだよ」とむっとした描写も、「ごめんね、仕事で疲れててそこまで気が回らなかった」と反省する様子もありません。母親や自分の気持ちを考えるわけではなく、母親を怒らせないことでその場を納めようとするだけです。

    こうやってずっと生きてきたとすれば、主人公には家族以外の人間関係は皆無に等しいでしょう。そして、その家族とも意思疎通はしていない。
    この時点で主人公の社会性は育っていないと想像でき、彼女の容量の良し悪しに関わらず、幼稚園教諭として仕事はできないだろうと思いました。

    印象的だったのは、幼い主人公に対する両親の『教育』の場面です。
    辛かったはずなのに、その辛さを覚えているのに、それでも実家を離れなかった(=『教育』に成功した)主人公の目線や表情を見ていれば、早くから妹が反抗的になるのも当たり前だと思います。

    子がいながら妹が自分本位に行動してしまうのも、『普通』の子と違って両親から愛されなかったためなのかなと想像しました。主人公と違って『普通』よりに過ごしてきた妹にとって、主人公よりもずっと自分たちのおかしさに触れる機会は多かったでしょうから。

    そんな妹に「教えてや」と詰め寄られても、おかしいと感じる感性を捨ててしまった主人公にとって、『幸せ(=主人公家族にとっての正解)』はあのラストしかなかったのですね。
    おかしいと思い続けるより、考えを捨てることを選んだ。作品中で見える、主人公の唯一の『自我』だったような気がします。

    そして考えることをやめた主人公は、常識をも持ち合わせなくなります。『普通』の人間は、たとえ体調が悪くても良くなるよう動くでしょうし、そこに憐れみを求め続けようとはしない。そうなる前に元気になって、自分の判断がおかしいことに気がつくはずです。

    ラストの先、主人公にとっての幸せはなんでしょうか。
    どうすれば『よかった』んだろう、ならたくさん答えが見つかるのに、どうすれば『いい』んだろう、と未来のことになるともう何も見えなくなります。

    両親が死んだら、
    妹に訴えられたら、
    入院が長引いて仕事を辞めざるを得なくなったら、

    誰が主人公を導いてやれるのでしょうか。
    主人公には誰のことも見えていないのに。

  • 読みやすかった。嫌な家族だ。かわいそうに。
    古賀さん嫌な人かと警戒したけどいい人でよかった。スナックのママは人の接し方がうまい。
    「早い目」って関西では言うんだ。しっかりせぇやっ!お前らが望んだことやろうが!ってかっこいいな。

  • 二人称の語り口が珍しいと思ったが、読み終えたらこの語り口しかなかったと分かる。
    本人であって本人ではない、という距離感がリアルさを深める。

    亭主関白を徹底的に遂行する家庭の異常な様子。母親が夫を増長させているのは明らかだが、父親のDVがそもそもの原因となれば母親も被害者だったのか。だとしてもその歪んでコチコチに固まった価値観を長女に押し付けるその様は、これもまたDVだ。
    両親二人とも全て人のせいにし、自分の優位さを保とうとする。
    こんな教師に教わりたくない。…が、少なからず居るのだろう。
    ジワジワとメンタルが削られ、気付けばずぶずぶと狂気じみた方向へ走り出し、そして最後は爆発する。終わり方にひとすじの光はあるものの、結局救いはないし解決もしない。

    読みやすいが再び最初から読もうとは思わない、でも面白かったと言っていい、不思議な小説だった。

    公彦の成長が気になります。

  • 父親のフキハラとかその機嫌を一生伺う母親とかの呪いでしんどくなった
    「やっぱり女の子は家の事してくれるから助かるわあ」の煮こごりが詰まっている
    公彦どうか歪まずに成長して欲しい

  • 抑圧された状態が丁寧に続き、最後一気に解放される。
    読後の印象が、いつも独特に爽やか。問題解決してないけど新たな価値観を得るというか。

  • 面白かった。
    親子関係やばい。

  • あまり合わない方の純文学だった。もう1冊くらいはこの作者の本を読んで判断したい。

  • はじめましての作家さん
    救いがない!でもこういうのが読みたかった
    普通に暮らしていたはずなのに、子連れで出戻ってきた妹と暮らすようになり少しずつ歯車が狂っていく
    甥っ子の存在は癒しかと思いきや、あらたな生贄
    同僚やスナックママの気遣いがリアルな距離感でいい

  • 25/9/7

  • 本当になんとなく見つけて手にとって、帯を見て、読んだら苦しい気持ちになるだろうなあと思って、それでも読んで、案の定そうなった。
    38歳実家暮らし・非正規雇用の環が、ネグレクト気味のシングルマザーの妹・由梨の息子・公彦の保育園の送り迎えをしたり面倒を見たりしているという話。38歳の娘に門限を強いる両親も頭がおかしいのだが、それから抜け出せない環もどうかしてしまっている。幼い子供を一人家に置いて男に会いに行く由梨もいかれている。個人的には環の父親の一人称が「僕」なのも無性に嫌だった。外面だけは取り繕っている感じが一人称と口調から滲み出ている。ろくでもない登場人物たちを脳内で並べて、つい「だれが一番悪いんだ」と考えてしまうのを堪えて、どうか環の入院をきっかけに、少しでもマシな方に歯車が動いてくれと願うしかない。



  • 生々しさが脈打つテンポで伝わり圧巻だった。ため息を吐いてしまうのは何故か遠い私が見えて長女の責任の何処までが本気に育て上げられているかも未だ分からないまま両親を思い遣っているからだろう。過度の親の厳しさは子を自立させないし子離れもしない。

  • こういう親の善かれの教育が、子どもの将来を奪っていくんだ。門限や家事の遂行、早起きの強要、親の尊重、性からの距離を取らされること。行動も言動もリアルで、本当に胸が苦しくなった。なぜ自由に反抗した方が良い目をできるんだろう。そして、従った方はなぜ家族の尻拭い担当なのだろう。関西弁であることでよりセリフがグサグサ胸に刺さった。これから自分を見つけて生きられることを切に願う。

  • 親にとって良い子であり続けた結果がこれではあまりにも報われない。親の善かれは必ずしも子にとってそうではない。当たり前だけれど、その責任は本人が背負うしかない。ただただどうか救われますようにと祈る。

  • 二人称小説は珍しいなと思った。
    とにかく内容が陰鬱すぎて、最後まで心の距離を取りながら読んでいた。
    長い夜が明けたら、きっと楽に生きていけるはずよ。そういう日は突然やってくる時がある

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