ビラヴド(上) 愛されし者

  • 集英社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087731200

作品紹介・あらすじ

『ビラヴド』-忽然と現れた娘は名のった。逃亡奴隷のセスが、"愛されし者"との願いをこめて、自分が殺した娘のために彫ってもらった墓標と同じだった。壮大なスケールで描く愛と告白の物語。ピュリッツアー賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 南北戦争直後、放浪してくる黒人はみな「何か」の伝手を頼っていた。BELOVEDとしか名乗らない少女に、セスは赤んぼの幽霊が生まれ変わって現れたかと思い当たった。彼女の過去に的確な質問をし、凄惨過ぎて忘れていた記憶を再現してゆく。彼女の男も47人が鎖で数珠繋ぎに鉄の箱に入れられ洪水で満水という状況から脱走し124番地に帰ってくる。父祖の文化は失われ、白人支配にカウンターとするのは「死者の声」であるらしい。
    「言葉がわかる家畜」である黒人のあまりに悲惨な設定に怖気をふるうが、フォークロワみたいな感じで、読ませる。

  • オリジナルテキストを読んでいたのですが、私の英語力の問題により、原書だけで読み解くのが難しかったので、この本も補助的に読みました。非常に参考になりました。
    全部きちんと通して読んだわけではないけれど、原文を読んだときの印象と日本語訳と、大きく違わないので素晴らしいなと思った。
    個人的には、形容詞を付け足しすぎかな?と思う文もなくはなかったけど、直訳のままだと確かに日本語として言い足りない感じがすることもあるので、それでいいのかも。
    私にはそのあたりの匙加減が、正直なところ全然分からない。

    この本では、主人公の名前はセス、となっていて、私もこの本に影響されたわけではなく最初からそう読んでいたけれど、読み終わった後で解説動画などを見ていたら、みんな「セサ」と発音していたので、あ、そうなんだ、と思った。
    この本の改訂版ではセサ、と訳者の方も変更されたみたいですね。
    名前の読み方って難しい。
    夫のHalleは、ハーリ、またはハーリーと発音されていた。まあでも、日本語にするならこの本の訳のように、ハーレになるのかな。

  • belovedをそのままカタカナにしたのでわかりにくかった。愛されしものという日本語訳でいい。USAの黒人の警察官による死亡で新聞に取り上げられた小説である。性描写が多いのであまり学校教育では取り上げられてこなかった小説である。地図がほしい。

  • もう一度じっくり読みたい。
    僅か150年くらい前に人間が人間にこんなことしてた。恥ずかしい、今もまだあるなんて

  • 数日前に読み始めてきょう読了。
    はじめのうち、入り込み方がよくわからない感じでちょっと戸惑ったけれど、徐々に乗っていけるようになってきた。慣れてない書かれ方だったってことかしら。訳も独特の味を出していて、これをこの作品のものだと思うのは危険だなと思う一方、そもそも訳本は訳本としてしかないのだとすれば、ひとつのいい訳かもしれない、とも思う。
    まだ上巻。これ、どういう展開になっていくんだろう。

  • 薦められたので図書館で。
    歌のような祈りのような小説だなあと思いました。人間を道具や動物のように扱うのと愛する者が辛酸をなめるぐらいならいっそ殺害してしまおうとする行為のどちらがより非人道的だというのか。人はどこまで残酷になれるのか。そして濃くなければ愛ではないというのは一種真理かな、とも思いました。

    ビラヴドと呼ばれる割には愛されておらず、愛することも知らずただただ愛を求め続けるだけの存在を愛するだけでは破滅するというのでしょうか。彼女の存在がデンヴァーの自立につながったのならそれはそれでよいことなのかもしれませんが。

    個人的にはわかったような顔をしながら女性が一人でしっかりやっていけると眉をひそめるポールDやスタンプのような男性は嫌いです。女性特有の閉じた世界に入り込めず疎外感を感じるのは何となくわからなくはないですがだったら理解できなくてもそう言う人もいるんだと存在を認めるぐらいはできたんじゃなかろうかと。所詮同じ民族でも境遇が違えば一枚岩ではいられないのがソサエティと言うものなのか。色々考えさせられました。

    奴隷制や差別は重い話ですが知っておかなくてはならない歴史だよなあと思います。アリスウォーカーとか重たいけど読もうな、と思いました。

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