- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087731217
作品紹介・あらすじ
自分が受けた屈辱と悲惨な体験を、わが子に味わわせたくない。白人捕獲人の姿を見たとき、逃亡奴隷セスが何か考えたとしたら、そのことだった。そして…。ピュリッツアー賞受賞作品。
感想・レビュー・書評
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動きが続く情感と異なり、下巻は視覚に訴える形でありつつ全くポルターガイスト現象の誌面というか画面。124番地が霊の棲み処という設定の信組委がこれでもかというほどに読み手に突き付けられてくる。
コルソンホワイトヘッドの名作「地下鉄道」のエネルギッシュでありながら秘めた熱情が背後に流れて浮かび上がってきた(124番地自体,乗車場というイメージも)
そして「青い眼が・」で経験済みとはいえ読み手の感情のエキス迄搾り取るような激しいモリスンの技巧がビンビン続いて行く。
違った意味で「平和な国であり国民である」日本人、そして私には200年余の黒人奴隷の差別と屈辱の日々を体得するのは不可能だ。
しかし「愛されしもの・・ビラヴド」という少女の幻想を通じて実際に起こった地面を土台にした形の凄さは満喫できた(訳者の素晴らしい邦語にもよる)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
南北戦争前後に、ミシシッピーの両岸で、ニグロでいることがどういうことなのか、小説を読まないとわからない。
戦争は北部による南部の植民地化であり職を失った黒人は放浪し問題をいっそう複雑にした…。ヒトに限らず哺乳類の母は子を守る時もっとも凶暴性を発揮するが、捕まえられるぐらいなら殺してしまう、それは種の防衛本能かそれとも愛か。ヒトは家庭を持ちrumorという社会性をもち隣人を差別する。それが《世間》という善悪の規準か?
セスは35年ではじめて仕事に遅刻し怠けるようになり、とうとう解雇された、ビラヴドと居るために… -
ビラヴドがいなくなってしまい、皆が忘れるという最後である。上の方が動きがあった。
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登場人物たちの過去を少しずつ明かしながら、アメリカの奴隷制度の凄惨さが浮かび上がってくる。
肉体的にも精神的にも残酷な扱いを受けてきた黒人たちの愛の物語。