笑いと忘却の書

制作 : 西永 良成 
  • 集英社
3.75
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本棚登録 : 189
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087731460

作品紹介・あらすじ

党の修正により、となりの男に貸した帽子を除いて、すべての写真から消滅した男。一枚の写真も持たずに亡命したため、薄れ行く記憶とともに、自分の過去が消えてしまうのではないかと脅える女…。とというモチーフが、さまざまなエピソードを通して繰り返しヴァリエーションを奏でながら展開され、共鳴し合いながら、精緻なモザイクのように構成される物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「存在の耐えられない軽さ」の著者が、プラハの春でフランスに亡命した時期に書かれた一冊。

    革命が起こる背景にある倦怠感を、生々しく感じることができる。

  • やはりクンデラ、素晴らしい。リートストはこちらにもほしい。
    あまり現実的ではない状況で、奇妙なほどに真実味を感じさせられる。自分が心の底に思っているのはこんな観念で、それは可能的にはこう突き詰められるという、そういった手本を見せられているような気分になる。
    笑いと忘却、のテーマ。天使の笑いと悪魔の笑い=無秩序。男性の快楽と女声の快楽=笑い。折にふれてまた。

  • 変わったタイトルに惹かれて購入しました。
    ミラン・クンデラを知るきっかけになった本。
    基本的には短篇集なのですが、それぞれが何か共通した匂いに貫かれていてそれがこの本を一つの統合された作品にしているように思います。
    気軽に読めるので、この著者を知るにはうってつけの本です。

  • ミラン・クランデの笑いと忘却についての連作短編集。
    クランデの本は「存在の耐えられない軽さ」に続いて2冊目だったんだけど、小説の手法が通じる部分が多いにあり、思想的であり、哲学的であり、面白かった。物語的にも面白くて、読みやすい内容だった気がします。

  • 笑いの方は文化的な背景の違いから現在の私たちの感覚からいえばすこしネガティヴで自虐的な笑いに感じます。忘却に関してでは、人間関係を描きながら短編集の割には高密度のずっしりと重い忘却が成分として含まれています。性表現から物語に切り込む手法がこの作品には多いため、普段そのような書物を読んでいらっしゃらない方にはちょっとした衝撃があるかもしれません。私にはタミナの件、音楽を比喩の表現としている場面が印象的で音楽にも造詣の深い方だったのだと少し感銘を受けました。的確な感情表現が見事で笑いに関するブラックな視線も爽快な作品です。天使は時に無慈悲で残酷な象徴として描かれると、こんなにも非の打ち所のない存在になることが体感出来ました。笑顔が怖いという感覚を文字を通して初めて読みました。

  • 軽い本。

  • 久しぶりのミランクンデラ。すらすら読める本ではないから敬遠しがちだけど、しばらく考えてしまうような比喩や思想がたっぷりつめられていて、いいものを読んだな、という満足した気分にさせられます。
    いや、でももっとこの本から読み取れるようになりたい。自分の背景が足りなすぎる。

  • 天才のことばを読んだ

  •  全七部からなる連作のような小説。過去の記録を何も持たずに亡命したためだんだん過去を忘れていくことに恐怖を覚える女の人の話、広場で輪になって踊っている人たちが天に昇っていく話、学生と田舎のおかみさんとの恋愛話など。ロシアの政治的介入によって自由とアイデンティティを奪われたチェコ人としての苦しみなどがマジックリアリズムを通じて伝わる。どことなく映画的であり風景描写も綺麗。

  • 郷愁、懐かしさなどのクンデラの好きなテーマはすべて入っている。それはそれで面白いけど、なんだか、pretentious...

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2015年 『無意味の祝祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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