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- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087731729
感想・レビュー・書評
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クリーマのキャラクターが最近出会った人に似ていて、想像しながらおもしろく読めた。
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ぼくが敬愛して止まない作家、ミラン・クンデラの長編第4作。
この作品には、魅力のある数多くの人物が入れ替わり現れる。
小さな温泉保養地を訪れたトランペット奏者と嫉妬深い美しき妻。
一夜の過ちから子を宿した看護婦と恋慕する男。
不妊患者に自分の精液を注射する医者。
毒薬をお守りに持つ男と彼を裏切った友人の娘・・・。
しかしながら、この作品に主人公は存在しない。
語り手の眼差しは定まらず、最後まで登場人物の帰結は得られない。
一方で、主人公の不在こそが、人間という受難する存在を浮き彫りにするように思われる。
自己の主体になりえない人間たち。
感情に、人間関係に、社会情勢に、総じて偶然に支配される人間たち。
この耐えがたいほどに軽い存在、けれども滅することの出来ない存在。
これらの主題は、クンデラの後の作品に受け継がれ、「存在の耐えられない軽さ」「不滅」の20世紀を代表する名作に結実する。
行き場のない余韻を残す秀作。 -
筋書きが面白い「物語」だって書けますよっていうクンデラの証明。
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