存在の耐えられない軽さ

制作 : 千野 栄一 
  • 集英社
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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087731774

感想・レビュー・書評

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  • 「目を閉じた男は男の残骸にすぎない」なんてことを書いちゃうあたり
    この作家は目を閉じたことが無い感じがする。

    独りで幻想に浸っているうちは重さも軽さもないよな。張り手された気分だわ。

  • チェコスロバキアの作家がプラハの春に敗れ、ソ連の侵略、蹂躙という恐怖政治時代のチェコを舞台に書いた哲学ともいえる愛の物語

    男トマーシュはSEX依存症とも思えるほどの人数と交わる
    詩的な記憶と彼は呼ぶ心に残ったのはテレザだけ
    そのテレザを手にしてもトマーシュの女性遍歴は止まらない
    女を求めるには二種類あるとトマーシュは言う

    1つは、理想を女に求めでも理想は現実には無い 叙情的なタイプ
    だから、求める続ける

    もう1つは、人間は99%類似性がある
    その僅か1%の差異を求める続ける探究心
    それは努力しないと得られるもの
    誰もが覗けない個々の差異である性行為
    の中にしか見えない
    叙事的なタイプ

    無論トマーシュは後者だった
    テレザはトマーシュを裏切りを知り、彼の愛と性行為は別だともわかるからこそ苦しみもがく

    私の貞節の上で成り立つ二人の関係とテレザは言う

    トマーシュの長年の愛人サビナは存在という重さに耐えられない軽さの女
    自分と相手の関係性が社会に保障され第三者に認められる事に耐えられず移ろう

    死した時は重い土の下では無く、灰となり軽く飛ばされたいそう願うサビナ
    存在に耐えられない軽さを持つサビナ

    人間の時間は輪となり廻るのではなく、真っ直ぐ前に走る
    これが人間が幸せになれない理由
    幸福は繰り返しへの憧れ
    人間は常に新しいもの、刺激を求めてしまう
    それが、突き抜けたトマーシュ
    そんなトマーシュを愛したテレザ
    重さに耐えられないサビナ
    彼らはやはり繰り返しへの憧れが強かった
    手に入らないからこそ渇望する

    誰もが愛し方を間違いそして最後に何を思うのだろう
    多分間違ったまま人は死ぬ
    愛とはまるで非合理で生産性がないからこそ尊いのだと思う

  • むずかしいけど、目がひとつ増えたよ。頭のなかに新たな視点が。目が開くよ。ショッキングです。

  • 哲学的恋愛小説。と背表紙に触れ込みを読んだ瞬間に、
    恋愛にうるさい理屈をはさむのは無粋。などという、
    お決まりの批判が思いつく。

    そんな批判は冒頭の数ページを読めば頭から消え去る。

    いやー、この発想はなかった。
    恋愛小説として読むには尖りすぎた内容。

    恋愛話に味付け程度に哲学をはさみこむのではなく、
    むしろ母体は哲学的考察にある。

    その洞察は深く、単純に感心させられる。

    本の構成も変幻自在の手法が取られていて個性的だ。

    章によって違う登場人物の目線になったり、
    著者が、あくまでこれは創作であるのだから、
    と断りを入れ、話中に割り込んで自分の考察を始めたり。

    第三部に差し込まれた男と女にまつわる小事典も面白い。
    題名は「理解されなかったことば」。

    そして、はっとさせられるような名文が随所にある。

    この本の読み終わりは主要な登場人物の人生の終わりに
    立ち会うことになる。

    読後に「彼らの人生とは何だったのか?」と、ふと思う。

    著者は本の中で登場人物をあくまで
    創作だとわざわざ書いているが、
    それでいて彼らの生きた人生の質感をずしりと感じる。

    なんだか大きな荷物を任されたような読後感だ。

  • 正直、最後のわんことのエピソードで前半の読後感もふっとんでしまったが、とにかく素晴らしかった。
    全体を支配する寂しさは、サガンなどを思い出したりする。クンデラはチェコの作家だけどなんとなくフランスの作家の雰囲気を感じたりする。ふわっとした浮遊感からじわじわと重くなっていくような陰鬱感。
    クンデラも場合、時に悪ふざけとも思えるギャグ的な要素も顔を出すがそれがまた気がつくと陰鬱さを助長させる。このいいようのない陰鬱さは映画「めぐりあう時間たち」をなんとなく想起させた。
    物語の背景となる「プラハの春」やその後の展開についての歴史的・政治的知識が余りないため、実感としての理解ができなかったが、それを差し引いても十分に面白い作品だった。

  • 登場人物の行動に対し、著者が疑問と解説を行う。読んでいる間も読後も、考えさせられる。思想と歴史の知識が必要だった。池澤夏樹訳も読んでみたい。

  • ものっすごい重たい。
    哲学的。

    こんなこと考えながら恋してたらそら死にたくなる。
    深く深く考えてみたいけど
    恋が楽しくなくなりそうなので

    記憶にだけはとどめておきたいな、っていう一冊。

  • 読む人、翻訳者、読むときさらされている環境、
    そういうものによって読み方がいかようにも変わる。
    歴史的な背景も思想的な背景も頭になければ耽美小説、
    それらがあれば批判も読み取れるだろうに。
    愛ってなんだろね。
    「愛だろ、愛」って昔やってたCMそういえば好きだった。

  • ☆☆☆☆☆

  • よい。<br>
    よい本です。<br><br>

    読むのに時間掛かった…<br><br>

    中学生の時初めて哲学的な随筆を教科書で読んだときのような
    頭の使い方をしました。<br>
    こういう読書をしたのは久しぶりです…。
    <br><br>
    ごく稀に意味の通じない文があった。<br>
    訳者のミスか私の理解不足かは謎。<br><br>

    一冊手元に置いてあと何回か読み返す必要、あり。

著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2015年 『無意味の祝祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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