存在の耐えられない軽さ

制作 : 千野 栄一 
  • 集英社
3.77
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本棚登録 : 217
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087731774

作品紹介・あらすじ

ほんとうに重さは恐ろしく、軽さはすばらしいことなのか?男と女の、かぎりない転落と、飛翔。愛のめまい、エロティシズム…。冷戦下の中央ヨーロッパの悲劇的政治状況の下で、存在の耐えられない軽さを、かつてない美しさで描く、クンデラの哲学的恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的に、ずっと一定の暗い雰囲気を保っていて最後で地上から3センチくらい浮くような作品がすきなので、この作品の読後感はとても好物であった。
    主要登場人物のトマーシュ、テレザ、サビナ、フランツ以外の著者が語るような形式であるが、たまに物語とはなれたところにいる著者の意見などが挟まれているのが珍しくておもしろいと思った。

    結構前から読みたいと思っていたところ、某雑誌で某女優がおすすめしていて、彼女が自分は受験生だったから癖で気に入った箇所に線を引いていた、ようなことを言っていた。
    その話を知っていたからではないけれど、自分も気に入った文章をブックマークしてしまった。
    これは多分彼女が受験生だったからではなくて、この作品の持っている特性のような気もした。おかげで手帳が真っ黒。

  • 「目を閉じた男は男の残骸にすぎない」なんてことを書いちゃうあたり
    この作家は目を閉じたことが無い感じがする。

    独りで幻想に浸っているうちは重さも軽さもないよな。張り手された気分だわ。

  • 愛読書。読むたびにいろいろな新しい発見がある。ヒトについて、世界について。一見とっつきにくいけど、「うん、そういう感じわかるわかる〜」とうなずいてみたり、「はて、これは…」と考えさせられたり。そんなラブストーリー。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      文庫化された時に再読して以来、ご無沙汰。西永良成によるフランス語版からの翻訳を読もうと池澤夏樹個人編集世界文学全集を購入したが、何となく積読...
      文庫化された時に再読して以来、ご無沙汰。西永良成によるフランス語版からの翻訳を読もうと池澤夏樹個人編集世界文学全集を購入したが、何となく積読中(読みたい本が一杯有り過ぎて後回しに)、、、
      2014/02/26
  • 「プラハの春」の頃のチェコを舞台に、プレイボーイの外科医トマーシュと若き妻テレザ、そしてトマーシュの愛人にして画家のサビナの3人による愛の物語。人生で度重なる愛の苦しみは重く辛い。しかし愛に思い悩むことがなければ、それこそ「存在の耐えられない軽さ」だろう。

  • 大変哲学的。普通の人の人生をここまで哲学的な思想に高めてしまっているのがすごい。どちらが悪かどちらが善か、軽さと重さ、幸福か不幸か。そんな二極化思考でどちらが正しいかなんて決めることはできない。自分の頭の中のモノサシ自体を疑ってみなければならない。そう感じた作品でした。

  • チェコスロバキアの作家がプラハの春に敗れ、ソ連の侵略、蹂躙という恐怖政治時代のチェコを舞台に書いた哲学ともいえる愛の物語

    男トマーシュはSEX依存症とも思えるほどの人数と交わる
    詩的な記憶と彼は呼ぶ心に残ったのはテレザだけ
    そのテレザを手にしてもトマーシュの女性遍歴は止まらない
    女を求めるには二種類あるとトマーシュは言う

    1つは、理想を女に求めでも理想は現実には無い 叙情的なタイプ
    だから、求める続ける

    もう1つは、人間は99%類似性がある
    その僅か1%の差異を求める続ける探究心
    それは努力しないと得られるもの
    誰もが覗けない個々の差異である性行為
    の中にしか見えない
    叙事的なタイプ

    無論トマーシュは後者だった
    テレザはトマーシュを裏切りを知り、彼の愛と性行為は別だともわかるからこそ苦しみもがく

    私の貞節の上で成り立つ二人の関係とテレザは言う

    トマーシュの長年の愛人サビナは存在という重さに耐えられない軽さの女
    自分と相手の関係性が社会に保障され第三者に認められる事に耐えられず移ろう

    死した時は重い土の下では無く、灰となり軽く飛ばされたいそう願うサビナ
    存在に耐えられない軽さを持つサビナ

    人間の時間は輪となり廻るのではなく、真っ直ぐ前に走る
    これが人間が幸せになれない理由
    幸福は繰り返しへの憧れ
    人間は常に新しいもの、刺激を求めてしまう
    それが、突き抜けたトマーシュ
    そんなトマーシュを愛したテレザ
    重さに耐えられないサビナ
    彼らはやはり繰り返しへの憧れが強かった
    手に入らないからこそ渇望する

    誰もが愛し方を間違いそして最後に何を思うのだろう
    多分間違ったまま人は死ぬ
    愛とはまるで非合理で生産性がないからこそ尊いのだと思う

  • チェコを舞台に、左右の政治的動乱で揺れる中、男女の愛の在り方を、宗教、哲学的史観から描ききった格式高い小説。一人ひとりが愛の在り方に揺れるさまが愛しい。トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツの愛に対する真摯さ。そしてカレーニンの愛くるしさ。愛のあり方を描く現代小説の名作。

  • むずかしいけど、目がひとつ増えたよ。頭のなかに新たな視点が。目が開くよ。ショッキングです。

  • 映画のイメージが強すぎて、映画のイメージに引きずられながら読んだ。

    気に入った箇所。

    「人生のドラマというものはいつも重さというメタファーで表現できる。われわれはある人間が重荷を負わさがという。その人間はその重荷に耐えられるか、それとも耐えられずにその下敷きになるま、それと争い、負けるか勝つかする。(略)いや。彼女のドラマは重さのドラマではなく、軽さであった。サビナに落ちてきたのは重荷ではなく、存在の耐えられない軽さであった。」

    「強制収容所とは昼も夜も耐えず人が並んで暮している世界である。強制収容所とはプライバシーの完全な破壊である」

    存在の耐えられない軽さ。理解できるようでやはりよくわからない概念だ。

  • 生きることは困難だ。
    人と関わるのは困難だ。
    誰かを愛するのは困難だ。

    でも生きたい。なぜなら生まれてきて、今ここに存在しているから。
    人と関わりたい。人間は一人きりで生きるようにはできていないから。
    誰かを愛したい。誰かに心からの愛を捧げて、受け入れられたい。愛を夢見ることもできなくなったら、とても生きてはいられない。どんなに短くても、心から愛し愛されたと信じられる時間があったら、人生の全てを美しく照らしてくれると知っているから。

  • 哲学的恋愛小説。と背表紙に触れ込みを読んだ瞬間に、
    恋愛にうるさい理屈をはさむのは無粋。などという、
    お決まりの批判が思いつく。

    そんな批判は冒頭の数ページを読めば頭から消え去る。

    いやー、この発想はなかった。
    恋愛小説として読むには尖りすぎた内容。

    恋愛話に味付け程度に哲学をはさみこむのではなく、
    むしろ母体は哲学的考察にある。

    その洞察は深く、単純に感心させられる。

    本の構成も変幻自在の手法が取られていて個性的だ。

    章によって違う登場人物の目線になったり、
    著者が、あくまでこれは創作であるのだから、
    と断りを入れ、話中に割り込んで自分の考察を始めたり。

    第三部に差し込まれた男と女にまつわる小事典も面白い。
    題名は「理解されなかったことば」。

    そして、はっとさせられるような名文が随所にある。

    この本の読み終わりは主要な登場人物の人生の終わりに
    立ち会うことになる。

    読後に「彼らの人生とは何だったのか?」と、ふと思う。

    著者は本の中で登場人物をあくまで
    創作だとわざわざ書いているが、
    それでいて彼らの生きた人生の質感をずしりと感じる。

    なんだか大きな荷物を任されたような読後感だ。

  • 再読。愛は人に重さを与える。弱さは武器であった。裏切りはあるものにとっては自由と同義語であり、俗悪なものは違うものにとっては正義だった。ドイツの諺は物語全体を覆う呪いとなり、ベートーベンの音楽は男主人公トマーシュを縛る鎖になった。偶然、男と女の言葉の誤解、分かち合うことの出来ないもの。犬への愛。翻弄されるチェコの歴史。この物語を真に理解出来るようになるのはいつだろう。

  • 正直、最後のわんことのエピソードで前半の読後感もふっとんでしまったが、とにかく素晴らしかった。
    全体を支配する寂しさは、サガンなどを思い出したりする。クンデラはチェコの作家だけどなんとなくフランスの作家の雰囲気を感じたりする。ふわっとした浮遊感からじわじわと重くなっていくような陰鬱感。
    クンデラも場合、時に悪ふざけとも思えるギャグ的な要素も顔を出すがそれがまた気がつくと陰鬱さを助長させる。このいいようのない陰鬱さは映画「めぐりあう時間たち」をなんとなく想起させた。
    物語の背景となる「プラハの春」やその後の展開についての歴史的・政治的知識が余りないため、実感としての理解ができなかったが、それを差し引いても十分に面白い作品だった。

  • 軽さに転じたフランツはやはり重さから逃れられなかった。
    上院議員とサビナの一説が好き。
    10年後くらいにまた読み返したい。

  • 登場人物の行動に対し、著者が疑問と解説を行う。読んでいる間も読後も、考えさせられる。思想と歴史の知識が必要だった。池澤夏樹訳も読んでみたい。

  • ものっすごい重たい。
    哲学的。

    こんなこと考えながら恋してたらそら死にたくなる。
    深く深く考えてみたいけど
    恋が楽しくなくなりそうなので

    記憶にだけはとどめておきたいな、っていう一冊。

  • この作品の最大の欠点は説明が多すぎることです。ですが、それはcharmでもあります。
    キッチュ(俗悪なもの)の下りが頭で理解できませんでした(心ではほんのりと感じ取れた)

  • 映画を先に観ました。
    本には映画に無い哲学感が満載です。
    良いです。

  • 恋愛ものが好きではない私にも読めた恋愛小説。
    軽いと重いどちらがより優れているかなんてない。

  • 読む人、翻訳者、読むときさらされている環境、
    そういうものによって読み方がいかようにも変わる。
    歴史的な背景も思想的な背景も頭になければ耽美小説、
    それらがあれば批判も読み取れるだろうに。
    愛ってなんだろね。
    「愛だろ、愛」って昔やってたCMそういえば好きだった。

  • ☆☆☆☆☆

  • 苦悩する恋人たち。不思議な三角関係。男は、ひとりの男に特別な感情を抱いた。鮮烈でエロチック…。プラハの悲劇的政治状況下での男と女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。

  • よい。<br>
    よい本です。<br><br>

    読むのに時間掛かった…<br><br>

    中学生の時初めて哲学的な随筆を教科書で読んだときのような
    頭の使い方をしました。<br>
    こういう読書をしたのは久しぶりです…。
    <br><br>
    ごく稀に意味の通じない文があった。<br>
    訳者のミスか私の理解不足かは謎。<br><br>

    一冊手元に置いてあと何回か読み返す必要、あり。

  • 1/9読了

  • 存在は耐え難いほどに「軽く」
    しかし、このテーマは耐え難いほど「重い」
    恋愛を通じて描き出されるのは
    人間存在の質量であり、それは
    重力でもある。。とか思う。

  • たくさん考えさせられた本。恋愛小説のはずだが、そうは思えない。軽いということは、他の誰でもいいということ。自分の存在を確認するために、人は重さに逃れるのかもしれない。一度読んだだけではわからない深い内容だと思った。

  • クンデラはどれも好きですが、やはり映画化もされたこの作品が一番好きです。

  • 非常に難解な、恋愛と思想、また哲学の物語です。
    ほんとうに重さは恐ろしく、軽さはすばらしいことなのか?
    クンデラの哲学的恋愛小説。

  • やべー感想ためすぎた!!!クンデラ以降は適当に書きます。

    小説なのに、いちいち作者がその場面について解説してくるという変な小説。

  • 難しい・・でも好き。冒頭、永劫回帰と「重さ・軽さ」の話が興味深いです。でも何かを語れるほど読めてない・・・。これからも、何度でも、読み返しては新しい発見をすることでしょう。宝物だらけの砂浜を掘り返すみたいに。読み切れてないってことで星よっつ。(そればっかり)

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2015年 『無意味の祝祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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