ヴェネツィア 水の迷宮の夢

  • 集英社 (1996年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (152ページ) / ISBN・EAN: 9784087732399

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

悠久の歴史を持つ水の都、ヴェネツィアを舞台にしたこの作品は、著者の深い郷愁と幻想的な美しさが織り交ぜられた大人のための物語です。現代的なエッセイ調の散文詩として描かれた内容は、水と光をキーワードにし、...

感想・レビュー・書評

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  • 北のヴェネツィアと呼ばれた旧ソビエト・レニングラード出身のヨシフ・アレクサンドロヴィチ・ブロツキー(1940~1996年)は、1987年(47歳)にノーベル賞を受賞しました。

    「ヴェネツィア――水の迷宮の夢」は、彼が米国へ亡命後、何度も訪れ愛してやまなかった水の都イタリアのヴェネツィアを舞台にしています。悠久の歴史や水の流れがブロツキーの郷愁を誘ったのかもしれないな~なんて思える、しっとりとした大人の作品です。

    現代的なエッセイ調の散文詩のような小説で、水と光をキーワードに夢のような幻想的な美しさを表現しています。つらつらと眺めているうちに、人生の澱(おり)のようなものがいつのまにか洗い流されるよう(笑)。

  • 水は鏡、水は時。街路は迷宮で、冬のヴェネツィアは片思いの超美女、あるいは芥子と蜂蜜色の瞳の恋人なのです。愛してくれないと分かっても、通わずにはいられない。
    街の描写が美しすぎて、私もヴェネツィアに行きたくなってしまいました。

  • 思索的な内容で好みだった。ヴェネツィアに行って水と光の風景を浴びてみたい。

  • 栩木氏の本に紹介されていました。この方も詩人さん。ヴェネツィアを彷徨いながら頭に浮かんだことを描写している感じが面白かったです。

  • ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

     この本は著者が17年間冬のヴェネツィアを訪れた滞在記となっていて、エッセイとも私小説とも読むことができます。
     本では著者によるヴェネツィアの心象風景が水と光をモチーフに描かれ、断片的な挿話が幾千もの水路でつながっているかのように展開されます。それらはヴェネツィアの都市そのものを彷彿させます。ヴェネツィアへ行かずして文章で味わえるこの本には、多くの隠喩が織り込まれ、著者の辛らつなアイロニーに満ちています。

  • ノーベル文学賞

  • 17年にわたる冬のヴェネツィアの旅の記憶を、「水の迷宮の夢」(副題)として結晶させた一冊。気ままなようでいて周到な計算を感じさせる断章の連なりは、迷路のようなヴェネツィアの街路や水面の影のように美しく、捉えどころがなく‥ただ、詩的ではあっても感傷的ではない。その辛口な味わいに痺れる。

    超美女、ミノタウロス、ほの暗い鏡の迷路、その果てに設えられた秘密の寝室。記憶、視線、冷気、灰色に閉ざされた冬の街。「ぼく」が見つめる辛子ー蜂蜜色の瞳。

    道具立てとムードは完璧、ストーリーらしいストーリーがなくても平気‥ではあるのだけれど、この種の読書には彫琢された日本語が欠かせない。いやいや、この種の文章は読者が耽美に浸るためにある、とまでは言わないけれど、例えばこういう翻訳はどうかと思ってしまう。

    「もしも今、読者諸君が閉口しているとすれば、それは他でもない、こういう創作上のなんじゃもんじゃが、そのうしろにあったからである。」

    なんじゃもんじゃ‥。そう訳す必然は、ほんとにあったのかい‥。

    翻訳次第では星5つの可能性もあったと思う。筆者がノーベル文学賞受賞作家ということを差し引いても、惜しい。(2018.5.16読了)

  • その町に住まないことで夢を見続けられるのかなという気がしました。

  • 2016/10/22 読了

  • ふらりと立ち寄ったCOW BOOKSにて購入。作品の魅力よりもブロツキーという存在を知り、その経歴に魅力を感じたのが購入の原動力だった。

  • 読友の方の推薦本。ブロツキーはロシア系アメリカ人で、1987年のノーベル文学賞受賞者。さて、本書は小説ということにはなっているのだが、プロットらしきものはまったくない。17年間冬のヴェネツィアに通いつめた著者が、その迷宮をさ迷い思索した記録がこれだ。トーンの全体は薄明、あるいは夜の中、また昼間でも濃い霧に覆われていたりする。水路にひたひたと打ち寄せる静かな波や、ラグーナの匂いなどを彷彿とさせる筆致だ。明るい夏の陽光の中にあるのとは、いわば対極的なヴェネツィアだ。冬のヴェネツィアの憂愁はまことに深い。

  • トーマスマンの「ヴェニスに死す」あるいはヴィスコンティ映画に触発されて、あらためて「ウオーターマーク」を読みました。

    ヴェネツィアを語る小説としては出色の短編。

    やはり終章が美しい。(引用に一部記載)

  • 私の文学的知識の低さにより理解できない箇所多数。
    ただ理解できないなりに文章の美しさは読み取れる。なので読んでて不快ではない。水の迷宮で迷子というかんじ。
    もう少し読み返して理解を深めたい。

  • 本書は、アメリカ亡命後の72年から17年の間、ほとんど毎年のようにヴェネツィアを訪れた詩人の、ヴェネツィア滞在の印象記。彫琢された、美しい文章の、散文詩のような51の断章からなる。ヴェネツィアの水と光をモチーフに、多くの隠喩やアフォリズムを織り込んだフーガのような作品。ノーベル賞受賞作家の小説、本邦初紹介。

  • 暗く静かな夢に沈み込む。

  • 旅行記っぽい小説です。
    ブロツキーの『私人』というノーベル賞受賞講演も胸にじわじわきますよ。

  • 10年以上、積読されていたのですが、このたびやっと読み終わりました。
    しかも、たった140ページ程度なのに、1週間近くもかかって・・・^_^;
    実は10年前にも一度ページをくくったのですが、閉じてしまった・・
    今回、イタリア語を独学し始めて、あ・・今なら、あれが読めるかもって思い出して手に取ったのですが、なかなか、読み進まなかったですねぇ・・・
    この作品は、ノーベル賞受賞作家の作品なのですが、どうも波長がシンクロしない・・・
    17年間、毎年のようにヴェネツィアに通った作者が、どんなにヴェネツィアに惚れているか・・どこにそんなに魅了されたか・・それはわかるのですがね・・・
    それに、ヴェネツィアについて学ぶところも沢山ありましたよ。
    もし冬にヴェネツィアに行くなら、長靴を持っていったほうがいい・・とか(水位が上がって水浸しになるらしい)
    最近良く、ヴェネツィア水没の話をニュースでみますが、1990年代にすでに始まっていたのですね・・

    作者の彼はもともとロシアの人で、詩人や劇作家をしていたのだけど『有益な仕事につこうとしない徒食者』として逮捕され・・へ?ロシアにはそういうことがあるんだ・・・(@_@)
    強制労働5年を支持者によって1年半にされるも、1972年に国外へ追われてアメリカに逃亡、創作活動を続けながら大学で教えたりしつつ1987年にノーベル文学賞を受賞されたそうです。
    文中にもありましたが、心臓がお悪くて、1996年ニューヨークの自宅にて、心臓病でお亡くなりになっています。

    読んでて感じたのが、実は私にも結構な愛国心があるのだ・・ってこと。
    文中に2ヶ所、日本を揶揄する気になる箇所が出て来て、途端に嫌な気分になってしまったのですね・・・
    そんなことが1週間近くかかっちゃったって理由でしょうか・・・
    二度目だし、途中で投げないを信条にしているのでなんとか読み終えました^_^;

    ヴェネツィアは3番目に行きたいイタリアの場所となりました。
    (一番はフィレンツェ、これは不動!二番はローマ@ヴァチカン含む)

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