ヒューマン・ステイン

  • 集英社
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本棚登録 : 74
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087733952

作品紹介・あらすじ

71歳のユダヤ系アメリカ人コールマン・シルク。輝かしい経歴を誇る古典学の教授である。そんな彼が黒人学生に対して人種差別発言を行ったと非難され、大学を追われることになろうとは…。そんな発言ができないことは、誰よりも彼自身が一番よく分かっている。なぜなら、彼には人生のすべてを賭けた秘密があったから…。失意のどん底でコールマンがつきあい始めたのは、すべてが対極的な位置にあるフォーニアだった。貧しく、無学で粗野、暴力を振るう元夫につきまとわれ、常に怯えながら暮らしている若い女性。だが親子ほども年の違う二人の恋は、周囲に新たな波紋を巻き起こすことになる…。巨匠フィリップ・ロスが一人の男の運命に20世紀アメリカの苦悩と悲劇を重ねて放った問題作。ペン/フォークナー賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 原書も併せて読んだ。
    あまりにも重く救われない内容だけど、皮肉のエッジが効き過ぎて逆に痛快だね。

  • 3.73/66
    内容(「BOOK」データベースより)
    『71歳のユダヤ系アメリカ人コールマン・シルク。輝かしい経歴を誇る古典学の教授である。そんな彼が黒人学生に対して人種差別発言を行ったと非難され、大学を追われることになろうとは…。そんな発言ができないことは、誰よりも彼自身が一番よく分かっている。なぜなら、彼には人生のすべてを賭けた秘密があったから…。失意のどん底でコールマンがつきあい始めたのは、すべてが対極的な位置にあるフォーニアだった。貧しく、無学で粗野、暴力を振るう元夫につきまとわれ、常に怯えながら暮らしている若い女性。だが親子ほども年の違う二人の恋は、周囲に新たな波紋を巻き起こすことになる…。巨匠フィリップ・ロスが一人の男の運命に20世紀アメリカの苦悩と悲劇を重ねて放った問題作。ペン/フォークナー賞受賞。』

    原書名:『The Human Stain』
    著者:フィリップ・ロス (Philip Roth)
    訳者:上岡 伸雄
    出版社 ‏: ‎集英社
    単行本 : ‎464ページ
    受賞:ペン/フォークナー賞

    メモ:
    死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • クリントン大統領のセックススキャンダルで、善人ぶりたい情熱に沸き返るアメリカ。
    ユダヤ人学部長はとるに足らない発言を糾弾され、人種差別により地位を追われます。しかし、彼は大学の女性用務員と関係を持ち、社会に背を向けながらも新たな自由に目覚めます。そして、教授には人種差別などするはずのない秘密があるのでした。
    人間を脱理想化しその物質性に気づかせる"人間の穢れ"、セックス、人種、戦争…。主人公の見た夢、ホワイトハウスを覆う旗に記された言葉、「ここに住んでいるのは人間という動物です」がこの物語を象徴しているようです。
    私たちは自らの動物性をわすれ、すぐに幼稚な希望に囚われてしまうようですが、その希望はまた"人間の穢れ"に裏切られる宿命にあるようです。

  • 71歳のユダヤ系アメリカ人コールマン・シルク。輝かしい経歴を誇る古典学の教授である。そんな彼が黒人学生に対して人種差別発言を行ったと非難され、大学を追われることに。巨匠フィリップ・ロスが一人の男の運命に20世紀アメリカの苦悩と悲劇を重ねて放った問題作。ペン/フォークナー賞受賞。

  • 映画『白いカラス』を観て感銘を受け購入し、
    やっと読んだ一冊。



    人種差別
    性的虐待
    ベトナム戦争後の心的外傷後ストレス障害
    女性の社会進出
    アカデミズムの陰に潜む傲慢と怠惰
    エンターテイメント化していく政治

    これらのアメリカが抱える根深い問題を辛辣に描きながら、
    各々の人物を深く掘り下げつつ、
    全体を一貫性ある物語に仕立てる筆力に感服。

    何をもから自由に、
    己が、己であることを受け入れ、謳歌し、
    世界へと表明したいだけのことなのに、
    それをどこまでも阻害し続ける、
    ヒューマンステイン=人間の穢れ。
    真の意味で自由になることなどないのかもしれぬが、
    それを願い、夢見て、
    実行しようとし、
    そのために自ら編み出し選び取った手段が、
    実はいつまでも己を苦しませ続ける事実となった人々の、
    絶え間ない連なり、その葛藤。



    原作を読んでからでは、
    映画は本当に表面的な部分しか伝えていないということがわかる。
    映画自体は、素晴らしい仕上がりだし、
    これからも好きな1作だが、
    是非に原作を読んで欲しい。

    そして、
    読解できるのならば、
    私は是非原著を読みたい。
    (まぁ、これは訳本を読む時にいつも思うことだが)

  • 重いのかもしれないけど知るべき事実。

  • 映画「白いカラス」の原作。映画は予告編しか観てないんだけど、ニコールキッドマンとアンソニーホプキンス、ゲイりー・シニーズの顔を思い浮かべながら読んでしまった。イメージ通りのキャスティングだと思う。
    特にゲイりー・シニーズ。
    この救われない閉塞感、本だと心に響かないんだけど、映画だとどうなんだろう?

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著者プロフィール

フィリップ・ロス(Philip Roth)
1933年3月19日、米国ニュージャージー州ニューアーク市に誕生。1959年、短編5作と中編1作を収めた “Goodbye, Columbus”で全米図書賞を受賞。1969年、4作目の小説 “Portnoy’s Complaint”(『ポートノイの不満』)を発表すると、批評的にも商業的にも成功を収める。著書は全31点。ピューリッツァー賞、マン・ブッカー国際賞などを受賞。全米批評家協会賞と全米図書賞は2度ずつ獲得している。2012年に執筆活動を引退し、2018年5月22日に85歳で死去。
注:本書では中編小説“Goodbye, Columbus”のみの日本語訳を収録

「2021年 『グッバイ、コロンバス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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