復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇

  • 集英社 (2003年12月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087734034

作品紹介・あらすじ

1819年、ナンタケット島を出航したエセックス号はクジラに襲われ、乗組員は漂流、生還したのは数名にすぎなかった。『白鯨』のもととなったアメリカ捕鯨史上最悪の悲劇を再現。全米図書賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 捕鯨船エセックス号は怒ったマッコウクジラに沈没させられた。―現実のエセックス号の悲劇は、この『白鯨』のクライマックスの後から始まる。捕鯨船から脱出したのは20人、そのうち、生き残ったのはわずかに8人だった―。本書は、事件からおよそ180年後、犠牲者と同じナンタケット島に住む歴史家が綿密な調査で明らかにし、全世界を震撼させた問題の書である。全米図書賞受賞作品。

  • 2020年4月28日BunDokuブックフェアで紹介されました!

  • 極限状態での凄惨な描写、生還後もトラウマに苦しめられる様が悲劇。
    漂流記は、苦難を乗り越えて無事生還、メデタシメデタシで終わるのが物語としては美しいけど…

  • 映画を見て興味を持ち、原作の本を読んだ。こちらのほうがずっとリアルで凄絶で、映画の印象は吹き飛んでしまった。様々な視点からの資料を元に構成されたノンフィクション。

  • 映画”白鯨との闘い”を観て、この本が元となっていると知り読んでみた。
    一等航海士のチェイスと船長のポラードのキャラクターがちょっと違っていたのね。
    チェイスはものすごく美化されて英雄みたいに描かれていたけど、そもそもポラードの意見を聞かず食人種がいると間違った思い込みで近くの島に行かず永遠と遠回りすることになり、あんな悲惨な結果になったとは。確かにリーダーシップはすごかったよう。
    この本を読むと飢餓がどれほど苦しいことか、脱水症状が進むとこんな症状がでるのかとか、と読んでいて辛くなった。
    果ては人肉を提供するためにクジをひいて、そのくじを引いた人を撃ち殺す人もくじで決めてって気が狂うわ。
    実際、チェイスは晩年、発狂したとあった。
    それにしても、自分の飽食を反省した。

  • 「白鯨」のモデルになったエセックス号遭難のドキュメント。捕鯨で生計を立てるナンタケット島の歴史風俗から、当時の捕鯨船と乗組員の描写、他の有名な難破や食人の事例など、バックグラウンドの解説が豊富で、単なる悲劇物語に終わらない内容になっている。乗組員の漂流時の様子で興味深かったのは、士気の有無が極めて重要な要素になっていた点。茫然としているより、疲労していても何か仕事を見出すことによってむしろ活気が生まれる描写などは、人間の生き方そのものを表しているよう。(もっとも飢餓が進むと、"社会性やモラルが驚くほど軽く"なり、限りなく動物に近づく事にはなるが)
    有史以来、海上漂流や食人の例は枚挙に暇がないと思うが、この事件がひときわ興味を惹くのは、クジラを捕る人間たちへのクジラの襲撃が発端となっているところかと思う。遭難後強弱が逆転し、貧弱なボート上でシャチやクジラに怯える心理などは、一連の流れが、人間界と自然界という両者の闘いにも見え、より劇的な印象を受けた。

  • 人間の「業」と、肉体的にも精神的にも「究極の状態」について考えさせられる。

    『クジラの構成要素の一部(頭部、脂肪層、アンバーグリースなど)だけが価値あるものと見なされ、残りは捨てられた。・・・アメリカ西部の大草原には、皮をはがれたバッファローの死骸が散らばることになるが、同様に十九世紀初頭には頭部を切断されたマッコウクジラの灰色の死骸が、太平洋に散乱していたのだ。』
    『サバイバルについて研究する現代の心理学者によると、災難の初期の段階ですばやく、確固たる決定を下す必要があるため、・・・』
    『身体は脱水状態からはすぐに回復するが、飢餓の影響から立ち直るまでには、うんざりするほど長い時間がかかる。』

  • 海の物語。空の上、飛行機の機内誌のレビューで見つけた本です。
    ものすごく探し回って手に入れました。
    人間の極限状態。知っておいて損はないと思います。

  • 海こえええ。人間は良環境が確保できないとこれほど脆弱か。ゴキブリとか見習いたい。

  • 19世紀の海難事故として最も有名な、捕鯨船エセックス号がマッコウクジラに体当たりされてから8千キロ以上も漂流したこの事故はメルヴィルの「白鯨」の下地になった実話としても知られている。残酷なまでの、この驚くべき話が実話であることがすごい。解説がしっかりしていて、当時の航海の状況がよくわかるが、極限の飢餓状態に関する描写はとても生々しいのでお読みになる方はご注意を。

  • これが現実に起きたことだというから怖い。怖いというより圧倒される。「シービスケット」は感動した、といえば済むのかもしれないが、こちらはそうはいかない。
    欧米(古くからの捕鯨国は除く)の捕鯨とはどういうものだったのかが判る、というのが日本人としてはまず最初に感ずるところだろう。私たちが知っている捕鯨からは程遠い、正直言ってこれは蛮行である。これが欧米の持っている、グリンピースが怒りをぶちかます捕鯨の姿なんだ、とまず、判る。鯨油だけ取って後は本当に捨てていたのだ。鯨に対する気持ちがすでに違う。
    続いて、この物語が「白鯨」の元になった実話である、というのに驚かされる。しかしこの本の中心は「その後」なのだ。そしてそこにこそ物語の神髄がある。
    人間の行動とはどいうものかがよく判る。人ごとに違う対応の仕方をするのもよく判る。そしてその事件を通して人がどう変わるのかもよく判る。
    人間は恐ろしい。その上、人間は素晴らしい。

  • 8/7読了

  • 大変な本を読んでしまった!巨大なマッコウクジラの襲撃によって沈没した捕鯨船エセックス号…これは、過酷な生の地獄を体験した男たちの物語。すべて実話です。どんな小説や映画も色あせて見える真実のストーリー。ハーマン・メルビルの「白鯨」は、この事件を原型にしています。

  • クジラに襲われて捕鯨船が沈没したという珍しい事件のノンフィクション。悲惨極まる漂流記でもあるが、捕鯨の島ナンタケットの歴史と文化の書でもある。恐らく、この本を読めば、クジラの数を減らしたのは日本人ではないことを簡単に理解してもらえると思う。それだけ、ページが進むにつれクジラの数が減ってゆく。より遠くのクジラを捕らえるため、捕鯨船が大型化し、地理的に不利なナンタケット島の捕鯨はやがて廃れてゆく。小さな島の歴史でしかないが、一つの文明の栄枯盛衰のように感じてしまうのは著者の力量だろうか。しかし「In the Heart of the Sea 」が「復讐する海」と訳されたのはちょっと納得がゆかない。

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