アフリカのひと 父の肖像

  • 集英社 (2006年3月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784087734423

作品紹介・あらすじ

魅力ここに極まる、その父の面影。初の回想録。
作家ル・クレジオの誕生はアフリカと父との出会いにあった! 幼い心と身体に奥深く浸透した彼の大地と自然。医師として植民地アフリカに人生を捧げた父の姿を真正面から描き、自らの原点を明かす。

感想・レビュー・書評

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  • イギリスの植民地支配の中で、カメルーン、ナイジェリアに唯一人の医師として従事した作者の父。イギリスで生まれた父が、「アフリカのひと」となる。何が父親を変えたのか?作者にとって、馴染めない部分を持つ父親を理解しようと、作者のアフリカで過ごした幼少時代の頃の回想とともに、植民地主義の最終的段階、第二次大戦、植民地の解放と独立といった歴史が大きく動いた時代が描かれる。その、大きな歴史の中に、植民地行政の医師といった一人の父親の人生が位置づけられる。そしてその一種特殊な職業的経歴が一人の人生に与えた影響を考えさせられる。これは、作者が父親の肖像を描いた個人的な回想録であるとともに、それを越えて、時代の中で翻弄された一人の人生が浮き彫りにされる。

    植民地主義というと、大国の権力争奪戦とか、何か大きな国家の力ばかりがイメージしてしまうが、実際に現地に赴いた植民地行政官や作者の父親のように医師として関わった一人、一人がどのようにそこで現地の人々と接したか、どのように植民地主義を考えていたかを知ることは興味深い。
    この本は、そんな視点も提供してくれる

  • 英国植民地下のモーリシャス島に生まれ、英国軍所属の医師として英国植民地であったアフリカの地を転々とした父への回想。第二次世界大戦による家族との断絶、帝国主義的植民地支配の矛盾を目の当たりにし、孤独に陥りながらもずっとアフリカの現状を慮り生を終えた父の目を通してル・クレジオがアフリカの姿と現実を、未来をも見つめて描き出す。ポストコロニアルとして括るには収まり切れない個人の頑なな悲哀が滲み出る。幼年期に著者が過ごしたナイジェリアの暴力的ともいえる奔放な自然の威力と父の沈黙が強く静かに響き合う。素晴らしかった。

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