逃げる

  • 集英社 (2006年11月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784087734522

作品紹介・あらすじ

マリーとの愛の終焉は?
『愛しあう』の続編。新たに描く「愛の終わり」。パリから上海へ飛んだ「ぼく」は麻薬取引に巻き込まれるが、一方マリーの父親も急死。エルバ島で再会した二人のセックスは互いの溝を埋めずに…。メディシス賞受賞作品。

みんなの感想まとめ

テーマは「逃げる」という行為を通じた愛の終焉であり、主人公が中国からエルバ島へと移動する中での心の葛藤が描かれています。文章は滑らかで詩的であり、読者を潮の流れに運ぶような魅力があります。特に、主人公...

感想・レビュー・書評

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  • 「愛し合う」の続編

  • 「愛しあう」の続編。
    でも時系列は前後してるみたい。

    何かから逃げながら、どこかに運ばれていくという感じなのかな。ずーっと動いている。
    文章もとても旋律的で潮の流れに運ばれるみたいに読み終えた。
    何が起こっているのかよく解らないのだけど、文章自体が詩的でとても面白いので心惹かれる箇所がたくさんあった。
    そこにいない“ぼく”がマリーの行動を語ったりする不思議な場面もある。
    離れ離れの“ぼく”とマリーが、ようやく会って初めて気づくこと…。胸がピリっとする。

  • 内容のない小説。


    トゥーサンをそう表現するのは非常に正しいと思う。
    ストーリーもキャラも設定も心理描写もちゃんとあるが、この人の小説にはたいてい内容、つまりメッセージなるものが存在しない。
    『ためらい』なんてそのさしたるもの。アレに関しては落ちすらもない“ない”の極地だ。
    しかしそれこそがトゥーサンの小説の特徴であり、言ってしまえば最大の意味なのだと私は思う。


    ひとりの男の中国旅行記がメインの一つ、それに恋人であるマリーとの関係が絡む。中国での彼の様子や登場人物達の様子はお得意の思わせぶり文書で表現されるので、何か起こるのでは……なんて言う期待がやはり起こる。しかし今までの作品でもそんな期待をトゥーサンにどれだけ裏切られてきたことか。
    あってないような意味なのだ。
    淡泊で、投げやりで、無感動でとも言える現代人の絶妙な心理。それを見事表現した、なんて言えるのかもしれないが、正直私はそういった話にあまり興味がない。よくわからん。
    ただ、私たちの生活に近しい小説なのだ。
    淡々とした事実の羅列。
    ”そうか”で終わる小説なのである。
    いままでのトゥーサンならそうだった。
    しかし今回はその大きな出来事に付随される感情が、じわりと滲む。わかりやすく示唆されているからではなく、優しく浮き上がる。
    今回はオチもしっかりついていたからな。なかなか感動的だった。
    とはいえ正直に言えば良い悪いかに関しては何とも言えない。おもしろいかとも聞かれたらなんと答えてよいものかまごついてしまうのは確かだ。しかし私の抱く現代のフランス小説の代表格は紛れもなくトゥーサンなのである。距離感や見方、描写においても、“らしい”。だがゆえに、なんか惹かれてしまう。


    続編とは知らず、だった。
    『愛する』を先に読んでおくんだったな、と少し後悔。
    でもそこまで深い前後関係はなさそうなのでよしとした。
    中国の描写はなかなか興味深い。
    気分が向くと読みたくなる作家、トゥーサンは不思議な存在だな。

  • 「愛しあう」と同じ、“ぼく”が主人公の本書。
    相変わらず何を考えてるのかよくわからない“ぼく”目線で、物語は進んでいきます。
    ラストシーン、トゥーサン作品の中でいまのところ一番好き。

  •  よどみない文章の流れに言葉の選びかた、ユーモア溢れる雰囲気が素敵だ。訳のおかげかもしれないけれど、句読点の位置も呼吸に合う感じですっと読むことができて心地よかった。第一・二部の上海でのシーンと第三部のエルバ島でのシーンとのあいだの断絶が気になる。
     逃げる(Fuir)っていうタイトルのインパクトにすごく惹かれる。どこかに行ってしまいたいときがわたしにもある……。失踪したい。疾走。
     ジャン=フィリップ・トゥーサンを好きだと言ったあのひとは、逃げていた、のかしら。そんなネガティブなわけではないのかな。

  • 「愛しあう」の続編。フランス小説って、濃いですね…

  • 他の皆さんは結構お薦めみたいですが、正直「なにこれ?」って感じの小説です。全然面白くありません。

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著者プロフィール

フランス文学者。東京大学文学部教授を経て、放送大学教養学部教授。東京大学名誉教授。専門はフランス文学研究・翻訳、映画論。主な著書に『異邦の香り—ネルヴァル『東方紀行』論』(講談社、読売文学賞受賞)、『フランス小説の扉』(白水社)、『夢の共有—文学と翻訳と映画のはざまで』(岩波書店)など。トゥーサン『浴室』(集英社)、ネルヴァル『火の娘たち』、サン=テグジュペリ『夜間飛行・人間の大地』(ともに岩波文庫)など翻訳書多数。

「2026年 『ネルヴァルの新生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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