ランジェ公爵夫人

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本棚登録 : 35
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734638

感想・レビュー・書評

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  • バルザックの文章には、服を着たら身体にぴったりと馴染んで、綺麗で完璧なシルエットが出た時に感じる陶酔感とか満足感みたいな魅力があると勝手に思っています。

    決して優れたストーリーテラーではないと思うのですが、抜群の描写力が、作品に深い陰影と立体感を与えていて、心の襞にぴったりと寄り添うような、読む快楽が味わえるとでもいうんでしょうか。これは彼のどの作品においても一貫していて、時々無性に読みたくなります。

    「ランジェ公爵夫人」もその一つです。

    朴訥で生真面目な将軍が美しくも驕慢な公爵夫人に情熱的な恋をして彼女の元に通い詰めるけど、彼女にのらりくらりとあしらわれてもがき苦しみます。
    一方、はじめは遊びのつもりだった恋多き夫人はやがて将軍に本気で恋をするけど、数々の男を跪かせる社交界の華である自分が本気で恋に溺れるなんて認めることができません。

    そうして互いに対して焼けつくほど激しい恋心を抱え合うことになった二人が、一人は相手を激しく求め、一人は相手を突き放す、全く異なる態度をぶつけ合う神経戦が、夫人の閨房の中で展開されます。しかし、それまで本気の恋を知らなかった者同士のぶつかり合いは高まりすぎて、思わぬ方向へ進んでしまいます。

    二人の激しい会話や、狂おしく揺れ続けたり矛盾したりする内面、見事な状況描写など、全ての文章のバランスと効果がいちいち巧くて、胸に沁みます。

    5年に及んだ別離の後の、音楽を媒介にした儚い再会のシーンも読んでいて恍惚となるほど美しいです。
    最後の最後、幕が「降りる」というより「落下する」と表現するほうがしっくりくる冷たく唐突なラストも、とても印象的です。

  • なんというか、文体が肌に合わなかった。

  • 『十三人組物語』の第二話です。
    冒頭、バルザックはこの作品を---フランツ・リストに捧ぐ---と書いています。
    ちなみに『フェラギュス』は、エクトール・ベルリオーズへ、第三話の『金色の眼の娘』は、ウジェーヌ・ドラクロワに捧げられています。

    2007年ジャック・リヴェット監督が映画化した『ランジェ公爵夫人』が、日本でも公開された。
    書籍も工藤庸子さんの翻訳で刊行されました。表紙がロダンの《ラ・パンセ》でセンスがとてもいい。《ラ・パンセ》は書くまでもなくカミーユ・クローデルをモデルに制作した作品です。

    バルザックの結婚歴は死去する少し前のハンスカ夫人との婚姻だけだが、彼の女性遍歴はデュマやユーゴーと同じくご立派である。
    淡い初恋を除外した事実上のはじめての大人の恋の相手のベルニー夫人は、20歳以上も年上の女性で、母親のごとく慕い『谷間の百合』の主人公のモデルにしている。

    『ランジェ公爵夫人』はベルニー夫人との別離ののちに恋愛関係となったド・カストリー夫人がモデルとされている。

    才気と美貌に溢れる公爵夫人の虜になったモントリヴォー将軍は、公爵夫人にいいようにあしらわれているが、そのことにすら気付かない。
    知り合いの忠告でやっと、自分が、公爵夫人に焦らされ、遊ばれているだけだとわかり、夫人の寝室に忍び込むが冷たくされ、将軍は復讐心を抱く。
    十三人組の仲間の力を借りて公爵夫人を拉致し、額に十字の焼き鏝を押すつもりだったが、真実の愛を誓う夫人にそんな復讐も断念してしまう。

    公爵夫人は、その後、地中海のある島のカルメル会修道院で過ごしていたが、夫人のことが忘れられなかった将軍は、5年の時を経て修道女となった元公爵夫人と再会する。

    将軍は、彼女をずっと探し、各地を転々としていた。
    彼が、夫人を発見するのは修道女となった彼女が弾くオルガンの調と歌声であるあたりロマンチストのバルザックらしい演出だと感じる。
    パリで、ド・カストリー夫人又はその他の貴族の夫人たちが弾いた場面を甘美的美しさとして記憶し、小説のなかで昇華しているように思った。

    結局、物語は、ハッピーエンドではないのだが、ド・カストリー夫人とバルザックとの恋路を知って読むととても面白く感じられる作品といえる。

  • マリ、マヨルカ島などを舞台とした作品です。

  • 映画と同じだった。あたりまえか。
    初フランス文豪体験。

  • (2008-5-63)

  • 去年だったか、映画化された作品ですね。
    映画を見逃したので読んでみました。

    社交界の華・ランジェ公爵夫人に恋してしまった
    モンリヴォー将軍は、公爵夫人を我がものにせんと
    頑張るわけですが、公爵夫人はあれこれ理由を
    つけてかわし、将軍を翻弄します。
    ついに痺れを切らした将軍はある夜公爵夫人を
    誘拐し恐怖させます。ところがこれを切欠に公爵夫人は
    自分がいつの間にか将軍に心奪われていた事に気付き、
    何とかまた将軍が自分のところへ戻ってくるよう
    努力しますが、将軍からはなしのつぶて。
    狂おしい恋に疲れ果てた公爵夫人は手紙をしたため、
    将軍に伝言を託しますが。。。

    二人はこの後、「え?そんな理由で?」という事で
    すれ違い、ラストに至っては「それでいいのか?!」と
    いった感じで終わるわけですが…全体的には面白く読めました。

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