アウシュヴィッツの図書係

制作 : 小原 京子 
  • 集英社 (2016年7月5日発売)
4.31
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  • 87レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734874

作品紹介

1944年、アウシュヴィッツ強制収容所に作られた秘密の図書館。本の所持が禁じられているなか、図書係をつとめる十四歳のユダヤ人少女ディタは、命がけで本を隠し持つ。実話に基づいた感涙必至の大作!

アウシュヴィッツの図書係の感想・レビュー・書評

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  • いつも評価の星を付けるけれどこれはちょっと付けるのに躊躇してしまう。
    所々に年月日が書かれていてその都度「早く45年になってくれ」と思いながら読んでいた。
    読んでる私から見たら戦争は45年で終わる。という事を初めから知ってるからこういう読み方になってるのだけど、当時の人からしたら終わりなんてみえない、いつ終わるか判らない状況の中あの想像を絶する環境に身を置かされていた。「1秒でも長く生きる」その事がどれだけ難しい事か。
    その中で主人公の少女は8冊の本を守り抜いた。
    たかが本、されど本。
    生きる希望・精神的な支柱になっていた本。
    ディタのヒーローであるフレディ・ヒルシュ。
    あんな別れが待ってるなんて。
    ディタとマルギットの友情。
    解放された時2人が交わした「またね」の言葉が本当の意味で使えた事がとても嬉しかった。
    戦争は根こそぎ奪って行くものでしかないね。
    得るものなんて何もない。

  • ブクログ通信で紹介されていて手に取りました
    実話を元にしたフィクション
    アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に
    1943年9月と12月に到着した囚人たちが、家族収容所(31号棟)に特別収容されていた。そこには若き指導者アルフレート・ヒルシュが建てた学校があり、本を所持することも危険だった収容所で、たった8冊だけの秘密の図書館があり、その図書係をしていた14歳の少女ティダを中心に、地獄の収容所のお話しが展開される
    アウシュヴィッツはあまりにも有名な惨劇の場で
    有名な『アンネの日記』からテレビの特集などでも年を追うごとに新しく詳しい惨劇の話を見聞きすることもあったが
    “絶滅収容所”ということばをこちらの本ではじめて聞いて、改めて恐ろしさを感じてしまいました
    戦争を知らない世代で、日本という国で育ったので
    人種間で対立(至上主義で絶滅させようとするとか理解できない)や宗教観など想像できにくく、
    なぜここまでしないといけないのか、到底理解できるものではない
    日常(?)通常では絶対に悪だと思われることでも
    悪を正義だと思って、そうしなければならない状況になると
    人はどんなことでもするという恐ろしいこと。
    ここまで酷い環境を同じ人間に対してつくれる人間という生き物・・・本当に恐ろしい生き物

    模範囚でレジスタンスの囚人たちが集まって情報交換をする場面で、ガス室の担当をしている子が
    「神様、どうかお許しください・・・」と何回もいいながら、ガス室での様子や自分の行っていることを報告する場面
    9月到着組の6ヶ月後の特別処理
    ディタの「真実が戦争の第一の犠牲者かもしれない」ということば
    ディタが最後に送られたベルゲン・ベルゼン強制収容所では、『アンネの日記』のアンネと姉の最後の日の記載もあり
    1945年の終戦の知らせがされた時の、想像を絶する収容所の悲惨な状況
    最後に、著者あとがきで、著者が執筆した経緯の中で、モデルとなったディタ・クラウスと出会い、アルフレート・ヒルシュのモデルになったフレデイ・ヒルシュの最後の真実
    ヒルシュは汚名をきせられていたということ
    が特に印象深かった
    『アンネの日記』に続くアウシュヴィッツの出来事と本の存在意義を伝える良書だと思いました

  • 真っ暗闇のひどく辛い状況の中でも、本を開きその世界に入り込むと灯りが灯った。
    彼女の小さな図書館はマッチ箱だ。

    ユダヤ人が大勢収容されているアウシュヴィッツ強制収容所。
    過酷な監視下にあったにもかかわらず秘密の小さな図書館が存在した。
    そこにあったのは8冊の本。
    たった8冊?…いや、そんなひとくくりの数字では簡単に言い表せない。
    常に死と隣り合わせの状況の中、その一冊一冊が命懸けで守られてきたのだ!
    本の管理を任された図書係の少女ディタにとってこの貴重な本達は、恩師であり友であり宝物であり夢であった。
    最悪の状況下でも夢も気力も、ほんの少しのユーモアをも忘れない。
    本という小さな希望を胸に秘め、生き抜く!

    本は病気を治す薬でもなければ空腹を満たす食べ物でもなく喉の渇きを癒す水でもない。
    生きていくために必要とされるものではないかもしれないけれど、本は人を豊かな気持ちにさせてくれるものだということを改めて教えて貰った。
    思わず目を背けたくなる描写に何度も挫けそうになったけれど、この本を最後まで読めて良かった。
    そしてモデルになられた女性が今もご健在で88歳!それが何より嬉しい!

  • 何気なく書名にひかれ手に取ったのだが、読みだしたらやめられなくなった。生まれた国、時代、少しの選択で運命はなんと過酷なんだろう。エピローグ以降に少しの救いがやっては来るのだが。著者あとがきによると、この物語は事実に基づいて組み立てられ、フィクションで肉付けとあり、あの人たちはそれからどうなったのだろう・・・で ああ彼らは実在する(した)人々なのだと、あの場所にいたのだと思い知らされる。この退屈な日常のありがたさを少しだけかみしめた。

  • 読み応えがある1冊だった。
    私の場合まず登場人物の名前がなかなか覚えきれないことが多いが、そんなことも(あまり)なく、最初から翻訳されていることを忘れるくらい自然な文章でサクサク読めた。

    読み進めるのが辛くなる描写も多いが、そんな中でも恋愛や友情が生まれることに少しホッとする。
    収容所に送られた人々がどのように生きようとしていたかがひしひしと伝わってくる。
    主人公が本を何度も何度も限られた材料で丁寧に修繕する場面には胸が痛んだ。

    最後にアンネ・フランクの名前が出てきてハッとした。
    完全なノンフィクションではないが、やはり悲惨な歴史的事実に基づいて書かれている。

  • 実話を基にしたフィクション。
    アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に実際にあった「学校」の図書係が主人公。
    人はなぜ本を読むのか。現代人にも戦時中の人にも質問したい。現実から目を背けるためなのか、何かを学ぶためなのか。
    私はこの本を読むまで、「アウシュヴィッツ」という名前しか意識していなかった。他にも強制収容所があることとか、強制収容所=死ではないとか、ビルケナウという名前とか、それらがポーランドにあることとか、アウシュヴィッツ=ビルケナウで起きていた事が、現代人の誰もが知っているのに当時はほとんど誰も知らなかったということ。
    無知というのは恐ろしい。それは誰かを傷つけるし、恥だと思う。知ろうとすればどんな情報でも手に入る現代で、知らないということは知ろうとしないということ。
    ゲームをしている暇があるなら学ぶべきだ。
    無駄な労力を割いている時間や体力等あるのだろうか。
    遥に恵まれた環境にいるのに、それに満足できないのは強欲なのだろうか。
    資料室で借りた本で、単価も高いが、ぜひ手元においておきたい。
    この本を読んで色々調べてみたが、偽名を使うという初等手段で最重要人物であると認識されていない戦犯が多かったことに驚く。ディタなど生存者の情報を元に似顔絵をつくれば、少しは違ったのではないだろうか。

  • 感動ってなんだ…。
    ノンフィクションじゃなくて、フィクションで肉付けされているというところに、過去の惨劇を伝えたいだけではない何か(ちょっとした冒険譚とかカタルシスとか…)があるんだろうと思ったけど、あまりにも予想通りの重さと、展開の無さに、2度ほど途中でやめようかと思った。
    結局最後まで読んだけど、「読んでよかった」とは思わなかった。
    薄情と捉えられるのかもしれないが、戦争モノというのは、概してそういうものなのかな、とも思ってしまった。

  • 事実をもとにしたフィクション。
    命懸けの図書係の少女。

    11才の誕生日、物資が乏しいなかで親が見つけてくれた簡素な中古靴。
    おしゃれな靴でないことに内心ガッカリするも、喜ぶ素振りを見せて親を安心させる。その夜、もう1つのプレゼントとして親にお金がかからない願いをする。
    「大人の本を読ませてほしい」
    母が時間をかけて自分の本棚から娘の枕元にそっと本を置く光景。夢中で読みふける娘。
    とても胸を打たれた。

    本は洞窟でマッチを灯すようなものだ。洞窟を照らすことはできないが、周囲の闇の深さに気づかせてくれる。
    この文書にもグッときた。

  • 感動的な物語でした。第二次大戦で、アウシュビッツの家族収容所に収容された少女、ディタ・クラウスの実話を基にしたフィクションですが、描写がリアルで登場人物も実在した人物です。ディタは、収容所での秘密の図書係として本を管理しながら、肉体的、精神的に苦しい日々を、本を読んで思索に耽ることで乗り越えていくのですが、その命掛けの日々には、驚きを感じました。終盤の図書館が閉館されてからの命が脅かされる緊張の瞬間が次々と訪れるさまは読んでいて戦慄を覚えました。それからは、ラストシーンまでページを捲る手が止まりませんでした。この本は、「アルジャーノンに花束を」に並ぶ自分の中での傑作となりました。

  • 取り扱っている題材の重さはあるが、文章の丁寧さから、事実はゆがむことなく受け取れたと思う。

    本を大事にする人にも読んでほしい。

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