アウシュヴィッツの図書係

  • 集英社
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本棚登録 : 1418
レビュー : 156
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734874

作品紹介・あらすじ

1944年、アウシュヴィッツ強制収容所に作られた秘密の図書館。本の所持が禁じられているなか、図書係をつとめる十四歳のユダヤ人少女ディタは、命がけで本を隠し持つ。実話に基づいた感涙必至の大作!

感想・レビュー・書評

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  • アウシュヴィッツ=ビルケナウ。
    移送された者はすぐに振り分けられ、弱者はそのままガス室に送られ、生き残った者は死ぬまで強制労働をさせられるという死の施設。
    その一角に、家族収容所があった。そしてそこには学校があって、禁止されている本の管理を託された図書係の少女がいた。
    飢えと死の恐怖がはびこる悲惨な現実の中、わずか8冊の本と生きた本(語り手)から語られる物語の世界は、人々の救いとなり、希望を与え続けた。

    読みながら胸が痛くなるような厳しい現実の中にあっても、物語の世界に浸る喜び、新しい世界を知る喜びは、何ものにも奪われるものではないことを教えてくれる。

    事実を基にしたフィクション。
    でも、ノンフィクションの部分がほとんどなのかも知れないという印象を受けます。

    基本的に戦争モノは好きではありませんが、「図書係」という言葉に魅かれて読み始めました。

    図書係になったディタが、本の中に自分の世界を広げる喜びが痛いほど伝わります。
    そして、大勢の仲間と最大の指導者ヒルシュを失い、自分たちの未来の希望さえ失いかけていた時にも、彼女は物語の力で周りに笑顔を取り戻させます。

    ただそこに来た人たちが持っていたものをこっそり集めただけの、寄せ集めの8冊の本が、多くの人たちの心の拠り所となり、結果として命の炎を保つ働きをしていたとは。
    本の持つ力の大きさを強く強く感じます。

    あんまり悲惨な状況に胸が痛むので、小学生にはお薦めしませんが、主人公は14歳の女の子。YAならイケるでしょう。

  •  独裁者は、本を取り上げる。
    考える力は、どんな武器よりも怖いから。
     本を守るということは、考える自由を守るということ。
     ディタは14才でそれをやり遂げる。
     私がいるのは、戦時なんかじゃない日本。でも考えたくないことから目を背けてる。今まで何度も本に力をもらってきたけど、この本は、ほんとに強く、背中を押してくれます。

    • けいたんさん
      はじめまして(*^^*)♪

      突然すみません。この本購入しているのですが、本の厚さ、字の小ささから本棚からなかなか出てこられません。この...
      はじめまして(*^^*)♪

      突然すみません。この本購入しているのですが、本の厚さ、字の小ささから本棚からなかなか出てこられません。この本は読むのにパワーがいるでしょうか?

      nohohonさん感想からは本へ対する愛情が感じられてとても素敵です。
      2018/03/17
    • nohohon08739さん
      はじめまして。本が本当に好きなので、とても嬉しいコメントです。ありがとうございます。

      背景が重いので、読み始めるのにはパワーが必要かと...
      はじめまして。本が本当に好きなので、とても嬉しいコメントです。ありがとうございます。

      背景が重いので、読み始めるのにはパワーが必要かと思います。ただ、読み始めてからは、自転車の変速機の一番重いギアでこぐのと同じように、加速しはじめたら巻き込まれるように最後まで行ってしまいます。読んで後悔しない本だと思います。
      2018/03/17
    • けいたんさん
      早速の返信ありがとうございます。

      背景重いですよね…アウシュビッツの話は映画「ライフイズビューティフル」を見てから少しずつ追っているテ...
      早速の返信ありがとうございます。

      背景重いですよね…アウシュビッツの話は映画「ライフイズビューティフル」を見てから少しずつ追っているテーマなので頑張ります。

      今日から読んでみようと思います。
      しばらくは重いギアですが、最後はすごいスピードで走り切れるように、楽しんで読みます♪

      本当にありがとうございました。フォローさせてください。
      2018/03/18
  • 真っ暗闇のひどく辛い状況の中でも、本を開きその世界に入り込むと灯りが灯った。
    彼女の小さな図書館はマッチ箱だ。

    ユダヤ人が大勢収容されているアウシュヴィッツ強制収容所。
    過酷な監視下にあったにもかかわらず秘密の小さな図書館が存在した。
    そこにあったのは8冊の本。
    たった8冊?…いや、そんなひとくくりの数字では簡単に言い表せない。
    常に死と隣り合わせの状況の中、その一冊一冊が命懸けで守られてきたのだ!
    本の管理を任された図書係の少女ディタにとってこの貴重な本達は、恩師であり友であり宝物であり夢であった。
    最悪の状況下でも夢も気力も、ほんの少しのユーモアをも忘れない。
    本という小さな希望を胸に秘め、生き抜く!

    本は病気を治す薬でもなければ空腹を満たす食べ物でもなく喉の渇きを癒す水でもない。
    生きていくために必要とされるものではないかもしれないけれど、本は人を豊かな気持ちにさせてくれるものだということを改めて教えて貰った。
    思わず目を背けたくなる描写に何度も挫けそうになったけれど、この本を最後まで読めて良かった。
    そしてモデルになられた女性が今もご健在で88歳!それが何より嬉しい!

  • アウシュヴィッツ関連の話は避けて来たけど、怖いからと言う理由で真実から目を背ける事は果たして良いのかなと感じ始めて、この本はとっつきやすいかと思い、読んでみた。
    でもやっぱり辛かった。私はいつ終わるか分かっているけど、終わりが見えない中のこの生活は絶望感しかない。それでも本は人の心を癒してくれる。人の心を束縛する事は出来ない。
    被害者加害者全ての人から戦争は夢や希望を奪っていく。ドイツの女性看守も元々は美容師を目指していたのに、今は毎日人殺しをしていると言うくだりは切なかった。
    最後はハッピーエンドでホッと。しかもいまだご存命なのはすごい。強烈な体験をした後でも、人はそれを乗り越えて幸せになれる。主人公が芯が強くて明るいので、救われた。

  • いつも評価の星を付けるけれどこれはちょっと付けるのに躊躇してしまう。
    所々に年月日が書かれていてその都度「早く45年になってくれ」と思いながら読んでいた。
    読んでる私から見たら戦争は45年で終わる。という事を初めから知ってるからこういう読み方になってるのだけど、当時の人からしたら終わりなんてみえない、いつ終わるか判らない状況の中あの想像を絶する環境に身を置かされていた。「1秒でも長く生きる」その事がどれだけ難しい事か。
    その中で主人公の少女は8冊の本を守り抜いた。
    たかが本、されど本。
    生きる希望・精神的な支柱になっていた本。
    ディタのヒーローであるフレディ・ヒルシュ。
    あんな別れが待ってるなんて。
    ディタとマルギットの友情。
    解放された時2人が交わした「またね」の言葉が本当の意味で使えた事がとても嬉しかった。
    戦争は根こそぎ奪って行くものでしかないね。
    得るものなんて何もない。

  • 実話に基づいた創作ということで、アウシュヴィッツでの出来事とは思えないほど平和な展開が続く。特に驚いたのは、登場人物たちの気持ちに余裕があるという点だ。ビルケナウ収容所の家族棟にいる人たちは労働から逃れられ、大人から学べる時間があり、時には恋愛をしたり外見を着飾るという、信じられない内容である。最後のほうで主人公がベルゲンベルゼンへ移送されてから、ようやく物語が現実味を帯びてくる。だがこれも数十ページで終わる。途中でシュロモ・ヴェネツィア氏、アンネ・フランク姉妹の話が混ぜ込まれているので、著者は彼らの物語を知っているはずである。特にシュロモ氏は壮絶な体験をしているため、それと比較すると家族棟での出来事はすべて非現実的に思えてしまい、フィクションを楽しめなかった。

  • 実話をもとに小説化した作品。
    アウシュビッツやユダヤ人の迫害について、さまざまな作品があるが、図書係がいたとは初めて知った。
    日本の戦争体験もそうだが、何人、という数の裏には一人一人違った経験がある。みんなが生きている人間であり、それぞれの人生があったことをこうして思い出していかなくては、いつまで経っても戦争は無くならないのではないだろうか。そこには文学の力も必要だ。
    また、厳しい生活の中で、楽しい経験を頭の中でできるのは本があるから。本がなくても読んだ本のことを思い出して楽しむ。文学にはそういう力がある。このcovid19 によってそういう楽しみを奪われた時、その力がいかに生活に浸透していたかを知った。

  • 初めの数ページを読んだだけで、名作だと思える本に出会うことがある。
    その一冊が本書だ。

    本書は、「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に送られた少女(中略)の実話をもとに書かれた小説」(訳者あとがきより)だという。
    今は、「遠い過去」のあの時の物語.......。
    その事実に衝撃を受けた。
    アウシュヴィッツといえば『アンネの日記』がすぐに思い出されるが、本書は、それに匹敵する。

    たった8冊の図書館。
    それから生きている「本」である先生たち。
    それを守るため、主人公ディタは知恵を働かせ、勇気を持って駆け回る。
    しかしそのよき日は決して永遠に続くわけではない。
    心ある大人たちが守ってきた日々は、悪意を持って終わりを迎えさせられる。
    人々は、焼却炉で、焼かれた。

    ディタはその悲劇からは逃れた。
    不合格になり、焼却炉送りのはずの母とともに。
    助かった?いや、移送先はさらにひどい場所だった。
    恐ろしい看守は元は美容師だった。
    ディタは、もし戦争が起きなかったら、と想像する。
    恐ろしい看守に「人」を見ていた。

    恐怖の日々を終えたディタは、後世のために体験を伝えることにした。
    アウシュヴィッツの、図書係として。

    世界を見れば、残虐行為は今も続いている。
    日本人だって、かつては人を殺した。
    それを否定はできないし、目を背けるべきではない。
    戦争とは、人を変えてしまうもの。
    なぜ起きたのか、起こさないためにはなにをすべきか。
    それを考えることなく、誰かに責任を押し付け、蔑み、自分と切り離そうとするならば何度でも同じ間違いを犯すだろう。

    ドイツ人はきっとこれからも、過去の罪と向き合わざるを得ない。
    それは、現代に生きている人々にとっては辛いことだろう。
    時には、いつまで過去の亡霊に縛られなければならないのだ、と反感の気持ちも持つだろう。
    私たちは、断罪すべきではない。
    私たちがすべきことは、過去を学び、過去を知り、未来の礎を積むことなのだ。

  • ブクログ通信で紹介されていて手に取りました
    実話を元にしたフィクション
    アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に
    1943年9月と12月に到着した囚人たちが、家族収容所(31号棟)に特別収容されていた。そこには若き指導者アルフレート・ヒルシュが建てた学校があり、本を所持することも危険だった収容所で、たった8冊だけの秘密の図書館があり、その図書係をしていた14歳の少女ティダを中心に、地獄の収容所のお話しが展開される
    アウシュヴィッツはあまりにも有名な惨劇の場で
    有名な『アンネの日記』からテレビの特集などでも年を追うごとに新しく詳しい惨劇の話を見聞きすることもあったが
    “絶滅収容所”ということばをこちらの本ではじめて聞いて、改めて恐ろしさを感じてしまいました
    戦争を知らない世代で、日本という国で育ったので
    人種間で対立(至上主義で絶滅させようとするとか理解できない)や宗教観など想像できにくく、
    なぜここまでしないといけないのか、到底理解できるものではない
    日常(?)通常では絶対に悪だと思われることでも
    悪を正義だと思って、そうしなければならない状況になると
    人はどんなことでもするという恐ろしいこと。
    ここまで酷い環境を同じ人間に対してつくれる人間という生き物・・・本当に恐ろしい生き物

    模範囚でレジスタンスの囚人たちが集まって情報交換をする場面で、ガス室の担当をしている子が
    「神様、どうかお許しください・・・」と何回もいいながら、ガス室での様子や自分の行っていることを報告する場面
    9月到着組の6ヶ月後の特別処理
    ディタの「真実が戦争の第一の犠牲者かもしれない」ということば
    ディタが最後に送られたベルゲン・ベルゼン強制収容所では、『アンネの日記』のアンネと姉の最後の日の記載もあり
    1945年の終戦の知らせがされた時の、想像を絶する収容所の悲惨な状況
    最後に、著者あとがきで、著者が執筆した経緯の中で、モデルとなったディタ・クラウスと出会い、アルフレート・ヒルシュのモデルになったフレデイ・ヒルシュの最後の真実
    ヒルシュは汚名をきせられていたということ
    が特に印象深かった
    『アンネの日記』に続くアウシュヴィッツの出来事と本の存在意義を伝える良書だと思いました

  • 昨年ブクログで、海外小説部門大賞で尚且つ
    昨年からなんとなく読み漁ってる
    アウシュビッツビルナケウ強制収容所が舞台の本。
    あー、この本を読んでから「否定と肯定」を読めばよかったなと思ったけどまぁいいか。
    実話半分、フィクション半分らしく
    主人公のディタはまだご存命だという。今年89歳なのかな、たぶん
    家族収容所(国際的な批判を避けるために作った外部に見せるための収容所)で生活してて
    見つかったら殺されるナチスの目を盗んで8冊の本を管理する図書係のディタ。
    教育することも許されないわけだけど
    そんな多感な時期の子ども時代を収容所で生活してて
    もう終始劣悪な環境すぎて、読んでいるのが辛くなってくる。
    食事も衛生状態も最悪だけどそんな時に本って読むだけのものだけど
    人を豊かにするものなんだなーとつくづく思う。
    心のゆとりというか、なんというか。

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