- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087734874
感想・レビュー・書評
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実話に基づいた創作ということで、アウシュヴィッツでの出来事とは思えないほど平和な展開が続く。特に驚いたのは、登場人物たちの気持ちに余裕があるという点だ。ビルケナウ収容所の家族棟にいる人たちは労働から逃れられ、大人から学べる時間があり、時には恋愛をしたり外見を着飾るという、信じられない内容である。最後のほうで主人公がベルゲンベルゼンへ移送されてから、ようやく物語が現実味を帯びてくる。だがこれも数十ページで終わる。途中でシュロモ・ヴェネツィア氏、アンネ・フランク姉妹の話が混ぜ込まれているので、著者は彼らの物語を知っているはずである。特にシュロモ氏は壮絶な体験をしているため、それと比較すると家族棟での出来事はすべて非現実的に思えてしまい、フィクションを楽しめなかった。
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感動ってなんだ…。
ノンフィクションじゃなくて、フィクションで肉付けされているというところに、過去の惨劇を伝えたいだけではない何か(ちょっとした冒険譚とかカタルシスとか…)があるんだろうと思ったけど、あまりにも予想通りの重さと、展開の無さに、2度ほど途中でやめようかと思った。
結局最後まで読んだけど、「読んでよかった」とは思わなかった。
薄情と捉えられるのかもしれないが、戦争モノというのは、概してそういうものなのかな、とも思ってしまった。 -
夜と霧から入ってアウシュビッツについての本は2冊目です。
劣悪な環境の中、ユーモアと想像力を忘れない女の子が本守り本に守られながら生き抜く話。
あとがきの文章がまたいいです。引用いたします。
『人間が生き残るために必要なのは、文化ではなくパンと水だ。しかし、ただそれだけでは、人間性は失われる。もしも美しいものを見ても感動しないなら、もしも目を閉じて想像力を働かせないなら、もしも疑問や好奇心を持たず、自分がいかに無知であるかに思いが及ばないなら、男にしろ女にしろ、それは人間ではなく、単なる動物にすぎない。』
ちゃんと人間として生きような。 -
文学は、真夜中、荒野の真っただ中で擦るマッチと同じだ。マッチ一本ではとうてい明るくならないが、一本のマッチは、周りにどれだけの闇があるのかを私たちに気づかせてくれる。
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史実を基に肉付けしている小説。
後半に進むにつれ、当時の収容所の劣悪な描写がひたすら続き、読んでいて辛かったです。
開放された瞬間の収容者の
「どうしてもっと早く来てくれなかったの?」
という一言が印象的で、涙が出ました。
このあたり、小説としては主人公自身のセリフや感情をもっと読みたかったところですが…。
あとがきに登場人物のその後が書かれていて、とても興味深く読めました。 -
場面は伝わってきたが、話が飛び飛びで、少しわかりづらい感じがした。実話なので、話の展開より事実を伝える事の方が優先されているのがわかる。2度と繰り返しては行けない歴史。
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さすがに「スウィング~」読んだ数日後にまたアウシュビッツと来ると内容にかかわらず読み進みにくくなるのは、作品のせいではないよなあ。図書係もすごいんだけど、個人的には脱走した彼が結構心に残った。
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死、恐怖、絶望が渦巻く、ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ収容所。だが、たった8冊の本を守り続けた少女が実在した!
収容所には国際監視団の目をごまかすために名ばかりの学校が存在するが、実際のところ「本」の所有は禁止されていて、見つかれば最悪銃殺である。主人公は命懸けで本を隠し、読書による「想像」という世界を守る。
アウシュヴィッツ収容所の過酷で悲惨な現実も描かれるのだが、同性愛、SSとユダヤ人の恋愛、脱出劇などバリエーション豊富なストーリーで飽きさせない。
砂糖4粒がかかったアーモンド1個が景品というのがまた酷く悲しい... -
これが実話に基づいているというのが本当につらかった。そこに記されている数字は、ただの記号じゃない。命の数だ。忘れがたい本になった。