月曜日の水玉模様

  • 集英社 (1998年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784087742145

作品紹介・あらすじ

ごくごく平凡な“はずの"OL片桐陶子。愛すべき一般事務職の彼女の周りには、なぜか不思議な事件が…。OL探偵・陶子とちょっと頼りない調査員・萩広海が活躍する、おとぼけ連作ミステリ集。

感想・レビュー・書評

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  • 中小企業の中堅OLが遭遇する事件の謎を解く連作短編プチミステリー。
     「月曜日の〜」から「日曜日の〜」までの7章からなる。

         * * * * *

    おもしろかった!!
     日常的な出来事に潜む謎。普通の人なら運不運や偶然で済ませてしまいそうな出来事であっても、違和感を感じれば決してそのままにはしない主人公の女性。カッコイイ!

     まるで『これは経費で落ちません』の森若さんのような頭の回転の速さを持つ主人公。クールで仕事ができるところもよく似ています。
    森若さん登場より10年も前に活躍していたなんて! ( 自分の不明に呆れるばかりです。)

     扱う事件だけでなくキャラ設定も絶妙でした。特に「名は体を表す」ネーミング。

     主人公は片桐陶子。いかにも硬派で意志が強そうな印象を与える名で主人公にふさわしい。
     相手役は萩広海。秋の海のような穏やかさの中に時折見せる底の深さ。まさに望洋という形容がよく似合う名で切れ者の主人公を受け止める役割にピッタリです。

     どちらも実に的確なネーミングだと思います。

     この作品がシリーズ化しなかったのは惜しいのひと言です。脇役陣がやや影の薄い設定になっている (『これは経費で〜』に比べて ) からかも知れないけれど、続編で挽回が利くと思われるだけにかえすがえすも残念に思いました。

     陶子への広海の想いは成就するのか、本当に気になるんです。

  • 小さなミステリー。時々自分の読解力がついていけなくなることがあったけど、面白く読めた。

  • レインレインボウがおもしろかったから。古い(98年)本だけど、(昔っぽい)おしゃれな感じ。月曜日の水玉模様。火曜日の頭痛発熱。水曜日の探偵志願。木曜日の迷子案内。金曜日の目撃証人。土曜日の嫁菜寿司。日曜日の雨天決行。続けて読むと「みずたまもよう」ってなるの、おしゃれやろ。

  • 陶子さんと萩くんのオフィスラブ…にはならずに、プチミステリ小説。知り合い以上恋人未満な曖昧な関係がいっそ清々しい。二人の未来が楽しみ。陶子さん活躍の別タイトル、レインレイン・ボウでも、足踏みしてたみたいだし。

  • 自分が観察力、洞察力ってのを持ち合わせていないから、小説とはいえ片桐陶子みたいな娘には憧れる。萩広海もおとぼけを武器に、その実するどく、いい味だしてる。水曜日のミステリーはなかなか感動的だ。でも最後の会話の意味は分かんなかった。土曜日にいたっては、まさかそんな謎解きがあるとはね。いずれのキャラクターも憎めない。

  • ほっこりした。続編あるのかな?

  • 身近に起こる不思議な事件を解明する連作短篇ミステリー。電車通勤の陶子が、満員電車の中で何時も座り居眠りしながらも途中の駅で降りて行く萩を、マークして空席を当てにし約15分の柔らかなシートで睡眠を得る機会を狙っていたが、ある日から同じ駅まで降りなくなり不満を持っていた。陶子の上司の秘密の依頼で、《触るな危険。爆発するぞ》と社長の張り紙の有る金庫を、ひょんなことから雇った萩と、自分の会社に忍び込み開ける事になる。月曜から日曜のタイトルで陶子と萩で日常の謎を解き明かしていく温かいほのぼのとした読後感作品。

  • OL陶子と電車で出会った広海が日常の謎をといていく

  • 日常に潜むささやかな謎を解き明かしていく短編集。1つ1つの物語は独立しているように見えて伏線があちらこちらに張られていて、後になって「ここに繋がっていたのか!」とハッとさせられるのは著者お得意のパターンでしょうか。

    一見クールながら好奇心旺盛な主人公・陶子と、おっとりしているようで聡明な萩君が良いコンビになっています。
    陶子のOLとしての毎日の中で、女性社員の会社での立場や彼女たちへの男性社員の態度には考えさせられるものがありました。
    OL経験のある者としては少しほろ苦い思いがします。

    地の文での陶子の「いい女アピール」が鼻についたのが少し残念でした。
    意識的に描写しなくても十分魅力的な主人公なのですが……。
    比喩表現も少しくどいと感じるところもあり、全体的にさらっとしたタッチの『駒子シリーズ』と比較すると硬かったです。
    主人公が社会人と学生の違いもあるのでしょうが……。

  • 文庫のほうが装丁がかわいい^^ 萩くんがすごいかわいいです!この本の一番好きなところは、絶対に途中でくっつくんだろうな~と思っていた萩くんと陶子が、最後までその距離感を保ったままくっつかなかったこと!(将来的な示唆はありましたが)萩くんいい男だ。小説としても短編の詰め合わせで楽しかったです。頭がわるくて流し読みでは理解出来ないトリックもありましたが…^^ ホラー的要素はなくて「日常の謎」を追う感じなので、とっつきやすかったです。

  • 2000年1月読了。

  • 月曜から日曜までの七日間を短編で綴る。OL塔子の回りで起こる日常をミステリアスにかつユーモラスに表現されている。

  • 2011.6.6 初読 市立図書館

    面白かった。サラサラ読める。
    登場人物が魅力的。

    加納さんの作品はあたたかくて、いい。

  • 日常的なミステリー。
    可もなく不可もなく笑

  • OL陶子のまわりで起きる、ちょっと不思議な事件の数々を、毎朝電車で会う青年、広海とともに解き明かしていく。
    月曜日から日曜日まで、謎だらけの丸の内の一週間七編収録。

    陶子さんとまわりのひとたちのかかわりが、なんともいえず楽しい。
    ああ、いるいるこういう人、などと思いながら読みました。
    加納朋子さんの作品らしい連作ミステリーです。
    OLさんだってがんばっているんですよね。
    陶子さんとお母さんの溝が少しでもうまるといいなあと思いました。

  • 「名探偵」は、そこにいる!正真正銘正統一般事務職OL片桐陶子くんの、ちょっと事件で、ほろ苦くて、でも、あたたかなユーモアにつつまれた日々!「ジハード」よりもけなげで、「ショムニ」よりもリアル!?ユーモアミステリのさわやかな楽しみ。
    《ブックデータベース より》


    《2010年6月7日 読了》

  • 2001年9月14日読了。以下、過去の日記から抜粋。

    加納朋子の本はこれで五冊目である。
    ちょっと気が強く好奇心旺盛な美人ととぼけていながらもキレ者の青年。
    どこかで読んだ組み合わせだと頭を捻っていたら、何の事はない。
    同じ加納朋子作品『掌の中の小鳥』のキャラとどこか似ているのだ。
    勿論、そこはプロの仕事、あくまでも「どこか」似ているだけであるが。
    そもそも男女対のミステリなんて、探す努力をする前に簡単に見つかるだろう。

    いつも思うこと、加納女史の作品には非常に女性らしい物の見方が溢れている。
    本当に些細なことだ、たとえばエプロンの柄だとかシャツのイニシャルだとか。
    さらにOL経験が物を言うのか、会社における女性社員の立場の微妙さや、
    ふとした男性社員の言葉に対する反応を非常にコマメに描いている。
    何割までがフィクションで、ノンフィクションなのだろう?
    会社勤めの経験がない私にはどうにも判断しかねるところであるが、興味深い。

    今作品は表題作から「日曜日の雨天決行」までの全7話構成。
    ちょっと創り過ぎが匂うところであるが、「土曜日の嫁菜寿司」に一票か。
    複雑な家庭事情のため、賢くて料理上手な祖母に育てられた主人公。
    困った時、悩んだ時、適切なアドバイスをくれる祖母と主人公の関係は、
    誰かに似てる? なんて考えるまでもなく、私と祖母だ。
    共働きの両親に代わって幼い私の手を引いてくれたのは祖母だった。
    (おかげで私と母の相性が悪いのだという見方もあるにはあるが)。

    「その祖母に聞いた話だと思うんですが・・・嫁菜ってご存じですか?」

    そう切り出して、主人公が祖母から聞いた知識を自然と口にする姿は、
    きっと何時か何処かでは私の姿となっていることもあるに違いない。

  • ちょっと頭の回るOLが周りでおこる事件を解決していくという、ありふれたミステリ。
    少しポケッとした相棒の男の子といい、シチュエーションも平凡で、ドロドロしたところもなく、残酷シーンもなく、安心して読める1冊。

  • どっかから抜粋。
    『いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった―。
     丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。
     やがて2人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように…。
     謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短篇ミステリー。』


    陶子と萩のコンビがいい感じ。普通の日常にありそうな事件を、すっとぼけた萩ときりっとした陶子さんが解いていくミステリー。

    もし、この二人がいなかったら、本当に埋もれてしまいそうな事件なんだけど、それの一つひとつにそれぞれの人間の生活や人生やそいういうものがつまっているように感じた。
    だから、それが解決されれていくことに、ただよかっただけじゃない、何かあたたかいものを感じたり、少し考えさせられたり。

    読み終わった後、この二人のその後を思って、甘酸っぱい気持ちになった。

  • 人公のOLの周りでおきる少し不思議な出来事と、その真相を描いた連作短編集。<br />ちょっとずつリンクしていた物語が、最後にひとつにぴったり収まるのってすごい好きです。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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