永遠の出口

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1407
レビュー : 266
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087742787

感想・レビュー・書評

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  • 簡単に言うと、恥ずかしさに「ぷぎゃーっ」となる本です。
    森さんの自叙伝なのかと思ったのだけれど、自叙伝風の小説でした。

    私は小学校のときは優等生で、むしろ贔屓されてる部類だったし(嫌な奴…^_^;)、
    中学生のときは優等生でなくなったけれど、ぐれることも万引きすることも学校さぼることも夜遊びすることもなかったし、
    高校生のときは漫画ばかり読んで(二次元以外に)恋することもなかったし(恋してないから失恋もない)。

    それでもなんで、この本の主人公にこんなに懐かしい感じがするのだろう。
    「知ってる、この感じ」という場面がたくさん出てきて全身が痛痒いことこの上ない。
    面白いし読みやすいのだけれど、時折「うわーもうやめて、恥ずかしいっ!」と本を閉じて穴に入りたくなるような気持ちがぶわっとわいてくる。
    封印してその存在さえ忘れかけていた青春箱を発見されて、無理やりこじあけられたような、微妙で気まずい気分。
    でも、いろんな方のレビュー読んでると、似たような青春箱は誰でも持っていて、この本はそのどれをも開けてしまう万能鍵のようなもののようだ。

    青春真っ盛りの人が読んでも、「わかる!」となるのだろう。
    でも青春から遠ざかって「あのころはよかったわね」と余裕こいてる大人が読んでこそ、この本の威力は発揮される気がする。
    恐るべし、森絵都…。

  • 主観からふと違う視点でみてみると、物事ががらりと変わって見えてくる。お誕生会をしてもらえない友人の家庭、絶対的存在だった黒魔女のような女教師、色々な問題を抱えつつ出かけた家族旅行、恋に恋して周りが見えなくなってしまった初恋、魅惑的で居心地のよさを感じていたアルバイトのレストランでの出来事。確かにそのようなことがあったと、自分の心境に重なり、恥ずかしいような痛いようなせつないような気持ちにさせられる。
    例えばこれが少女マンガだったら、トリとのあいだが恋に発展したり、再会したりする展開もありうるのだろうけれど、そう上手くいかない苦さがあり、ちょっとしんみりとしてしまう。
    人と人とはずっと永遠に一緒にはなれないし、ずっと手をつなぎ合っていることなんてない。だけど確かにその時その場所でつながっていて、それは確かに「私」を成長させる一つになっている。だからこそ人は前進し続けられるのだろう。

    「急に独りになった薄曇りの放課後みたいな、あの懐かしい風の匂いが鼻をかすめるたび、私は少しだけ足を止め、そしてまた歩きだす」

  • 紀子という平凡な女の子の小4~高3までの成長を自叙伝風に綴った物語。

    特にドラマティックな何かがあるわけでもなく、
    少女から大人の女性、になるわけでもなく。
    エピローグを読むまでは「フンフン♪」とお気軽に読んでいたのですが、
    エピローグの一言でずしんとやられました。
    ”どんな未来でもありえたのだ、と今となっては思う。”
    この一言で、他人事だと思って読んでいたストーリーが自分に跳ね返ってきました。

    紀子が感じる気持ちにさんざん「あーわかるわ」と共感してきて
    最後にこれを言われると
    否が応でも自分のほろ苦くてちょっと痛い思い出が引きずり出されました。笑
    でもそれがどこか心地よく思えるのは、
    私に負けず劣らず、苦くて痛い思い出を持つ紀子が
    「あの時ああしていれば…」と後悔するのではなく
    「これはこれでいい人生だ」と無理に肯定すこともなく
    "だけど、私は元気だ"と受け入れているからなのだと思います。

    どのエピソードもよかったけど、
    初デートではグラタン、黒魔女撃退が好きかな。

  • ちょっと続けて森絵都。ネットで見たところ日テレドラマの「女王の教室」がここからパックたように書かれてあったが、ドラマは最終回しか見てなかったのだが、確かに第二章のコンセプトはそのものズバリで盗作と言われても仕方ないかも、特に最近マスコミは全く信用ないから。ストーリーは紀子ちゃんの小学校からの半生記みたいなもので、女の子というものはこういう風に成長するものなのかとちょっと感心してしまった。まだ彼女は彷徨い続けるようで、永遠の出口は見つからず終わってしまったが、後の半生記の話があってもいいんじゃないかな。結構面白かったので機会があれば他の作品も読んで見たくなった。

  • そうだよ。小学生の時だって、中学生の時だって、高校生の時だって、その時その時、精一杯やってた私!っておもえた。
    紀子がぐれたときの、叔母さんが紀子の母親に書いた手紙と、紀子の見てる世界のギャップに笑いつつ、大人のわかったふりにどきっと今の自分を振り返ってしまった。今、自分が母だからかな。

  • 3連休のため、実家に帰って何か本が読みたいなぁと家にあった本を手に取った。
    一気に読んでしまった。小学生から大人になるまでの一人の女の子の物語。忘れてしまったが、きっと通ったこともある道が描かれていて共感も持ちながら読むことができた。楽しかった。

  • 今、学生の自分とこの本の登場人物を比較しながら読んだ。
    面白かった!

  • 紀子の小学4年生から高校卒業までを綴る9つの短編。

    友人の家庭事情を知って心を揺らし、
    黒魔女先生対策でクラスメイトたちが団結し、
    恋愛よりも目の前の別れのさびしさに砕け散りそうになった小学生時代。

    ルールを守る友人や先生、母親に違和感を感じ、
    不良の溜まり部屋で酒を飲み、万引きを繰り返し、
    家族旅行でそれぞれの気持ちを知って、周りが見え始めた中学生時代。

    妥協を許さず働くことへのかっこよさと人間関係の窮屈さをバイトで知り、
    自分を見失うほどの恋愛に溺れ、失恋にも気づかず、
    将来もわからず、五十年後の地球の運命の話に溺れ、それでも、やっとそんな自分を認められた高校時代。

    いまより少しだけ前の時代。少女が大人になっていく9年間。

    ---------------------------------------

    男よりも女の子のほうが自我の芽生えが早い。
    紀子は小学4年で思春期の扉を開けて、高校卒業まででてこられなかった。


    思春期の沼。一度そこに足を踏み入れると自意識や劣等感にまとわりつかれる。押し潰れそうなくらいに大きな自尊心を背負いながら、周囲になめられないように、ださくないように、だけど周りからずれないように、目いっぱい背伸びし続ける時期。

    思い出すと恥ずかしくなって、大きい声で叫びたくなるようなあの頃だけど、当時は必死だった。べつに理由なんてなかった。目の前のことがすべてだったから。

    社会人なんかよりもよっぽど大変な時期だったな。もちろん楽しいこともたくさんあったけど、いやなことだって山のようにあった。多くの挫折も、痛い失恋も、友人同士の秘密も、意味のない絶交も、理不尽なことが壁のように積みあがっていた。
    いつのまにか、壁を乗り越え、場合によってはすり抜けているから不思議。

    いいこともわるいことも自尊心も胸に抱え込んで、イヤホンを耳に突っ込んで、MDプレイヤーを再生しながら自転車で意味なく走り回っていたあの頃が青春だったんだな。目の前のことがすべてだったんだな。


    青春とは何かを教えてくれる素晴らしい小説だった。
    また読み直そう。

  • 子供を育て上げるのは大変。みんな真剣に考えて、ぶつかり合うから揉めるんだよね。難しさを痛感。

  • 自分の力では生きられない子どものころ。学校と家だけが世界のすべてで、閉そく感や鬱屈感、無力感はあったけれど、1年1年がすごく濃密な思い出で彩られていた気がする。初めての親抜きでの繁華街へのお出かけ、快速電車での遠出やバイト、卒業や入学を繰り返すたびに訪れる友だちとの別れや出会いなど、自分もこんなことがあったなぁ・・・と共感できる出来事がたくさんあって、楽しみながら拝読しました。不器用で勘違いも甚だしくて世渡り上手じゃなくてがっつんがっつん周りとぶつかっていたけど、燃料だけはたっぷりあったな。

    ところで森さんは千葉県北西部のご出身なのでしょうか。『みかづき』でも津田沼や八千代という地名が出てくるので、きっとそうなのでしょう。私も高校生のころ、駅前にあったサンペディックという商業施設の屋上によく友だちと行って、ぺちゃくちゃしゃべりながら津田沼駅を発着する電車をばかみたいにずーっと眺めていたっけなぁ・・・。あの駅前の風景が思い浮かべられるので、この本は読んでいてなおさらリアルな感じがした。

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プロフィール

森 絵都(もり えと)
1968年、東京都生まれの小説家、翻訳家。早稲田大学第二文学部文学言語系専修卒業。
1990年、『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。2006年、短編集『風に舞いあがるビニールシート』で、第135回直木賞を受賞。
2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞し、2008年に映画化もされた。2017年『みかづき』で第12回中央公論文芸賞を受賞、2017年本屋大賞2位。ほか、多数の文学賞を受賞している。

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