チグリスとユーフラテス

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 593
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087743777

作品紹介・あらすじ

遠い未来。地球の人々は他の惑星への移民を始めた。その九番目の惑星「ナイン」に向かう移民船に搭乗したのは、船長キャプテン・リュウイチ、その妻レイディ・アカリを含む30余名の選りすぐりのクルーたち。人々は無事ナインに定着し、人工子宮・凍結受精卵の使用により最盛期には人口120万人を擁するナイン社会を作り上げる。だが、やがて何らかの要因で生殖能力を欠く者が増加しだし、人口が減少しはじめ、ついに恐れられていた「最後の子供ルナ」が生まれてしまう。たった一人、取り残されたルナは、怪我や病気のために「コールドスリープ」についていた人間を、順番に起こし始める。最後の子供になると知りながら、母親は何故自分を生んだのかを知るために。また、ナインの創始者でもあるアカリに惑星の末路を知らしめるために。ルナと四人の女たちで語られる、惑星ナインの逆さ年代記。

感想・レビュー・書評

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  • 私が中高生時代の時に読んだ本なのですが、鮮烈なまでに印象に残った作品です。私のパーソナリティに影響を与えたと言っても過言ではないかもしれません。せひ、若い女性に読んでもらいたい作品です。

    いつもだと読んですぐにレビューを書くか、時間が立っている場合は実際に本をめくりながらレビューを書くのですが、今回は本が手元にないので下記レビューに誤りがあったらごめんなさい。
    でもものすごく印象に残った作品なのでぜひレビューしたいと思って書きました。

    SFはあまり好みではないのですがこれは別格。(逆にSFファンには受け入れられないかもしれない)
    口語調の文体がまた、登場人物一人一人の心情をリアルに伝えるので感受性の強い方はとにかく感情移入をしてしまうでしょう。

    惑星ナインでただ一人の人間になってしまったルナが主人公。
    話し言葉も子供っぽいフリフリ系ロリコンスタイルな老婆です。
    そんな彼女はコールドスリープの状態にある女性達を次々と目覚めさせます。
    抱えた過去もコールドスリープに入る経緯も性格もバラバラな3人の女性について書かれた章はとにかく一つ一つが重いですが、読むたびに“女としての自分”を考えさせられました。

    マリア・D
    生殖機能検査に合格した特権階級でありながら妊娠できずにいた女性。『繁殖』に生きた女性。
    愛と出産について濃く書かれた章です。とにかく彼女の悲痛なまでの心の叫びにはやられました。

    ダイアナ・B・ナイン
    惑星管理局員として、感情を抑え、理性で行動してきた女性。
    文体も論文調というかきっちりした性格が現れています。
    いわゆるワーキングウーマン。『仕事』に生きた女性。

    関口朋美
    両親の家系が全員苗字を持つという特権階級。彼女はその中でも純粋でプライドも人一倍高い。
    そして芸術的センスに恵まれた画家。『芸術』に生きた女性。

    レイディ・アカリ(穂高灯)
    惑星ナインの女神。90歳。
    惑星ナインの発展という『生きがい』に生きた女性。

    コールドスリープから目覚めた女性達それぞれに対して「あなたが生きて、やってきたものの結果が自分だ」と彼女たちに告げます。
    そう、ルナは人間への復讐のためにコールドスリープから彼女たちを目覚めさせたんです。

    ある意味、残酷でぞっとする展開だけどルナを目の当たりにした時の彼女たちが導き出す答えにそれぞれ心を打たれました。
    人間はどんな時でも『生きる意味』を求めてしまう生き物なんだという事を実感しました。

    とにかく鳥肌が立つほど感動しました。

    この本、ぜひ再読したいです。
    子供の頃に読んだ本ですが、大人になった今ならまた違う思いを抱くかもしれません。

  • 地球での生活に適応出来なくなった人達が、惑星ナインに移住して作った社会のお話。
    もぉ、ルナって言う奇妙なオバァチャンが主人公なんやけど、、、。
    色々と考えさせられちゃう。
    ホンマに地球がこんな風になったら怖いし、こんな風にならん様にしな、、、。的な。
    でも、そんなに重たい感じの話の流れじゃないので読みやすいかな?

    何回、読んでも泣けるのは最後の方に『よかったね、灯ちゃん。勝ちの人生だ。』って言いながらルナがにへらーって笑う所。

    この場面は一番好きで、この部分だけ読んでも泣けちゃう、、、(照)

  • 惑星ナインの最後の子供、ルナのお話。
    少し前に「トゥモローワールド」という映画をテレビで見て、原作も読んでみたいなと検索してみた結果、原作はもう手に入らない?ようで。
    原作のレビューに、似たような話なら『チグリスとユーフラテス』の方が面白いと書いてあったので読んでみました。

    パラパラ眺めた時にルナは幼女だと思っていたので、ちゃんと読んだら老婆と知って驚き。
    絵面的にはカオスチャイルド症候群みたいなもんかと納得してみたり。

    四人の女性達、マリア・D、ダイアナ・B・ナイン、関口朋美、レイディアカリ
    繁殖、仕事、芸術、生きがい。
    どれも今の自分にとっては、柱にはなっていない要素。
    それでも彼女たちに没入して読めてしまいました。

    作者が見た夢の情景という、最後のシーンに泣きました。
    ルナにとっては不幸な人生だったと思うけど、それでも人が死ぬのは悲しいことです。

  • うーんとってもSF
    70代のある意味合法ロリ最後の子供・ルナちゃんがなんだか怖かったなあ…

  • 25年ほど昔に読んだ本。なんだか懐かしくなって読みました。久しぶりの新井素子さん。
    文体がもう懐かしい。
    世話焼きな文章で、長編だけに。大人になってから読むと後半はくどくて、少し疲れがきた。
    でも、やっぱりこの世界観は好きですね。感じることも昔とは違う。
    生命の存在と人類の見方は昔読んだ時よりも感慨深く読みました。

  • 中学生くらいの時に読んだ、初めての(多分)SF長編。
    少女のような老婆を見たときとか、妊娠・出産について考える時とか、いまでもたまに思い出す。
    そう思うとすごい影響力だわ。
    ラストはうろ覚え。今読んだらまた違う感想だろうから、是非再読したい。

  • 表現をまどろっこしく説明過多だなと感じる部分もなくはないが、基本的にフェアというか、とてもクールな思考の人が描いた本だなぁと思った。新井素子先生の本を読むといつもそんな感想を抱く。
    自分の人生は自分で責任もって、自分で自分の幸せを自覚しながら生きるのが大切、というメッセージを受け取りました。

  • ◆感想
    SFはあまり好きではなかったけれど、この本は面白く読めた。妊娠中に読んで、そのテーマについて何か特別な気持ちで読んだ覚えがある。

  • 市図書館閉架にて、先輩方の会話に出てきたのを聞いて。

    捉えた方によっては、信頼できない語り手の二重構造であった。(場合によっては3重)特に2章までは読者に対して悪意のある語り手役割が存在するため、エグレル。3章以降は悪意は落ち着くが、理解が進みエグレル。そもそも、地球世代に近づくように人物が移っていく形が、ずるいのである。我々の常識に近い側へ進むにつれ、今までの行間に存在していた「常識」が開示されていく。また2章の終わりを読んでから、3章に入るには気力が必要であった。
    全体の語り手は、なんだかなれなれしく信頼したくないタイプだが、定義上は信頼できない語り手ではない。

    私には、「生存」の2章が一番近い話題であったと思う。パーソナリティも、4人の中ではダイアナ・B・ナインに近い。生存のために調査・推論を行う。生き甲斐ダッシュは、やはり想像力の産物である。

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著者プロフィール

新井素子

一九六〇年東京生まれ。立教大学独文科卒業。高校時代に書いた『あたしの中の……』が第一回奇想天外SF新人賞佳作を受賞し、デビュー。八一年『グリーン・レクイエム』、八二年『ネプチューン』で連続して星雲賞を受賞、九九年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞した。他の作品に、『……絶句』『もいちどあなたにあいたいな』『イン・ザ・ヘブン』『銀婚式物語』『未来へ……』など多数。

「2019年 『ダイエット物語……ただし猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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