村上龍自選小説集 (5)

  • 集英社 (2000年5月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (752ページ) / ISBN・EAN: 9784087744361

作品紹介・あらすじ

激動する世界の中で、平和を謳歌する日本。しかし、戦争と暴力への想像力を失ったとき、致命的な危機が忍びよる…。『海の向こうで戦争が始まる』『愛と幻想のファシズム』を収録。◆(解説・椹木野衣)

感想・レビュー・書評

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  • 海の向こうで戦争が始まる
    愛と幻想のファシズム

  • やってしまった。挫折してしまった。この小説に収録されているのは『海の向こうで戦争が始まる』と『愛と幻想のファシズム』で、両方とも学生時代に読んだんだけれど、『愛と幻想のファシズム』の部分で読むのがつらくなり今回は放り出してしまった。また集中力が戻ったら再挑戦しよう。『海の向こうで戦争が始まる』は真っ赤な瞳に映る街を映像のように描写した点がとても秀逸。ただし読んでると気分が悪くなってくる。人ごみ、街の喧騒が苦手な方にはおすすめできない。精液で汚れた公衆便所というワードに鳥肌が立つ人にも向いていない。『愛と幻想のファシズム』はいわゆる政治経済小説。見たことないけど『エヴァンゲリオン』に引き継がれた要素が多々あるとか。主人公のトウジは「こんなに感情移入が出来ない主人公も珍しい」というほど常人離れしたカリスマでありハンター。平気で人を殺すし廃人にするし鋼の精神力を持っている。こんな人まずいない。そして相棒のゼロがとっても人間臭い。お酒に溺れたり弱音を吐いてみたりスケベだったりしてこっちの方がよっぽど感情移入できる。ラストシーンはとっても切ないけれど今回は最初に言ったように読破できなかった。

  • 愛と幻想のファシズム。

    これも面白かったです。
    色々と気になるところはあったけど、そういうのを吹っ飛ばすぐらい面白かった。

  • 後者を読みたくて手に取った。村上龍の自薦小説集シリーズより。
    『海の向こうで戦争が始まる』初読。発表は77年。散文詩か幻想小説か。一つ一つの言葉は意味が通るけれど、言葉が新たなイメージを呼び起こし、場面は次々に変貌する。漠然とした不安と血腥さを漂わせ。どうやらこの小説には、入り込めなかった。
    『愛と幻想のファシズム』再読。発表は84〜86年。内容をすっかり間違えて記憶していた。怒涛の日本転覆ストーリーと覚えていたが、中盤からすでに個人の手を離れ組織の流転に。強力なエンターテイメントとなりうる思考実験小説だが、純文学的なアプローチを取ったがゆえに、中途半端さを残す。後半の展開する世界情勢はリアリティが薄れ、膨大な法螺話に見えてくる。改行無く羅列で酩酊をも誘ったか。人物描写はもどかしいほどに記号的で、ときおりフルーツが異物として登場する。全体と整合を揺らす存在として。トウジやゼロすら何を考えているか明らかにしない。理想を追求する象徴存在の合間から葛藤をのぞかせつつ、一貫性は無い。絶望ゆえの全体主義を求める皮肉を描いたが、現実はさらに皮肉だ。バブル経済へと突入した。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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