薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

著者 :
  • 集英社
3.40
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感想 : 135
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087744576

作品紹介・あらすじ

この物語の主人公は9人の女性たち。花屋のオーナー、雑誌編集者、モデル、主婦、アルバイト、会社員。その9人がそれぞれに恋したりされたり、結婚したり離婚したり、浮気したりされたり、妊娠したりしなかったり。それはもう、誰にも止められない物語。頬をなでる春の風のように、そっと始まる新しい何か。日常というフィールドに優しく拡がる研ぎ澄まされた恋愛エネルギー小説。

感想・レビュー・書評

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  • 不倫、恋愛関係の拗れがいくつも同時展開される、かつ、登場人物たちの生活や心情があまりにも自分のものとはかけ離れているので、ちょっと読みにくかったです。胃もたれしそうでした。

  • 陶子の図々しい鈍さ、れい子のプライドの高さ、エミ子の不器用さ、衿の真っ直ぐな幼さ、それらがないまぜになって、一人の中にあるんじゃないかな。誰しも。

  • 『薔薇』や『びわ』や『レモン』の木の様に、
    それぞれ立場も性質も違う9人の女の物語。

    登場人物も多いし、場面ごとに視点が
    コロコロ切り替わって忙しないが、その分飽きない。
    読むたびに、個性豊かな女達の違う誰かに共感し
    新しい感想が湧いてくる。

    すこやかな『陶子』や『衿』が幸せそうな姿をみると、
    やっぱり女の最大の武器は『無邪気な明るさ』だよなと思う。
    一見、嫌な女風に描かれている『綾』や『桜子』も必死に、
    幸福を追いかけるさまは、けな気でいじらしい。

    また、食べ物もそれぞれの登場人物を表すのに
    効果的に使われていて、どれも美味しそう。
    愛され妻の象徴のようなチェリーシブースト。
    ホテルの缶スープで作るリゾットの夕食は侘しいのに
    ワインと深夜のお楽しみの夜食達は自由な味がする。

    あたし的江國作品ベスト3。

  • いろんな女性が登場する。姉妹だったり、友人だったり、先輩後輩だったりとつながりはあるのだけれど……。
    こうもまぁ、男のことばっかり考えて生きているわけじゃないと思うのだけれど。
    結婚が気になる年齢ならそんなもんだったか?
    いやー、人それぞれだよな。
    あまりにも恋愛に関する話の展開なのと、それぞれの人物が次々と登場して話が進んでいくので、話の流れが途切れたような感じがして読みにくかった。

  • 江國香織さんの文章は美しくて、珍しくて、たまらない気持ちになる。いつだって予想できない、でもいっぱいいっぱい頷くことのできるフレーズが癖になって何度でも読み返したくなる。
    彼女のお話に登場する女性はみんなわがままで美しくて、私は読む度いつも少しだけ背伸びをしたくなって、自分が好きなものを見つめ直したくなって、1冊1冊を読み切る毎に魅力的な女性に近付けているようで楽しくて、とっても嬉しい。

    この本に出てくる女性はそれぞれ結婚していたりしていなかったり、恋をしていたりしていなかったり。読んでいて1番頭に残ったのが
    「みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいるみたい」
    「でも、すぎてしまえばずっと一緒にいた相手をいちばん愛していたと思ってしまうのね、きっと」
    という会話で、いちばん愛した人を手に入れることはきっと難しいのだろうと思う。いちばん愛しているからいちばんたくさんの事を期待してしまうし、いちばん自分をすり減らしてきっと長く一緒には居られないんじゃないかなと感じた。それに人は失ったものを美化してしまって、そばにある美しいものには気付くことが出来ないんだろうなと思う。

  • 20年以上昔に買った本を、何度目なのか分からないくらいの読み直し。それぞれの夫婦の形、恋愛の形、家族の形があって、色々と思い出したり、想像したりしながら、やっぱり江國香織さんの本は、行間の余韻がいいなぁ、と、思いながら、またも心が引っ張られてしまった。

  • 夫婦を軸にした群集劇といった内容ですが、幸せな結婚をしているカップルが全く出てこない点が特徴です。
    終始「お洒落感を演出」しているのが鼻につくなという印象で終わってしまいました。

  • 読むべき時に、読み始めた気がする。

    彼女たちは、彼らは、どうしてこうも強気に、というか、確立して生きられるんだろう。
    敢えて言うなれば、そこだと思う。こんなにきちんと気持ちを放出できるだろうか。

    周囲の友人らに当て嵌めてみたら、何だか面白かった。

    自分の気持ちに正直でありたい。

  • 登場人物が多くて、物語に入り込むまでに時間がかかりました。
    ただ、それぞれがどんな人物か読めてきた後半は凄く面白くて、知らず知らずのうちに惹き付けられて、最後まで一気に読んでしまいました。

    色んな形の愛や恋を描いた作品。愛っていうか、夫婦の形って言った方がいいのかも。
    なにしろ登場人物たちの半分以上が、既婚者だったので。
    結婚した夫婦たちが、それぞれにする恋、そして夫婦間の不思議な関係。

    江國さんは、ほんとに不倫ものが多いですよね……。
    夫婦でお互いに不倫してるとか、ざらにありますもんね。
    ただどちらも家庭の外に恋人がいながらも、夫婦としての関係は必要としているし、壊す気がないんだよね。この作品では、道子と山岸、あと、夫は浮気してないけどそれが顕著なのが、陶子と水沼。
    その関係性が奇妙なんだけど、何だか分かるような気がするのが、江國さんの魅力なのかな、と思った。ただ幸せな結婚ものはあまりないので、結婚に対しての悪いイメージしか湧きません…。

    この作品には女にモテモテの、というか妻がいながら二人の若い子に言い寄られる土屋っていうカメラマンがいるんだけど、そのモテぶりが凄い。妻のれいこは美人で仕事も出来て料理も上手い。そんな妻がいながら衿っていうモデルにはそりゃまあ、熱烈に愛されていて、しかも女の私から見てもメチャクチャいい子。れいこの所で働く桜子っていうアルバイトも、ちょっと粘着質で怖いくらい土屋のこと愛してる。
    ただ私には、土屋の魅力がさっぱり分からなかった……。クズみたいな内面を読んでるからかなぁ…。

    私は陶子が一番好きだな。
    ほわほわしてるようで、自分を守ってくれるべき場所はしっかり確保しながら、情熱的な恋にも手を出す強かさ。刹那的な恋に溺れることなく、遊びは遊び、と割りきれるどこか冷めてるところも。
    ただこんな生き方してたら、ふと自分の人生を虚しく感じそうだなぁ……。
    痛い目みても、やっぱり自分に正直に真っ直ぐ生きたい。

  • 江國香織版、既婚者の『フレンズ』のような笑
    でも結局は、近場で全てを動かしてしまうのが人間なのかも。袖触れ合うも他生の縁。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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