虹の谷の五月

  • 集英社 (2000年5月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784087744675

作品紹介・あらすじ

旧ソ連崩壊後の第三世界。混迷の度合いを深める東南アジア。あらゆる価値観の見直しを求められる21世紀の冒険小説の指標を、少年の成長物語に託して巨匠がおくる冒険小説巨編、1300枚! 第123回直木賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 直木賞受賞作品。三章からなる壮大な冒険巨編です。
    うーむ、一言ではとても言い表せない読後感。汗と、血と、硝煙と。生々しいまでの
    『生』のエネルギッシュさを感じさせる。舞台が外国なので取っ付きにくさはあるものの
    キモとなる男の動向、少年の成長、臨場感溢れる闘鶏シーンなどなど、ガツンと来ました。

  • フィリピン、セブ島の辺境の村を舞台に、日比混血の少年を中心に描かれた物語。直木賞受賞作。これまで読んだ船戸作品とは違い、少年を主人公に据えたことで幾分爽やかで救いがある。しかし、現代史の矛盾を切り裂く力強いストーリーには変わりなし。イッキに読んだ。辺境の地で生きる少年の力強さを魅せる。船戸作品を読むにつれ、世界史をしっかり勉強したいと改めて思う。そしていつか、かの地を訪れてみたいものだ。

  • 2000年の直木賞作のハードボイルド小説。
    主人公は日本人とフィリピン人のハーフで、昔は反日ゲリラだった祖父と農村で貧しく暮らす。その農村の出身者で日本の富豪に嫁いで金持ちになった女が村に凱旋帰国をする。
    それ以降、村に様々な暴力事が降りかかり主人公も巻き込まれる。一人称がおいらだったのが、やがておれに。初心な小僧が澄ました少年へと変わっていく。
    展開が目まぐるしく変わり、思わず読み入ってしまう。

  • これは熱いよ、熱すぎるよ。
    最初はね、おいら、ドジッちまったよ。とか言ってるわけですよ。でもって、またおいらやっちまったよ、とか言って、またやってるんかーい、てな具合でもう大丈夫おいどん、って心配してたんだけど、最終的にはすっかりタフガイになってメグちゃんとも結ばれてもうめでたしめでたし、てなわけで、おしまい。この成長っぷりがね。分かりやすいし好きよ。
    しかしフィリピンも最近でもけっこう危ういんですな。侮りがたし。

  •  
    ── 船戸 与一《虹の谷の五月 2000‥‥ 20000526 集英社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4087744671
     
     
    (20231128)

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/80725

  • 21年前に刊行の本だが、全く古色臭なし・・どころか溢れかえるエネルギー・・ラストがいい。標題の虹の谷にかかる日輪・・まん丸い虹が煌めく中で性行を終えた若い男女が見上げる空・・南風が流れる。ジッチャン、ホセ、Dr・・どれだけ死骸が重なったろう・・まさに死屍累々。

    読みはじめから汗、体液、セブ島の空気感、ラム酒、ヌルヌリベチャベチャ。まさに南国の島のハードバイオレンスだった。
    背景に爺ちゃんが闘ってきた抗日人民軍ゲリラの歴史が有った。そして日本と生きる為に成功するために行き来するオンナ達の歴史。

    首長といえども警察署長といえども、クソの権化。
    直木賞が輝いた理由が明瞭。
    いい作品だった・・読めて幸せ。

  • 昔読んだ本

  • やはり船戸与一は良い、最高だ!!! ある人がこの小説は語彙が不足していると言っておられました。その時、私は夏目漱石の『吾輩は猫である』という小説を思い浮かべました。「吾輩」が小説のはじめあたりで、「言語道断」を「言語同断」と言っているのです。
    最初、誤植かと思いました。漱石ともあろう人が何故?
    やがて、ある時、腑に落ちました。
    これは猫が語っているのですよね、だから、これでいいのですね。

    これと同じで、この小説の語り手は13~15歳の少年です。そのボキャブラリーの少なさを補って余りある誠実さ、人として真摯に生きてゆく姿、これが素晴らしいのではないでしょうか? とかく難しい言葉、モノをよく知っている人が偉い人だと思われがちですが、本当に偉大な人は多くを語らず、行動によって人のために働くひとではないでしょうか?

  • 直木賞(2000上/123回)

  • おいらには分かっていたんだよ。この作者にかかったら、たくさんの悲しい血が流れるんだ。幸福を期待しちゃいけないってことさ。それでも、物語の語り手が死ぬことはないんだから、おいらは最後まで生き続けるんだろうなと思ってはいたんだ。おいらはホセのようには戦えないけれど、ホセにはなかった仲間がいる。アサム(希望)とダカン(誇り)をほのめかして締め括ってくれたんだから、仲間とともにきっと虹色に輝く未来を築こうと思うんだ。

  • すごい本だった。
    休日に一気に読むのがお勧め!
    フィリピンの生活、フィリピンから見た日本、考えさせられる。
    虹の谷、呼び名からして惹かれる・・・

  • 2014年1月26日に行われた、第13回ビブリオバトルin生駒で発表された本です。テーマは「和」

  • 単行本で2段組の513ページという長編です。分量もそうですが、内容も重たいテーマです。闘鶏に懸ける少年の思いを中心に、貧困にあえぐフィリピンの一地方が描かれています。日本人とフィリピン人の混血であるジャピーノの彼は、熱血感に溢れた純粋な少年として生き生きと描かれています。賄賂や買収が当たり前の世界で、懸命に生きる姿がいじらしい。3部構成で、少年の成長を追っているが、余りに悲惨で暴力的な展開に驚かされた。

  • 直木賞受賞作品。フィリピンの桃源郷を思わせる美しい虹の谷。日比混血の孤児少年トシオの3年にわたる成長が爺っちゃん、唯一人反政府闘争を続けるホセ、純情な少女メグ、反政府ゲリラ少年ジミーたちとの心の交流により見事に描かれる。マルコス、アキノ政権時代のフィリピンの救いがたいほど堕落しきった社会が現実味を持って迫り、その中に生きる善意の人たちが健気に思われます。闘鶏、麻薬、日本人相手の売春、無医村で献身的に働く日本人医師など、フィリピン社会の縮図を堪能しました。また『虹の谷』におけるホセの闘いの場面は3年、3回にわたり、手に汗を握る臨場感で楽しみました。

  • 日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた少年トシオ・マナハンは、闘鶏師を生業とする祖父と共にフィリピンの片田舎で暮らしている。日本人との混血であることを意味する『ジャピーノ』という呼び名には、若干の差別意識があるようだが、本人は『事実だからしょうがない』とあまり気にしていない。彼が住むガルソボンガ地区の奥には、彼しか道順をを知らない『虹の谷』という場所があり、ゲリラ兵士のホセが身を隠しながら戦い続けている。トシオが13歳の年、金持ちの日本人に嫁いだクイーンことシルビアが里帰りし、虹の谷への案内役として不本意な形で雇われる。それを切っ掛けのようにして、トシオや周囲の人々、ガルソボンガ地区全体に至るまで、運命の歯車は軋み始める。歪な状況の中、逞しく成長していく少年の物語。

    初の船戸与一。国際的ハードボイルド小説のイメージが強く、読みにくいかと思って手を出したことがなかったのだが、この小説に関して言えば誤った認識だった。簡単に言うとすっげえ面白かった。一人称が『おいら』だったり、読み手に語りかけるような書き方は通常なら苦手というか嫌いでさえあるのだが、全く気にならなかった。むしろ『フィリピンの片田舎に暮らす子供』の目線で語るには最適。トシオの目が見ている世界は決して広くはないが、とても深い。どちらかと言えば過酷な人生だが、トシオは常に冷静で、子供ながらに強い信念を持って生きているので自分を見失うことがない。でも自分は無力な子供だということを知っているので、辛ければ泣くし失敗した時には自らを責める。他人の気持ちを考えることの出来るやさしさを持ち、厳しい境遇でも捻くれず、立ち上がるときは立ち上がる。なんだこれ。モテるわ。私がガルソボンガ地区の少女だったら惚れてる。更にカッコイイのがトシオの祖父で、彼はもと抗日人民軍の兵士だった。今は過去を封印し、孫と共に闘鶏師として暮らしているが、理不尽には屈せず、とても田舎の爺さんとは思えない知性や意志の閃きを見せる。爺っちゃん惚れる。覚悟を貫き通した最期は、予想できる展開だったとはいえホセやナカノが死んだときよりもショックが大きい。個人的にはナカノ救出は成功して欲しかった。ラストでトシオはメグを連れて虹の谷へ行き、そこで結ばれた(この言い方嫌いだな)後に、谷の名前の由来となった丸い虹を見る。ホセが『希望』と『誇り』と名付けた二羽の鳥が飛び立ち、少年の未来を暗示して話は終わる。それは決して平坦ではないが、鳥の名前と同じように、希望と誇りあるものである筈だ。だがまあそれはそれとして、メグがもう処女じゃない件だが、クイーンに会ったらすぐにばれちゃうのでは。しかも相手が誰なのかも見破りそう。どうすんのかな。でも横浜はいいところだよトシオ。普通に暮らしてれば、だけどな。

  • いや~~、久しぶりに船戸与一らしい「船戸節」を堪能しました(^^)。
     世界中を飛びまわって精力的な取材活動を続ける著者。小説の舞台もいわゆる「第3世界」がほとんどだったわけですが、「第3世界」という言い方自体が過去のものになりつつある「東西冷戦」構造の崩壊以降、著者自身もこの本の帯で述べているように、「物語を書きにくくなった」のは確かなようです。
     この事を私自身は、著者がこの世界の現実の中でどこに希望を見出せるのか、絶望しないまでも迷っているのだろうと感じていました。おそらく著者が見た「第3世界」の現実は、私が知っている以上に、著者が小説の中で書いてきた以上に、絶望的な状況なんだろうと思っていました。
     この作品の舞台はフィリピン。現在のフィリピン社会の様々な矛盾を描きながら、その一見「絶望的」な現実の中で、著者が見出した「誇り」と「希望」。これこそまさに船戸与一の物語の真髄です。
     久しぶりに、読後の感動に浸ってます(^^)。
     あらためて、祝!直木賞受賞!

  • うーむ。この本のジャンルは一言ではいいずらい。読んでいると何か自分自身が物語に深く入り込んでいくことに気づく。いつか読みたいと思った作者の一人ではあるがこれほどとは。主人公はフィリピンの文明とはかけ離れた離島に暮らしながら日々の生活に対してさまざまな経験をしながら成長していく様を描いている。13歳~15歳多感な年頃をこれほどまでにうまく描き切るとは。虹の谷には美しい自然だけはなく人の精神や魂を浄化する何かを秘めているに違いない。次に作品もぜひ読んでみたい。

  • 結構分厚い本なのに、短時間で読めてしまった。
    こういう「冒険小説」というジャンルは若いときに読んだっきりで、ホントーに久しぶりだ。

    結構面白かったけれど、歳を取った今はこういう矛盾だらけの小説は時間つぶしとしてさえも、時間がもったいない。

    どこかに連載していたのだろう、同じ説明が何度も繰り返されるのが煩わしい。

    そして、案外語彙が貧弱だ。

    何か劇画タッチだなァ~と思ったら、例の「ゴルゴ13」にも別名でストーリーを提供しているとのこと。

    マア、子供向け(精神的も含む)ですな。

    これで直木賞???

  • 船戸与一の作品は南米でも東南アジアでも、どこが舞台でもワイルドなバイオレンスが炸裂する。
    平和ボケの日本とはかけ離れた世界の刺激がたまらない。

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