山嵐

  • 集英社 (2000年11月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784087744842

作品紹介・あらすじ

不朽の名作『姿三四郎』のモデルとなった天才柔術家・西郷四郎の半生に迫る渾身の伝記小説。自らも武術家としての顔を持つ冒険小説の気鋭が、夢に焦がれ時代を駆けた生きざまに迫った歴史長編。

感想・レビュー・書評

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  • 西郷四郎の伝記的小説。
    格闘技で敵と相対する場面は面白い。
    それ以外は淡々としたもの。
    大陸浪人としての活躍をもう少し見たかった。

  • 戦後間もない東京に、会津若松から上つてきた西郷四郎。
    義父の保科近(直の下に心・憲の異体字)はかつての会津藩最後の家老、西郷頼母である。
    四郎は陸軍士官学校を目指すが身長が足らず受験できず。
    所用があり下谷同朋町を通つた時に見かけた「柔術指南・天神真楊流・井上敬太郎」の看板に引かれ入門。井上に嘉納治五郎に引き合せられ、講道館にも通うやうになる。後に講道館を離れ、大陸に渡り、李書文といふ格闘家に出合ひ一生を終へるまでを描いた。
    「そして、嘉納治五郎は、四郎に講道館六段を与えた」

  • 先日読んだ武田惣角伝「惣角流浪」と対を成す作品かもしれません。

    ほぼ同年である武田惣角と嘉納治五郎。

    かたやオリンピック競技にもなり、古流から見事にスポーツに進化した講道館柔道と、正反対の道に深化していった「大東流合気柔術」。

    ともに、幕末から明治にかけて武道に命を掛けた創始者(創始者というには惣角は?かもしれないが)であり、この二人を真っ向から対峙させれば、まさに「刃牙」的ワールドが広がるのだが、史実はそれを許しません。

    互いに接点はありますが、小説として盛り上がるほどのものではない。

    そこで、講道館四天王の一人、「姿三四郎」のモデルでもある西郷四郎がこの小説の主役です。

    西郷四郎と武田惣角は同郷であり、互いに近しい間柄でもある。
    というか、兄弟弟子のようでもあります。

    題名の「山嵐」を武器に連戦連勝に青年の苦悩を絡めてとなると、「姿三四郎」になりますが、この西郷四郎は一路柔道に邁進するわけではありません。

    大陸へ馬賊になるべく、東京に出てくるのです。

    しかし、やはり武道家としての血が騒いで・・・いろいろと。

    作者はあまり、扇情的な筆使いをしません。

    唯一、中国に渡ったときに戦った李書文(!)とのアクションがくるくらい。

    読後感として、四郎ははこれで満足だったのかなあと・・・。

    凡人としては一抹の寂しさを覚えます。

    武道家として、又新聞人として、燃え尽きたとは思うのですが、両方が軸足で、満足のいく働きだったのか、人生だったのか。

    いや、これは西郷四郎という偉人としてはということですが。

    明治の初年。この時代、いろいろと面白そうです。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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