山嵐

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087744842

感想・レビュー・書評

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  • 西郷四郎の伝記的小説。
    格闘技で敵と相対する場面は面白い。
    それ以外は淡々としたもの。
    大陸浪人としての活躍をもう少し見たかった。

  • 戦後間もない東京に、会津若松から上つてきた西郷四郎。
    義父の保科近(直の下に心・憲の異体字)はかつての会津藩最後の家老、西郷頼母である。
    四郎は陸軍士官学校を目指すが身長が足らず受験できず。
    所用があり下谷同朋町を通つた時に見かけた「柔術指南・天神真楊流・井上敬太郎」の看板に引かれ入門。井上に嘉納治五郎に引き合せられ、講道館にも通うやうになる。後に講道館を離れ、大陸に渡り、李書文といふ格闘家に出合ひ一生を終へるまでを描いた。
    「そして、嘉納治五郎は、四郎に講道館六段を与えた」

  • 先日読んだ武田惣角伝「惣角流浪」と対を成す作品かもしれません。

    ほぼ同年である武田惣角と嘉納治五郎。

    かたやオリンピック競技にもなり、古流から見事にスポーツに進化した講道館柔道と、正反対の道に深化していった「大東流合気柔術」。

    ともに、幕末から明治にかけて武道に命を掛けた創始者(創始者というには惣角は?かもしれないが)であり、この二人を真っ向から対峙させれば、まさに「刃牙」的ワールドが広がるのだが、史実はそれを許しません。

    互いに接点はありますが、小説として盛り上がるほどのものではない。

    そこで、講道館四天王の一人、「姿三四郎」のモデルでもある西郷四郎がこの小説の主役です。

    西郷四郎と武田惣角は同郷であり、互いに近しい間柄でもある。
    というか、兄弟弟子のようでもあります。

    題名の「山嵐」を武器に連戦連勝に青年の苦悩を絡めてとなると、「姿三四郎」になりますが、この西郷四郎は一路柔道に邁進するわけではありません。

    大陸へ馬賊になるべく、東京に出てくるのです。

    しかし、やはり武道家としての血が騒いで・・・いろいろと。

    作者はあまり、扇情的な筆使いをしません。

    唯一、中国に渡ったときに戦った李書文(!)とのアクションがくるくらい。

    読後感として、四郎ははこれで満足だったのかなあと・・・。

    凡人としては一抹の寂しさを覚えます。

    武道家として、又新聞人として、燃え尽きたとは思うのですが、両方が軸足で、満足のいく働きだったのか、人生だったのか。

    いや、これは西郷四郎という偉人としてはということですが。

    明治の初年。この時代、いろいろと面白そうです。

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著者プロフィール

今野敏(こんの びん)
1955年北海道三笠市生まれ。上智大学文学部新聞学科在学中、「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。大学卒業後、東芝EMI入社。ディレクターと宣伝を勤める。主な担当は、TMネットワークの前進バンド『スピードウエイ』。宣伝では、オフコース、甲斐バンド、チューリップなどニューミュージックを担当。1981年、同社を退社、作家に専念。
2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。2008年『果断 隠蔽捜査2』で、第21回山本周五郎賞、第70回推理作家協会賞を受賞。
2018年は「作家生活40年」のメモリアルイヤーで多くの特集が組まれている。主な企画作品に、2018年7月、任侠シリーズ最新刊『任侠浴場』刊行。新シリーズとして同年10月『継続捜査ゼミ』を刊行した。

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