黒い傷のある部屋

  • 集英社 (2000年10月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784087744941

作品紹介・あらすじ

23歳のモデル曜子。彼女はいかにしてトラウマの呪縛から自分を解放できたのか。傷だらけの絵画に隠された“生と性と死"。芥川賞受賞作『尋ね人の時間』から、あらためて問う新しい愛のかたち。

感想・レビュー・書評

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  • 新井満の訃報に接して再読。初読時は、曜子の年齢に近く、主人公の柊を、ベタで安っぽい感傷!妻がありつつモデルの若い女に手を出す身勝手な不倫!と散々な評価だったが、柊の年齢を越してみると、甘い顔一辺倒ではなく、自分のすべてをさらけだすつもりでヌード写真撮影をせがんだ曜子に、きみはちっとも裸になんかなってない、と職業人としての誇りを垣間見せたところもあり。また、いっしょにあそんでいた幼い弟が池で溺れ死ぬのを助けられなかったこと、高校時代の信頼していた親友が裏で曜子があたかも援助交際しているかのような噂を広めたことといったトラウマを打ち明けるまでに信頼を得ていたことは印象に。ただ今よみかえしてみると、随所に古めかしさを感じることも確か。オークションにつれてって曜子に絵画をプレゼントすることで彼女を見極めようとしたり(ポンと30万の絵を買ってあげる)、一日ラマダンにつきあってもらったあとにフレンチを食べにいったり、ベトナムの青年が無慈悲に殺される映像を一緒にみたあと、彼女の絶頂の顔にその青年を重ねたり、チェルノブイリで誰もいないのに鐘だけがなり、地球の滅びへの挽歌に感じたことを、その直後に思い出したり、主題となったビュフェの絵画が曜子の心象に深く寄り添っていたり、なぜかSTQとぼかされたキューブリック監督「アイズ・ワイド・シャット」をめぐるやりとり、ブランクーシの「空間の鳥」にこめられた思いなど、たてつけは興味深いところもあったのですが。/「お昇りなされ、あるいは下りなされ、おなじことじゃよ」ゲーテ「ファウスト」/ちるさくら、のこるさくらも、ちるさくら 良寛

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著者プロフィール

1946年、新潟県生まれ。上智大学法学部卒業。電通入社後、音楽・映像プロデューサーとして活躍。1987年『ヴェクサシオン』で第9回野間文芸新人賞、1988年「尋ね人の時間」で第99回芥川賞受賞。作家活動以外に、作詞・作曲家、写真家、環境ビデオのプロデューサーとしても活躍中。

「2015年 『生きている。ただそれだけで、ありがたい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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