ベルリンの瞬間

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  • 集英社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087745573

作品紹介・あらすじ

「壁」の崩壊から、さらに歳月は経った。"幼年"の感覚を研ぎ澄ます外来者として、死者の国の季節へとくぐり入った一年。20世紀と21世紀のふたつの世紀転換期を透明な遊歩でつなぐ詩人の、濃密な新ベルリン紀行。

感想・レビュー・書評

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  • ベルリンという町の歴史、そしてその土地の中でたしかに生きた人たち。そうした積み重なった歴史性・伝統といったものに対して平出隆は謙虚・紳士的な態度を崩さない。その上品な態度から記される平出の散文はそれこそ本書で特権的な響きを以て記されるカフカやベンヤミンのそれに比肩しうる透明性を誇っていて、とても読みやすくこちらを刺激する。そして、ぼく自身のことを考えさせられる。これほどまでに歴史が意味を失う時代を生きる……一個の個人として、平出に倣って自分のペースを崩さず何物にも流されず、生きることはなかなか真似できない

  • 私が敬愛する詩人による1年間のベルリン滞在記。壁が崩壊して10年、東と西の差異が歴然と残る。ベルリンは惨憺の歴史が瓦礫となって幾重にも積み重なり存在する。その重量感が街のトーンを定着する。カフカ、ベンヤミン、ツェランの足跡を辿り彷徨う筆者の精緻な文章に、ベルリンの街の悲哀と悔恨のため息が重なる。筆者の視線をを通して、都市のあり方、建造物、風景、芸術、文学をからめて、ベルリンの息づかいをひしひしと感じた。不思議と、この未踏の異郷の地に望郷の念を抱いた。何度も引用されるベンヤミンの幼年時代はぜひとも読みたい。

  • すごく好き。

  • 詩人であるらしき同氏がベルリンに一時期滞在した時の日記形式のエッセイ。空気感がなんとなく好きなんです。文庫化希望。なんとなく地の果ての碑とか住んでた通りをアパートから見下ろす愛猫とか自分の心象のようになってしまったくだりがあるので。「おまえは行け。シュプレー川へ、ハーフェル川へ。肉屋の鉤の並ぶところへ」

  • 読了。

  • 単なる紀行文にとどまらず、新たな発見があり、別な街の顔が見えてくる感じ。

  • 異国の情景を語る静かな飾らない言葉がとても好き。
    この人の言葉は、言葉のやさしさをおもいださせてくれるよう

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著者プロフィール

多摩美術大学教授

「2011年 『私と世界、世界の私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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