ねじの回転 FEBRUARY MOMENT

  • 集英社 (2002年12月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784087745856

作品紹介・あらすじ

人類を悲惨な運命から救うべく、国連に歴史の介入点に選ばれた1936年2月26日、東京。時間遡行によって歴史を修復するため選ばれた安藤大尉らには別の思惑が…。著者新境地の歴史SF大作。

みんなの感想まとめ

歴史の転換点となる1936年の東京を舞台に、時間遡行を通じて人類の運命を変えようとする物語が展開されます。読み始めは抵抗感があったものの、物語に引き込まれて一気に読み終えたという感想が多く、著者の独自...

感想・レビュー・書評

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  • 実際の2.26事件を知らなくてもわかります。
    読み出しは少し抵抗感がありましたが、だんだん引き込まれて最後まで一気に読み終わりました。
    面白かったです。

  • 226事件を題材としている。そこにタイムパラドックスを
    取り込み、さらにAIDS(エイズ)ならぬHIDS(未来の病気)を織り交ぜているのだが。
    何度でもタイムパラドックスが出来てしまうと、面白みに欠ける。
    私の所感だか、恩田陸節(独特の発散、読者に委ねる)炸裂なのかもしれない。
    NHK歴史ドキュメンタリードラマ(日露戦争~第2次大戦)を見たことがあるので、世間では知られていない事実をうまく表現しても良かった気がする。

    私だったら、歴史を変えるのではなく、歴史上の人物の印象・謎を変えるかな。よく、なぜか、昔の書簡が出てきたり、科学分析で見方が変わることがあるのだから。

  • 正直SFではないなと思う。歴史物、といわれても疑問。
    全体的にぼんやりとしたファンタジーのお話でしたね。そういう作風なのかな。恩田さん初読。

    SFを期待してもっと、細部の設定を作りこんでるのかと思ったら最後まで肩透かしでした。
    「シンデレラの靴」「足」「王子様の手」「ラスト・ダンス」「聖なる暗殺」「HIDS」……で、結局なんだったの?と思うことが多々。
    タイムトラベルにしたってずいぶん都合のいい展開ばかりで、なんだかなーと。
    重大プロジェクトを任されているはずの国連スタッフも、なんか全員ノリが軽くないか、と。
    そんな大事なプロジェクトのくせにほとんどのメンバーが、話の根幹部分を知らなかったり、「好奇心はギフト」とかわけのわからない理屈で茶々を入れられる始末。
    なぜ、「二・二六事件」が選ばれたのか、最終的にどうしたかったのかもいまいち不明瞭。
    歴史物として書くなら、もうちょっと当時の時代背景とか調べてほしかった。なんか伝わってこない。
    登場人物が少なすぎるから、事件の意味もなんだかぼやけてるし。みんながみんな、いい人で終わってしまってたのが残念。

    終盤のネタばらし、というか物語がすべてつながっていく感じはよかった。
    ラストの出会いも、きっとこれがやりたかったんだろうなあ、と思ったし綺麗にまとまってた。
    だからこそ、別に「二・二六事件を題材にした歴史物SF」にしなくても良かったよね?、と思う。


    文章はうまくて、話もさくさく読めるから一気に読んじゃったけど、なんか最後までぼんやりした話だった。
    この人の作品はもっとこてこてのファンタジーを読んだほうがいいのかな。
    他の作品も読んでみたい。

  • 面白かった。
    新型コロナよりもずっと前に、
    未来に未知の疫病が蔓延していることなど、
    著者の発想がすごい。

    ただ、なぜ2.26事件を歴史の転換点と
    捉えたのかはちょっと考えたい。

    青年将校たちのクーデターで、
    確かに陸軍の統制派は皇道派を追いやることができた。
    ただあのクーデターが成功して、
    思惑通り昭和維新が行われていたとしても、
    結局昭和天皇は戦争に突入していただろうし、
    親政も長続きはしなかったはず。
    どちらにせよ欧米列国を敵にまわして、
    壊滅的な被害を受けることは避けられなかっただろう。
    軍事大国化が進みすぎて、コテンパンに叩かれ、
    アメリカに占領された未来だってあったはず。

    であれば、国を憂いて行動を起こした
    青年たちの想いはなんだったのか。
    決してムダだったなんて思いたくはない。

    この本をきっかけに、昔から興味を持っていた
    2.26事件にあらためて向き合ったが、
    クーデターが成功しても、失敗しても、
    近現代の日本に明るい未来はなかっただろう。

    歴史にifはない。けれど考えてはみたくなる。

    それを見事なエンターテインメントに昇華させた
    傑作と言っていいだろう。天才だね恩田陸は。

  • 全体として陰鬱な空気。ミステリアスなというのでもなく。舞台が日本で戦争前の起点と言われる二・二六事件が舞台。歴史をやり直せるSF 要素があり。事件を見守る未来の人間側は空気感が違うのだけど、歴史を続ける側の兵士一人一人の気持ちとなると、苦しくなる。
    ただし、どちらも好奇心が行動原理になっている。この歴史を変えたらどうなるか。熱がうくまま進んだらどうなるか。それに伴う結果に思いを馳せる前に動いてしまう好奇心。
    人間の原理はそこなのかもと思わせられた一冊。タイムパラドクスは、ちょっと混乱した。

  • 最初は重くて読むのが大変だったが読み進めるにつれどんどんおもしろくなっていった。

  • タイムパラドックス

     きれいにオチが決まるなぁ。前半は少しだるいけど、後半の加速は心地良い。エピローグの時間遡行発明話もすばらしい。フィラデルフィアみたいな感じだが、厚い本を一気読みだな。

  • 捻れてまた元へ戻っていく。やり直しが出来たとして、私はより良い私になれるだろうか。

  • 歴史に「if」があるならば。

    時間遡行術が発明された世界。
    人類は、起きてしまった悲惨な事件を未然に防ぐために、過去へ遡り、歴史を修正するプロジェクトを実施していた。
    しかし、このプロジェクトは副作用として、人類にHIDSという病をもたらす。
    国連は、このHIDSを食い止めるためにも、更なる歴史修正プロジェクトを続行させていた。

    今回、国連が修正介入点として選んだのは、日本陸軍青年将校が起こしたクーデター、二・二六事件。

    歴史の修正には、「現代」のスタッフだけでなく、
    「当時」の重要人物の協力が必要であるが、
    本件では、のちに首謀者として死刑となる安藤大尉・栗原中尉が選抜される。
    彼らは、こうして「2度目」の二・二六事件を生きることになる。「1度目」の記憶を持ったまま。
    国連スタッフからは、「歴史は自己を修正するので、1度目と同じように生きるように」と言われるが、
    彼ら自分たちが無念・失意の中、処刑されることを知っているため、
    なんとかして、自分たちの目的を果たす方法・散り方を選ぶ方法がないかを考え、実際に行動に移してみる。
    その中で、多少の誤差は許されること、大胆な変化をすると修正が失敗しプロジェクトが一時中断することを学んでいく。
    安藤たちの試みにより、ただでさえ中断続きのプロジェクトなのだが、
    更にメカ不調やハッカー侵入など、トラブルが相次ぐ。
    二・二六事件の修正は無事に終了できるのか。
    そして、この修正により世界は、良くなるのか。

    約10年ぶりの再読ですが、色あせない。やはり面白い。
    タイムトリップものはよくありますが、
    それの題材に二・二六事件を選択したところが秀逸ですよね。
    そして序盤から伏線のオンパレード。(今回は首尾よく回収されます。途中のfragmentもお見逃しなく。)
    構成も巧みで、ディテールも(比較的)しっかりしていて、文章も流麗。
    これぞ、恩田陸!という作品です。大好きだー。

    完全ネタバレですが、
    自分の覚えのために、少し最後の部分を整理すると、

    A 歴史上の再生時間。
    B Aの不一致の時間。スタッフの時間。Aをつまめる。
      ジョンはここから最終兵器マツモトをつまんでいる。
      逆上がりができないよ!→少年時代につまんで、マツモトは自分の逆上がりを補助
      栗原が安藤を撃つ。
      マツモトはピリオドを破壊して、自力でB→Aの世界へ。
      そのタイミングでジョンがAの世界を少しだけ遡行。
      安藤を生き返らせる。

    よくできてる。本当に。

    この本は
    「正しい歴史」「良い未来(現代)」について読者に考えさせます。
    それらは、立場次第で変わる。
    そして、ほんの少しのきっかけで、がらりと変わる。バタフライ・エフェクト。

    考えれば考えるほど、安藤と栗原を選択したのはまちがいでしたね。
    そりゃ、一度失敗したら学びますよ。人間だもの。
    安藤といい、栗原といい、できた人なら尚更。
    いくら安藤を死なせたくなかったとはいえ、
    そのチョイスが最大のミスでしょーと突っ込みたくなる。

    今回もいろいろ心惹かれる小ネタがありました。
    ・日本人は悲劇趣味かつ思いやりのオンパレード
    ・好奇心は理性・知性・タブーなどのすべてを凌駕する
    ・時間遡行術を持った王国が結局は滅びる話。
    などなど。ほかにもいっぱいあった気がする。

    もう一度、二・二六事件について調べてみようと思う。

  • 休日の午後を恩田睦さんの「ねじの回転」を読了して過ごしました。226事件ものと予備知識なしで読んだのですが面白かったです。いわゆるタイム・パラドックスものですね。
    安藤大尉と栗原少尉と石原莞爾大佐が登場…こういう物語でジョーカーのような使い方をされる石原莞爾氏ですが
    作中「本来226事件に関係ないのに未来の意思によって事件に関わらされた」的描き方でしたがあれれ?事件勃発後
    青年将校を一喝したって有名なエピソードがあったよね?
    その辺ちょっと歴史考証的にあやしげなところはあったけど概ね楽しめました。

  • ねじの回転、とはこれまさに。
    恩田陸という作家のらしさがよく出ている、と思った後で、あら恩田さんがらしくない物語なんて書いたことあるかしらと思った。
    史実、歴史上の人物が主要人物として登場するところは珍しいと言えば珍しいけれど。

    1936年2月26日、のちに2・26事件と呼ばれる四日間。兵を率いる安藤と栗原は懐に一つの秘密を抱えていた。
    彼らは二回目の2月26日を生きていた。未来から来た人間たちが手渡した懐中時計の形をした連絡機は、彼らの現実を救うための最後の命綱だった。
    二人の科学者が発見した過去に戻る技術、それを使って世界は過去の最も悲惨な事件をなかった事にした。しかし、ひとつのホロコーストを無くすことで十のホロコーストが生まれることに気づく。それを防ごうとまた過去へ。歴史の改変を繰り返した未来にはある奇病が地球規模で広まった。最初は咳が出始め、寝込み、次の日には老人のような容貌に変わり果て息絶える。これを防ぐには数時毎の薬の摂取が必要となった。しかしこの薬を全人類に行き渡らせる前に人類は死に絶えてしまうだろうと予測されている。そんな行き止まりをどうにか回避するために、国連が立ち上げたプロジェクトがこの歴史を元の通りに再生しなおすことだった。
    過去の再生のために必要なピリオドという役目を任されたのが安藤、栗原、そして軍側の石原だった。彼らはこの後どうなるのかを知りながら破滅の道を歩めと懐中時計を渡されたのだ。
    しかし折角手に入れたこの機会をなんとか活かせないものがと、3人が三様に動き出す。それを監視している国連のプロジェクトチーム内にも思惑は入り乱れて、四日間の再生にあてられたリミットのなかでそれぞれの未来をどうにか掴もうと足掻く。

    最初は事件自体を詳しくは知らず(学校の教科書では確か二行ほどで終わってた気が…)人物たちの動きや、立場がよく分からずなかなか入り込めなかったが、三分の一ほどで持っているはずのない四人目の懐中時計をもつ人間が安藤を襲う場面あたりから先が気になりはじめ、それでも時間が細切れにしか読めない環境が災いして読むのに時間がかかった。ラスト百ページは朝早くに一人起きて一気に読んだ。
    ライオンハートに近い感情になるラストだったと思う。

  • 226事件を舞台に、こんなふうにストーリーが展開するなんて、これこそ奇想天外。早く先が読みたくて仕方がなかった。選ばれた登場人物も、なるほどね。それにしても…石原莞爾って、選ばれるんだなぁ。まさか暗殺とは。「額縁」だから読みやすいのかも。「異界」「境界を越える」これって普遍的なテーマなのね。

  • ニ・ニ六事件をほとんど知らずに読みましたが、面白かったです。
    全体を通じて感じる緊張感とドキドキ感は素晴らしいです。
    最初、文体のせいか、ちょっととっつきにくい部分を感じましたが
    すぐに夢中になってしまいました。

  • 自分たちでさえ制御出来ない技術を使って、未来を足掻く現代人。それを手伝う過去の軍人将校達の真剣でひたむきな姿。
    そこここに散りばめられている小さなユーモア。悲劇。パラドックス。

  • 過去をやり直す技術があったら、より良い未来を生きられるのか。
    失敗をなかったことにして良いものだけを選び取った人生が幸せなのか。
    果たしてそれは生きているといえるのか。

    作中に出てくる寓話が気に入った。

  • 二・二六事件の話だと思わずに借りた。
    やっぱり歴史部分は読みづらい…。
    のに、先が気になって仕方ない。
    1回読んだだけでは理解できない気がする。

  • 歴史SF
    後半から伏線回収され面白く読めた
    「好奇心という最強の武器の前には、タブーなんかない。」という一節が頭に残った

  • いやーこれ好きなんだよな〜。2.26事件がまあ、好き(語弊あり?)なので。

  • タイムスリップ系SF。
    軍部テロによる二・二六事件が、日本の文民政治家に軍部怖しという心理的圧迫という影響を与えたことは間違いない。
    腐敗し権力闘争が当たり前の日本の政治体制を変えようと、昭和維新を目指した青年将校たち、その純粋な思いは美しい、しかし目的は手段を正当化しないという事実は揺るがない。なぜなら、一度正当化されたテロ行為の行く末はテロの拡大連鎖を生むだけだから。
    さて、本書は二・二六事件を素材に、国連の歴史修正プロジェクトを描いたものだが、その組織の存在理由(意義)がイマイチよくわからない。
    修正(補正)といいながら、正史を外れるとリピート作業が中断されるように、ただ過去の歴史をなぞるだけなら繰り返す意味はない。この根本的疑問に、プロジェクトスタッフは気づかない。そして、このプロジェクトの本当の目的、日本の戦中戦後和平を主導した影響力のある人物をリピート中に抹殺し、日本を米国の51番目の州とすることが明かされる。
    そもそも、マッカーサーは天皇制という日本独特の体制下に一致団結する民族に感化され、戦後アジアの平和国家を目指す(対共産圏の防波堤としての役割も)改革を推進した。そうした歴史的事実からみれば、このプロジェクト構想自体が荒唐無稽だと思われるが、逆に、もし当時の軍部の思い上がりや暴走を文民政治でコントロールできていたら、もし陸海軍の対立反目をうまく統制できていたら、もし熱しやすく冷めやすい日本人気質を理解しマスコミ対策(大本営発表を含む)が機能していたなら、という仮説は確かに魅力的である。
    そうした、一種の脳内ファンタジーとして読めば面白い本である。
    事実、AIDSをもじったHIDS(歴史性免疫不全症候群)という新語や、本全体の5分の4くらいで突如「今までの話は夢でした」(fragment7)というくだり(実はそれも夢だった!)など作者独特のひらめきが随所にみられる。

    以下、本書の理解を助けるため作中に登場する懐中連絡機(過去を遡る任務を帯びた人)を持たされた軍人3名を紹介。

    安藤 輝三(あんどう てるぞう、1905年(明治38年)2月25日 - 1936年(昭和11年)7月12日)は、日本の陸軍軍人。最終階級は歩兵大尉。 二・二六事件に関与した皇道派の人物で、軍法会議で首謀者の一人とされ死刑となる。
    決起には消極的だったものの、ひとたび起った後には誰よりも強い意志を貫いた。山下奉文に唆され、一同が自決を考えた際も徹底抗戦を訴えてそれを退け、敗色が濃厚となる中、山王ホテルを拠点に最後まで頑強な抵抗を続けた。投降を決断した磯部の説得にも「僕は僕自身の意志を貫徹する」として応じなかった。
    大勢が決したことを悟ると、一同の前でピストル自殺を試みる。磯部は慌てて羽交い絞めにして押し止めたが、彼の決意は翻らなかった。
    説得に訪れた直属上官の第2大隊長伊集院兼信少佐は「安藤が死ぬなら俺も自決する」と号泣し、部下たちもこぞって「中隊長殿が自決なさるなら、中隊全員お供を致しましょう」と涙ながらに訴えた。安藤は宿願だった農村の救済が出来ないことを悔やみつつ、部下たちには自分の死後も、その目標を果たすよう遺言した。
    磯部はこの光景に感涙しつつも、「部下にこんなに慕われている人間が死んではならない」と必死に説いた。その間にも上層部は何とか安藤と兵たちを引き離そうと計るが、第6中隊の結束は固く、全員が靖国神社で死ぬ覚悟であった。
    しかし安藤は兵を投降させることを決断し、「最後の訓示」を与えた後、皆で「吾等の六中隊」の歌を合唱するよう命じた。曲が終わった瞬間、安藤はピストルを喉元に発射して昏倒したが、陸軍病院における手術の末一命を取り留めた。
    刑死:
    事件から3日後の2月29日付で正七位返上を命じられ、大礼記念章(昭和)を褫奪された。軍法会議で叛乱罪が申し渡され1936年(昭和11年)7月12日、死刑執行。満31歳没。家族から受け取った松陰神社のお守りを身に帯びていた。(ウィキペディア)

    栗原 安秀(くりはら やすひで、1908年(明治41年)11月17日 - 1936年(昭和11年)7月12日)は、日本の陸軍軍人、国家社会主義者。陸軍士官学校第41期歩兵科出身。最終階級は歩兵中尉。
    1936年2月26日に勃発した二・二六事件に参加した。磯部浅一に並ぶ急進派として知られる。
    1935年8月12日、歩兵中佐相沢三郎(22期、皇道派)が陸軍省内で執務中だった軍務局長永田鉄山少将(16期首席、統制派)を殺害した相沢事件が発生した。さらに12月頃になると第1師団満洲移駐の噂が流布し、栗原自身も救国埼玉青年挺身隊事件への関与を理由に処分されるのではとの噂があった。
    常日頃から「ヤルヤル」と言っていた栗原は(あだ名は「ヤルヤル中尉」)、「老人」の相沢に先を越されたこともあり行動に移さざるを得なくなった。栗原は磯部に決起を持ちかけ磯部も同意した。栗原は、「部隊を掌握しており下士官兵も決起に参加させられる」と主張したため、当初は五・一五事件のように将校のみによる少人数で行う予定だった計画は、組織的に部隊を動かす大規模な計画へと移行した。実際には栗原の所属する歩兵第1聯隊からは全反乱部隊の三割が参加したに過ぎず、参加人数の大半は部下の信望が厚かった歩兵大尉安藤輝三(38期)の歩兵第3聯隊から第6中隊(安藤)、第7中隊(歩兵大尉野中四郎・36期)が主力として参加することになった。
    1936年2月26日午前5時頃、岡田啓介総理がいる首相官邸の襲撃を指揮した。総理の義弟・松尾伝蔵(5期)を総理本人と誤認したため岡田の暗殺には失敗した。午前9時頃、栗原の指揮する部隊が朝日新聞社を襲撃し、活字ケースをひっくり返し、その後は日本電通、東京日日、報知、国民、時事新報の各新聞社、および通信社をまわって、決起趣意書の掲載を要求する。その夜は、中橋隊と共に、首相官邸に宿営する。
    西田はつ(西田税(34期)の妻)や斎藤瀏予備役少将らと頻繁に電話で連絡を取る。その多くは戒厳司令部により録音されていた。
    2月28日陸相官邸に集まり、陸軍省軍事調査部長山下奉文少将(18期)から宮中の雲ゆきがあやしい事を聞き悔しさや宸襟を悩ませたことに責任を感じ自刃を決意するも、29日奉勅命令が出されたが裁判での徹底抗戦を叫んだ。同日午後0時50分、反乱部隊将校が免官となる。午後1時前、安藤隊を除いて、栗原隊も帰順する。反乱将校として、陸相官邸に集められる。
    事件から3日後の2月29日付で従七位返上を命じられ、勲六等及び昭和六年乃至九年事変従軍記章を褫奪された。4月28日、将校達に関する特設軍法会議の初公判が開かれる。陸軍刑務所では常に周りの将校を励まし、裁判の場においては部下の将校をかばっている。7月5日、特設軍法会議の判決(死刑)が下される。このとき栗原は一言、「多すぎたなあ」と呟いたという。その後悔しさ紛れに遺書を書いたが、みっともないのでこれは処分してくれと刑務官に頼んだものの結局残されて戦後公開された。(ウィキペディア)

    石原 莞爾(いしわら かんじ、1889年(明治22年)1月18日〈戸籍の上では17日〉 - 1949年(昭和24年)8月15日)は、日本の陸軍軍人、軍事思想家。最終階級は陸軍中将。位階勲等功級は正四位勲一等功三級。
    帝国陸軍の異端児と呼ばれ、アジア主義や日蓮主義の影響を受けた。『世界最終戦論』で知られ、関東軍で板垣征四郎らとともに柳条湖事件や満洲事変を起こした首謀者。二・二六事件では反乱軍の鎮圧に貢献したが、宇垣内閣組閣は流産に追い込んだ。後に東條英機との対立から予備役に追いやられる。東京裁判では病気や反東條の立場が寄与し、戦犯指定を免れた。
    陸軍大学校教官、関東軍作戦主任参謀、同作戦課長、歩兵第4連隊長、参謀本部作戦課長、同第一部長、関東軍参謀副長、満洲国在勤帝国大使館附陸軍武官(兼任)、舞鶴要塞司令官、第16師団長などを歴任し、ドイツ駐在やジュネーヴ会議(英語版)随員も経験した。東亜連盟も指導し、予備役編入後は立命館大学国防学研究所所長も務めた。
    二・二六事件の鎮圧:
    昭和11年(1936年)の二・二六事件の際、石原は参謀本部作戦課長だったが、東京警備司令部参謀兼務で反乱軍の鎮圧の先頭に立った。 この時の石原の態度について、昭和天皇は「一体石原といふ人間はどんな人間なのか、よく分からない、満洲事件の張本人であり乍らこの時の態度は正当なものであった」と述懐している。
    この時、ほとんどの軍中枢部の将校は、反乱軍に阻止されて登庁出来なかったが、統制派にも皇道派にも属さず、自称「満洲派」の石原は、反乱軍から見て敵か味方か判らなかったため登庁することができた。
    安藤輝三大尉は、部下に銃を構えさせて、石原の登庁を陸軍省入口で阻止しようとしたが、石原は逆に「何が維新だ。陛下の軍隊を私するな。この石原を殺したければ直接貴様の手で殺せ」と怒鳴りつけ、参謀本部に入った。反乱軍は、何もしなかった。
    また、庁内においても、栗原安秀中尉にピストルを突きつけられ「石原大佐と我々では考えが違うところもあると思うのですが、昭和維新についてどんな考えをお持ちでしょうか」と威嚇的に訊ねられるも、「俺にはよくわからん。自分の考えは、軍備と国力を充実させればそれが維新になるというものだ」と言い、「こんなことはすぐやめろ。やめねば討伐するぞ」と罵倒し、栗原は殺害を中止し、石原は事なきを得ている。(ウィキペディア)

  • 中盤から一気にテンポが上がって面白くなってきた。

    組織である以上それを動かすのは力関係と政治。政治と経済を抜きにした活動など、所詮絵空事に過ぎない。
    自分もまだまだ青いのかな。

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

恩田陸の作品

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