コンビニ・ララバイ

  • 集英社 (2002年6月21日発売)
3.27
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784087745863

作品紹介・あらすじ

お人好しで商売気のない店長と、訳ありの店員さんにお客さん。みんな何かを抱えて生きている。何かを求めてやってくる。それぞれのはぐれた愛が切なくて、まぶしくて──小さなコンビニの物語。

感想・レビュー・書評

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  • ベテランパートの治子やコンビニ前のベンチで愛を育む老人カップルや、ストレス発散のために万引きする女子高生…
    みんな悩みを抱えていて、でも幹郎のある種投げやりな経営は、そんな人たちの憩いの場となる。
    売上が減ってもホームレスに弁当を与え、ヤクザに駐車場を貸す。
    みんな幹郎に話を聞いてもらうことで安らいだり前進したりするが、それは幹郎自身が悩んでいて、悩める人の気持ちが分かるからかもしれない。

  • 短編形式で読みやすかったが感情移入しづらい登場人物が多かった。

  • チェーン店ではない、10時には閉まるコンビニの店長幹郎と、そこに関わる人たちの愛や、性や、命の話。
    レビューは半々ぽいけど、私は染みた派。
    交通事故で亡くした幼い息子、妻を想い、店に来る人々を想い、惰性で店を続けながらも人と絆は結ばれていく。
    生きてるといろんなことがあるもので、事実は小説より奇なりというし、これはこれでありだった。

  • 脱サラしてコンビニを始めた店長と、店員やお客との間の人間模様を描いた物語。丁寧に人間の感情みたいなものが描かれている感じで、基本は心温まる話。
    子供も妻も交通事故で亡くし、ある種人生にやる気や意味をなくしつつも、周りの人たちに暖かな空気というかを与えている人。ふと辛いことがあったときになんとなく会いたくなる、そんな店長を描いている。
    各短編ごとに悩みを持つ人がいて、店長が少なからず気持ちの整理を手伝っていくような形式で、それぞれ進む。コンビニっていろんな人が出入りするし、こういった話を書くには良いのかも。チェーン店ではない個人経営のコンビニという設定だけど、今個人経営のコンビニなんて、どれくらいあるんだろう。店長の裁量を与えたい、というところで、チェーン店の店長では、話が成り立ちづらいので、こういう設定なのだろうけど。
    若干性的な描写も含まれるが、これは賛否が分かれそうな気がする。捉え方によっては、それで生々しさがさらに加わっている気もするし、心温まる話にするにはちょっと余計では、とも思う。男女中を題材にすれば、あまり避けられない気もするので、個人的にはこれくらいならありかなぁ。

  • 子供と妻を続けて事故で亡くした店主、幹郎が営む小さなコンビニエンスストア。そこへ訪れる人々のストーリー。幹郎によって少し救われる人たち。どの登場人物も好きになれない。そんな愛のカタチや生き方もあるかもしれないけど、自分にとっては非現実的な世界。幹郎もまた、お人好しで、とても親身になって手助けしてあげてるけど、何か好きになれない。そして全体に漂う陰鬱でとにかく暗いイメージ。でも、おもしろくない訳ではなかった。

  • 2015-61
    妻と子を亡くしたコンビニ店長とコンビニを通して関わる人たちの話。
    悩みや辛さを抱えて、それでも生きていこうとする話。

  • 個人経営のコンビニに集う人達の連作短編集。
    2014.10.10

  • 息子と妻を亡くしたコンビに店長が主人公。世間並みの幸せとは違う、逆境の中での幸福を探す話。

  • いろいろ影のある人たちの群像劇。
    人間って、本当にどうしようもないくらい駄目なところも多いけれど、でもそういうところもあるからこそ、素敵だとも思えるよね…て思わせてもらいました。
    駄目な配偶者、駄目な恋人、駄目な自分…。そんなどうしようもなく駄目な
    人間を、本当に愛せるのも人間だからこそなせるワザ。
    愛するって、本当は何も難しいことなんかじゃないのかもしれない。

    が、
    またですかってくらいに、ちょっとしつこいくらいの性描写が、なんか苦手でした。
    え、ここでまた描写いれんの?え、この人の話でもまたやんの??…みたいな。
    私の好きな大崎善生さんも、作品によっては性描写がちょくちょく出たりするけど、大崎さんのが水彩画とするなら、池永さんのは油絵って感じ。
    とにもかくにも表現が露骨で、生々しくて、それが個人的にイマイチ感情移入できなかった原因かも。

  • 息子を亡くしてから、妻が心配なので2人でお店をやろうと思った。
    賑やかだけど、乾いているから・・・」という妻の理由で
    コンビニを始めることに・・・。
    しかし開店したわずか2ヵ月後に妻も事故にあってなくなる。
    暗くやる気が無い店主の変化と、そのお店に関わる人間の物語。
    全体的に、結構暗めの話
    第7話まで入っているのですが、どれも生々しい人生の辛さ、
    重みを感じました

  • マンガ「深夜食堂」っぽいなあと思いました。
    泣ける本とのことでしたが私は泣けなかったなあー。

  • 缶けりの話は好き。終わりかたが読者に様々な感情を想起させて、読後感が素晴らしい。しかし全体としては、同じような表現、性善説のごり押し、ご都合主義、ありきたりさ、ヤクザ至上主義などがみえかくれし、今一つといった印象。

  • とても良かった!
    ひとつのコンビニを舞台にさまざまか人間模様が描かれている。

    それぞれの人の気持ちがじんわり伝わるようでした。

  • ミユキマートというコンビニを営む、幹郎と従業員・治子を中心に起こる連作短編集。

    どこかに傷を負った人々がミユキマートに少しだけ寄りかかりながら癒されていく……まぁ真っ直ぐ直球の王道な物語なのだけれど。そのわりに妙に男女間が生々しくて、幻想のように美しい人情物と生臭い人間関係のどちらに秤を傾けようか、常に迷っている中途半端な感じがちょっともったいない印象。

  • これも高校時代に読んだ本

    コンビニを舞台にしたはなし。
    身近なコンビにだからこそ
    はいりやすかった。

  • ・コンビニを舞台にした連作短編集。すごく良かった!言ってしまえばコンビニと人しか出てこない人間交差点。どの話も少し傷ついた人たちがやわらかく救われ再生に向かうところを描いてる。ほとんどファンタジーって位にお涙頂戴なんだけど、どの話もとてもいい!胸打たれる。「人間交差点だ」ってのは最大級の賛辞だよ。
    ・市民センター図書室でタイトル借り。関係ないけど8月10日から来年まで改装で閉まるんだってよ。つまんなくなるな…

  • 一人息子と妻を交通事故で亡くし、万引きされても見て見ぬ振り、やる気の無いコンビニの店長の幹郎。そんなコンビニには心に傷を抱えた人たちが集まってくる。

  • 2003年2月8日読了。

  • 2011/2/10 読了(2011-010)

  • 妻子を亡くし無気力に生活するコンビニ経営者とその店に関わる人々。それぞれに悩みや悲しみを抱えながらもひたむきに生きる姿を描いた連続短編集。


    心にしみるという紹介文から想像していたのとはだいぶ違うストーリーでした。ほんわかというより人生の悲哀を感じ、それでも傷を抱えたまま生きていくしかないんだな、と。
    読んでいて男女の奥深さを感じました。どうしようもない相手に惹かれてしまったり、全体的に愛というより情といった感じでした。サブ的ストーリーで本妻と愛人との微妙なやり取りの「パントマイム」が一番印象に残りました。
    ただどうにも性的な内容が多すぎで、辟易してしまいました。特に、会話で突然「セックス」の話をする従業員がいたら嫌だな。

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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