スチール

  • 集英社 (2003年1月6日発売)
2.89
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Amazon.co.jp ・本 (152ページ) / ISBN・EAN: 9784087746280

作品紹介・あらすじ

窮屈なロッカーが夜の住み処、男性客相手のヤバい風俗のバイト。男も女も好きでないし、自分さえも…。絶望も希望も見出せない10代の生と性の彷徨を鮮烈に描く、第26回すばる文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 家や学校に居場所のない感じを持ち、鉄製のロッカーの中に入る少年の物語

    現状に違和感があったり、身の置き場がなかったり、そういう感覚は自分も覚えがある
    そんな時に、狭い場所に籠ることで安心感が得られることも

    それはある種の生きづらさだと思うのだけれど、世の中どのくらいの割合の人がそんな生きづらさを持つのだろうか
    それをモチーフにした文学作品はそれなりにあると思う(人間失格とか)し、受け入れられていると思うので、実はそれなりの割合の人がそうなのかもしれない


    少年の淡々とした、時にハッとするくらい瑞々しい語り口が読みやすかった

  • 貸しロッカーに籠る癖のある高校生が特殊な売春したり1時間貸しロッカー部屋に座ってる中年男が気になったり売春クビになって中年男の住所調べてそこでバイトはじめて貸しロッカーの管理人だったタクトがどこかへ行ってしまい赴任してきた教師が売春したことある奴でつきまとわれて自殺劇までされてバ先の中年男こと岸田さんは末期癌なったり青春かな
    恋する主人公に冷める幼馴染の篠原が現実的

  •  17歳の怜司は何ひとつ不自由しない家庭に育ち成績もそこそこ良い普通の高校生だが、 街で出会った女性に誘われるまま男性相手の風俗のバイトをしている。
     ある日新宿で『24時間制ロッカールーム』を見つけた怜司はそこのひとつを契約し、夜のひと時をロッカーに閉じこもって 過ごすようになっていた。
     時折ロッカーの中から出入りする客を観察するのを楽しんでいた彼は、一人の奇妙な客に目を留める。
     何をするでもなく、ただ床に座り続ける中年男。何度も見ているうちにその男に強烈なシンパシーを抱いた怜司は、 その男の身元と住所を調べて尋ねていったところ、ひょんなことから男の経営する倉庫で働くことになった。
     倉庫で働くパートの女性たちとの関わりの中から、彼は自分の何となくしていたことの愚かさを感じ始める。 …と同時に、自分がロッカーで見ていた顔とまるで違った印象の男に戸惑いを覚えていた。
     そんな穏やかな変化を感じる日々の中、怜司がかつて客として接したことがある男が国語教師として 赴任してきたことが彼を違った意味で大きく変えることになる…

     世間からあえて自分を遠ざけていた一人の少年がいろいろな出来事によって少しずつ周囲との関わり方を覚え 成長していく過程を描いている話なのです、要するに。ただその出来事が少し普通ではないだけで。
     最初の時点での怜司はとにかく無自覚で無関心。
     自分を一人息子として愛する両親も「必要ない」と思っている。一般的な考えではかなり覚悟がいるであろうバイトも 「誘われたから引き受けただけ」という感覚。幼なじみのかなり可愛い(と彼も認めている)女の子に 惚れられていて周囲にも付き合っていると認知されているのに、本人はそんなに意識することはない。 後半に出てくるキーパーソンである国語教師の接し方が、教師的義務感→性的興味→愛情→ストーカー寸前→ 自発的奴隷…とまで変わっているのに、そのことの重要性を意識しないまま受け入れて終いには嫌気がさす。
     だからこそ、そんな彼がいろいろなことに対して急激に自覚を持ち始める様が印象的です。
     自分がロッカーに入っていたことの意味、バイトで当然のように接してきた相手への嫌悪感、そして中年男に対する 執着の正体。
     それは怜司が少しずつ世間に近づいて直接触れた結果わかったことだ…という流れがとても美しい。
     性的にかなりドロドロした部分も書いているはずなのに、不思議と生々しさを感じさせない怜司の視点が この小説の特質なのです。
     同性愛が大きなテーマのひとつなのでちょっと敬遠する方もいるかもしれませんが、別に本番してるわけじゃないし (露骨に書きすぎです、私)そこがメインではないと思うので大っぴらに紹介してみました。
     ちなみにこの作品、第26回すばる文学賞受賞作だそうです。
     あまり賞に興味のない私ですが、これは「わかるなぁ」と思います。

     このコンテンツに紹介する本は、私の中で主に二通りに分類されています。
     ひとつは『前から好きで仕方なかった本』。もうひとつは『たまたま読んで強く印象に残った本』です。
     この本は後者に当たります。偶然図書館の新刊コーナーにあったのを手にとってみたら何となく惹かれたので借り、 読んでみたら心に焼きつきました。
     読み終わったときはそんなに自覚していなかったのですが、その夜見た夢でこの本に類似した内容が出てきた時点で ここに書こうと決めたわけです。(実話)

    (2003.8.5 UP)

  • 不自由のない生活の中で感じる心の窮屈さとでも言ったらいいのだろうか…。曖昧な感じで成り立っていたまわりとの関係が、ある一人の人を意識することでリアルになり、自分の存在を確信していく、みたいな話。主人公のレイジはそういう自分に至る過程で男相手に自分を売ることにそれほど抵抗を感じずにいたけど、リアルな一人を意識することでリアルな自分自身をももっと大事にしていこうと変わってきたのかなと思う。作者は名前からして女性だと思い込んでいたが男性だったのか。だから何ってわけではないのだが思い込んでるもんだからけっこう衝撃を受ける。

  • ジャケ借り 同性愛とガンを同じ舞台に?

  • 第26回すばる文学賞受賞作だそうです。

    書かれているのは特殊な世界ですが、主人公に共感する部分もありました。
    主人公に惹かれるあまり壊れていく教師が恐ろしい・・・

    他人を愛するって、どういうことなんだろう。
    考えさせられる作品です。

  • 1月6日読了<BR><BR>
    鉄のロッカー。硬質な鉄製の城。<BR>
    高校時代の感情を突付いてくる。<BR>
    何の根拠もなくクラスメイトを心の中で見下し、自ら張った壁の中でもがいていた頃。<BR>
    自分と他者をはっきりと区別しようとした結果、他人とうまく付き合っていけず自分の世界に閉じ篭もった頃。<BR>
    自分で勝手に作り出した疎外感に地団駄を踏んでいた頃。<BR>

    今思えばなぜあそこまで頑なに自分設定を守ろうとしていたのかわからないけれど、あの時の石膏の様な気持ちを引掻いてきた。

  • 客は観賞するだけ。要求されれば、どんなことでもやってあげるが、客は一切、身体に触れてはならない。目の前で繰り広げられる光景をネタに、マスターベーションをするのだ。男性客相手の風俗のバイトをしている十七歳の高校生<怜司>は、新宿の<二十四時間制ロッカールーム>のひとつを契約し、夜のひと時を狭い箱の中で過ごしていた。ある日、そこで床にただ座り続ける中年男を見かけた怜司は、次第に中年男に惹かれていく。そして住所を突きとめ、彼が経営する倉庫でバイトを始めるが、朗らかなパートの中年女性達に囲まれて、少しずつ世
    の中との関わりを学び、受け入れるようになる。しかし、かつて「客」だった男が国語教師として着任してきて……。

  • スチール製のコインロッカーの中が、唯一の安息場所となった高校生の主人公。
    リストラ、同性愛、風俗など今時のモチーフは取り上げられていますが、これも箱男の一種なのかしらんと強引にこじつけてみた(箱男好き)
    (2003.6.16)

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