- 本 ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087746839
作品紹介・あらすじ
ピアスの拡張にハマっていたルイは、「スプリットタン」という二つに分かれた舌を持つ男アマとの出会いをきっかけとして、舌にピアスを入れる。暗い時代を生きる若者の受難と復活の物語。第130回芥川賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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著者、金原ひとみさん、ウィキペディアを見ると、次のように書かれています。
---引用開始
金原 ひとみ(かねはら ひとみ、1983年8月8日 - )は、日本の小説家。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
舌を二つに裂き続ける少女。神の名を持つ異形の青年達。暗い時代を生き抜く若者の、受難と喪失の物語。第27回すばる文学賞、第130回芥川賞受賞作。
---引用終了
本作は、芥川賞受賞作になります。
若い女性(金原ひとみ、綿矢りさ)がそろって芥川賞を受賞したとのことで、話題になったのを思い出します。
その時期は、2003年で、もう20年以上にもなるのかと、時の流れの早さに啞然としてしまいます。
ウィキペディアによると、「綿矢は19歳11か月、金原は20歳5か月で」の受賞とのこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歳をとらないと深く理解できない小説があるように、歳をとってしまうと深く理解できない小説がある。金原ひとみの『蛇にピアス』は後者に属する小説だと思っている。『蛇にピアス』はスプリットタンや舌ピアス、タトゥなどの身体改造を通じて、生きていることの痛みや切実さを描いている。僕は10代の時にこの小説を読んだが、この時期に読むことができて本当に良かったと思う。今読み返しても、10代の時ほど生きることの痛みの切実さが感じられないんじゃないかかなと思っている。
『蛇にピアス』でモチーフとして扱われているのは、タイトルにある様にピアスやスプリットタン、タトゥといった身体改造だ。主人公のルイは、アマと同棲しながらも、サディストの彫り師シバとも関係を持っている。アマは舌にピアスを入れており、舌先が二つに別れたスプリットタンになっている。ルイはアマのスプリットタンに影響を受けて、自らも舌にピアスを入れ、タトゥを彫り、どんどんと「身体改造」にはまっていく。痛みを通じてしか生きることの実感を得られないアマの痛みと快楽、愛と絶望が描かれている。
アマやルイ、シバたちは、ピアス・タトゥーといった身体改造を通じて、アンダーグラウンドで生きるということを身に深く刻み込む。身体性や痛みを通じてでしか、生の実感をえられず、死や暴力的なものを渇望する。『蛇にピアス』は、若さ特有の毒で溢れている。頭で考えながら読む小説というよりかは、考えずに身体で感じる小説だ。 -
主人公の少女は、痛みとともに舌ピアスを次々に拡張してゆく。
描写が結構すごい。過激だが、物語に引き込まれ一気に読み切った。 -
芥川賞を受賞されたとき、同時受賞の綿矢りささんとあまりにも対照的でそれが印象的だった。内容は過激だった(自分には知らない世界の内容だった気がする)。奥が深そうだった。
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中三春、読了。
友達に勧められて読んでみると、意外と面白かったです。ページ数が少ないので、すぐ読めました!
映画ではどこまで映してるんだろう... -
破滅に向かう若者たちの行き先の見えない日々
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行きつけの心療内科に置いてあった本です。
舌にピアスをしてスプリットタンにしたり、入墨を掘ったりと、自分の身体を傷つける様な女性主人公が、二人の男に抱かれながら進む本。
淡々と書かれた文章で、あまり気持ちの良い内容ではないです。 -
え~~、、、舌を蛇やトカゲのように二股にする、、、わたしはピアス穴あけも嫌なのに、、、悲鳴をこらえながらの読み始めはつらかったが、スピードのある才能がキラキラしている巧な文章で、なかなかおもしろい、あっという間に読了、終わってみればSMの世界にとっぷり漬かっていたらしい。引きずり込まれてしまったというか、サディスティックにしろマゾヒズムしろ、文学的世界に身近な人生が関わってくるのかもしれない。金原ひとみさんの次作を読んでみたくなった。
著者プロフィール
金原ひとみの作品





