アッシュベイビー

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747010

感想・レビュー・書評

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  • この本が金原ひとみを読み始めたきっかけだったと思う。
    グロテスクだからいいってわけではない。
    好きな人に強烈に求められたい気持ち、それに共感するのだと思う。
    改めて読むと延々「村野さんが好きです」「殺してください」
    「マンコ」「チンコ」なんだけど、(だから平均して評価が低いのか?)
    読み進めるのを止められない。☆いくつつけても足りないぐらい惹かれる本。

    ホクトのエピソードなんか、読み直して初めて思い出した。
    刺し傷をえぐる、指を入れるっていうのを一番覚えていた。

  • 金原ひとみの小説を読むときは、深呼吸をして肺に新鮮な空気をたくさん溜め込まないとだめだ。それでも苦しくてしょうがない。

    傷つきやすい心をかばうかのように、過剰なまでに繰り出される攻撃的な言葉の羅列。
    正直この手の小説は得意ではない。
    でも、こんなに傷ついている心を見せつけられたら、目をそらすわけにはいかないでしょう。

    誰にも必要とされない存在になる前に、誰のことをも必要としない。
    誰からも心を開いてもらえないから、誰にも心を開かない。
    それですんでいた。今までは。
    満たされはしなくても、傷つきもしなかった。

    でも村野に出会ってから、見ていたい、触れていたい思いが、見て欲しい、触れて欲しいへ。
    愛してほしい。気にかけてほしい。気づいてほしい。1ミリでいいから。
    それが駄目なら、殺してほしい。
    けれどすべての思いは村野を通過していくだけ。

    村野は感情の起伏がない。好きでもなければ嫌いでもない。ただ…。

    「好きです」「はぁ」
    「ちょっと飲みませんか?」「いいですよ」
    「泊まりませんか?」「いいですけど」
    「私のこと嫌いでしょ?」「嫌いじゃ、ないですよ。別に、好きじゃないですけど」
    「結婚しませんか?」「いいですよ」

    これでは、何の実感も持てないではないか。

    アヤが村野に執着しているとき、同居人のハヤトは赤ん坊と二人の世界の中でどんどん壊れていった。
    二人が愛を得ようともがいている姿は現実社会では犯罪で、だけどそれを止める手立てが私にはないので、すごく息苦しいのだけれども黙ってこの本を読み続けたのだ。

    好き嫌いの別れる作品ではあるが、誰の心にも何らかの爪痕を残すすごい作品であることは確かだと思う。
    お勧めはしにくいけれど。

  • 残酷。
    痛みも愛も血も死も。この人の本は書かれてる感じがしない。誰かの感情をダイレクトに脳にいれられてる感じで
    読んだあとはしばらく支配されそうになる。

    あまりに病的でこの感情は
    絶対に理解しちゃだめだってわかるのに入ってくる。
    アミービックより
    蛇にピアスより痛いかも。

    でもなんか、かなしいような愛しいような
    気持ちになっちゃうから
    やっぱり金原ひとみは天才だと思う

  • よくわかりません。人によって評価がかなり分かれそう。私の兄はこの小説も金原さんのことも絶賛していて面白かったみたいで薦められましたが、私には良さが解りませんでした。

    改行もなく、だらだら文章が続く書き方に読むのが辛かったです。

  • 蛇にピアスから金原作品にはまって、2作目。さすがです。蛇にピアスよりも鋭くて、普通ならタブーなところを隠すことなく表してる。

    荒くて、尖っていて、刺すような痛みのある作品。
    僕はこの金原作品の背徳的な暗い空気感が好きで、その中でもアッシュベイビーは特に重い。

    男と女であるが故の悲しさ、若者の抑制している本性など、綺麗に汚いものが描かれていると思います。
    読後感はやっぱりよくないけど、刺さります。

  • 評価軸としては2つ。
    「誰も描けなかったものを初めて書いた。素晴らしい」
    「気持ち悪い。吐き気がする。書く気が知れない」

    以前大学の授業で金原ひとみの話を聞いたことがある。
    感受性豊かで、棘のある、コンテンポラリーな人という印象。
    「アッシュベイビー」に関して言えば、読者に読み続けさせる技術は抜群。
    気持ち悪いけど、でも、読みたい、みたいな。
    ホラー映画みたいなもんなのかな。怖いもの見たさ。
    彼女の才能に疑いの余地は無い。

  • 愛は一体化ではなく、自分は好きですと言いながら相手の幻想を想い続け、相手からは赤子を愛でるように性器を舐められ続ける、みたいなメッセージのメタファー的な文章。全ての登場人物が記号的で、蛇にピアスよりも表現したいことに従順だった印象。病的で下品でありたいみたいな自意識が主人公から感じられる中で、たまにどんな読者にも当てはまるであろう教訓的な瞬間があって、それを際立たせる為に過激になっているのかもしれない。

  • なかなかのグロさでした。
    読んだあとの何とも言えない気持ち悪さが、私には合わなかった。

  • 読んでいくうちに、これはどんな結末になるの?と思いながら短時間で読めた
    メインの登場人物はイカれてるし、内容もエログロホラー映画みたいだった
    元々〜が続くページは読みにくかったかな

  • ・幼児性愛、性依存症、加虐性愛の性癖を持つ男女三人が織りなす、満たされない性についての小説。獣姦シーンなどもあり、評価が分かれる作品だと思う。奔放な性についての描写、ヤケっぱちな女主人公、ドライで殺伐とした人間関係は、フランスの女性作家・ヴィルジニ・デパントを思わせた。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2004年にデビュー作『蛇にピアス』で芥川賞を受賞。著書に『AMEBIC』『マザーズ』『アンソーシャルディスタンス』『ミーツ・ザ・ワールド』『デクリネゾン』等。

「2023年 『腹を空かせた勇者ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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