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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087747157
作品紹介・あらすじ
日系二世の語学兵の苦悩を描く戦争長編。
日本人と同じ顔、同じ言葉を喋るがアメリカのために戦う日系二世の語学兵、ショーティの栄光なき孤独な戦い。アメリカ人以上にアメリカ合衆国への忠誠を要求される日系人の苦悩を描く力作戦争長編。
感想・レビュー・書評
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これまたスピーカーの台座になっていた20年熟成した単行本、古処誠二「7月7日」。
アメリカで生まれた日系二世、語学兵のショーティが体験したサイパン戦の話。血(風貌)と生誕地の2重の差別を感じるショーティ。たくさんの考えさせるテーマをくれる戦争小説の傑作。日本は穢れを嫌うため、捕虜になることを認めず玉砕が潔いと教え込まれる。日本が自国に閉じこもっていれば良いのに、太平洋の島々に拡大していったのは、もとを辿れば開国を無理矢理開かせたアメリカのせい。などなど数えきれない。
颯爽と解決する映画や漫画と違い、立てこもる民間人を救うために、残酷な方法をとるショーティ。
エンディングの七夕で、同じ日系二世のカジハラが言う。「真情の吐露は、こどもにだけ許される特権なんだよ」。今もまだそんな時代なんだろうか。
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読みながらニコラス・ケイジ主演の戦争映画を思い出した。映画も日本軍を相手の攻防戦だった。
主人公の「語学兵」についている護衛兵も、映画のように「不測の事態には射殺せよ」と命令を受けていたかもしれない。
時代考証や武器等の細かい説明(でいいのかな?)もさすがは古処誠二さんだと感じた。変わったタイトルだと思っていたけれど、読後には、とても素敵なタイトルだと感じた。 -
どちらかしか選ばせてもらえないから、どちらを選ぼうとどちらにもなれない。
はじめから負け戦。
どうしたって下らないことにしかなりようがない。 -
<サイパン戦>
米軍・日系二世語学兵のお話。
ショーティの頑な部分、アメリカの側から見るからこその日本人の愚かな部分、純粋な部分、彼らに言わせればクレイジーな部分、そう言うものを噛み締める、でも日本人である語学兵からは見える、アメリカ人の、そう言った部分。
古処作品の本当にすごい所は、視線の冷静さ、そこから生まれる感情に頼らない状況の描写、のような気がします。
だからこそ読後に問われている感覚。「人間てなんだ?」古処さんの本を読むと、しばし呆然としてしまうのでした。 -
すごくよいです。日系アメリカ人で、戦う2国の間で立場のあやういショーテイ。終戦のために日本人に降伏を促すが、沖縄の民間人はそんな彼の前で死を選んでいく…。閃光に照らされた、禊をする女たちのまるい体のシルエットのシーンが印象的だったなあ。
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「日本人の子として恥じぬよう、アメリカのために全力を尽くす!」日系二世
語学兵の、栄光なき孤独な戦い。第二次大戦末期のサイパンを舞台に描く、
古処戦争小説の最高峰。 -
戦場で、アメリカ兵である日系二世の苦悩が描かれています。アメリカ人として日本人と戦いながらも、常に忠誠を試されているような日系語学兵たち。頑なで孤独なショーティの姿には悲愴なものをを感じました。半分寝ながら読んでたので(面白くないわけではなく、単にすごく眠かった)、ところどころ記憶が抜けてます…。『ルール』のあの人が出てきたのにはちょっと驚き。
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その言の葉にのせて。
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主人公は日系アメリカ人二世の語学兵ショーティ。
第二次大戦中のサイパン戦線に、彼は日本人捕虜とアメリカ軍との通訳としていた。
ショーティの目を通して描かれる戦場の光景。
7つの短篇からなる連作。
古処さんの書く戦争小説は、兵士の心情が物凄く丁寧に描かれていると思う。
『ルール』の時にも思ったけれど。
戦争中、日系人がどれだけ辛い思いをしていたのか。
日本とアメリカという二つの国の狭間で、悩み苦しみ、どちらに忠誠を誓っても、結局はどこかで疑われ。
アメリカ人にはアメリカ人の。
日本人には日本人の。
そして、日系には日系の。
それぞれに守るべきものがあり、忠誠を誓った国があり。
だからこそ、戦争をしていて、そしてその戦争を何とかして早く終わらせようともがいている。
戦い方はそれぞれで。
誰が悪いとか誰が正しいとか。そういうんではなく。
価値観が違えばそれぞれが正しくてそれぞれが間違っていて。
でも、それでもどこかで互いを信じようとしている。信じ合いたいと願っている。
ラストには泣かされた。
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古処シリーズの「接近」「分岐点」が私的に中弛み気味に感じた事もあり、視点が何時もと違うと言うだけで新鮮でした。
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フィクションではあるものの、古処さんの作品はどれも、かつて私の祖父達が過ごした時代に、どこかで実際に起きていたであろう事で、正直にいって読むのは悲しくて痛くて辛いです。
けれど、当時の人たちが頑張って復興したこの国で平和に浸かって生きている私達が他人事として「忘れて」しまう事だけは絶対にしてはいけないのだと思います。
自分が今のこの国に生まれた事が、どれ程恵まれた事なのかを痛感させられる一冊です。
著者プロフィール
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