となり町戦争

著者 :
  • 集英社
3.02
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本棚登録 : 3020
レビュー : 648
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747409

作品紹介・あらすじ

ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。だが音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。それでも戦争は着実に進んでいた-。シュールかつ繊細に、「私たち」が本当に戦争を否定できるかを問う衝撃作。第17回小説すばる新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 受賞当時は、なんてすごい書き手が出てきたんだ! と驚愕した記憶がある。
    しかし、実感のないまま、あるかないかもわからない戦争に巻き込まれていく、というストーリーは、3.11をはじめとした現在の世界情勢を経験した今となっては、感覚として違和感を覚えた。
    当時は、テレビの中でまるでバーチャルのように繰り広げられる他国の戦争、という状況だったから、発刊時に読んだときはいろいろ考えさせられてすごい作品だ、と思った。
    作品や作者の力量は疑いようもない。しかし、作品は(テーマにによるが)時代に沿ったものがよい、そして旬の本を読むことは大切、と感じた。

  •  国内で戦争……というと、佐藤亜紀『戦争の法』を思い出す。たんたんと「戦争」が遂行されるけれど、ちっとも実感を得られない……という設定に注目すれば、秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏』のほうが近いか。いや、それよりなにより地方公共団体が事業として戦争をするという設定は『アイアンマウンテン報告』をまず思い浮かべるべきか。

     雰囲気はなかなかイイ話なんだけど、主人公だけでなく読者まで「戦争の現実感を得られない」という話になってるのが、ツライ。比較は意味無しと思いつつ……、『戦争の法』にある諧謔や高揚感、『イリヤ』にある萌えや泣きや熱さ、『アイアンマウンテン報告』のブラックジョーク、と比べられるものを、この本に見つけることはオレはできなかった。結局、主人公(&読者)を戦争につなぐものは、「舞坂町役場総務課となり町戦争係」香西さんの白い裸身だけだ。狙いとしては「この虚無を味わえ」ということだとは思うんだけど、登場人物の行動にリアルが与えられていないので、しょせんは人ごとの話という印象に。自治体が「事業として」行う戦争というのも、どうしてそんなのが成り立つのか、どうもオレには納得できなかったので終始気になっちゃったし。(気にならないヒト、そこは説明すべきでないというヒトもいるでしょう。説明しちゃったら、文学じゃなくてSFだもんな、たしかに)

     雰囲気としては魅力的だと思う。でも、オレにはあまり合わなかった。

  • 何が言いたいのかわからない。
    現代社会に生きる現代人として、何か戦争について思うところあって何かを描き出したかったんだろうなぁ、ということはわかったけど、それが何で、不特定多数に見せるほどのものだったのかどうかはよくわからなかった。

    もう少し生々しかったり、妖しげだったり、空想的だったり、コミカルだったりしたら、逆にもっと真に迫って響いたのではないかと思うと残念。

    『となり町戦争』という、のどかな単語とシビアな単語が並ぶ妙に心惹かれ手に取ったのですが、思ったよりのどか要素がなくて残念。

    なんだか暗い話です。

  • 楽しみにしている「図書室だより」の「図書委員の1冊」で紹介されていた本の1冊。文庫化したら読んでみようかなぁと思ってすっかり忘れてしまっていた1冊。紹介文に触発されて、文庫化もされたことだしと思って、早速読んでみた。

    この本に関しては、賛否両論あるみたいだけれど、私は、面白い本だと思った。
    初めて読む作家で、語られないことに対して、物足りなさを感じてしまったところもあるけれど、「それこそが、この小説の価値だと思います」(「図書室だより」の紹介文より引用)。

    実感のないままに、そして「戦争」と聞いて連想されるようなことは目にしない。
    それでも、町の施策としての「戦争」に巻き込まれていく主人公だけれども、
    自分を逃すために亡くなった人など、知らないところで「戦死者」が出ている。
    そして、わけもわからなく報告している内容が、「戦争」に有効な情報になっているらしい。
    そして、業務として「戦争」に淡々とかかわる公務員たち。

    物足りなさは、現実を見事に反映しているような気がした。
    なぜ戦争をしているのかわからないのに参加しているとか、
    賛成もしないけれど、なんとなくかかわっているとか、現実味がないとか・・・
    どこかゲーム感覚でとか。いろいろなことをうまく暗喩しているなぁと感じた。

    そして、作者が大学では歴史を勉強していたことをプロフィールで知り、ひとり合点した。
    (2008.2.18)

  • なにも考えずに読みなら、問題ないですが
    戦争というものを軽んじている感がある。
    戦争を使うより、抗争のほうがよかったのでは、、、

    もしこの作品を最初に読んでいたら、ほかの作品には
    手をつけなかったと思います。

  • 「失われた町」を読んで、三崎亜記氏を知りました。で、この作品がデビュー作。比較すると、やっぱり今作品の方が物足りない感じはありますが、デビューということを考えると、すごい作品だと思います。回りくどい言い方ですけど(笑)。情景描写がすごく綺麗で丁寧ではあったんですけど、ちょっとしつこくて読む気力を削がれそうになることが度々…。


    題名の通り、戦争のお話です。でも、普通に考える戦争とは少し違います。ここでの戦争は「事業の一環」として行われています。目的は「町を活性化させるため」。私達が知っている戦争も確かに「国を豊かにする」という目標を掲げて行われていましたが、それともまた少し違う感じ。きちんと場所を選んで、住民に許可を得て、戦闘が行われるんですから。そして、となり町と協力して「戦争」という事業を遂行する…ということだそうです。でも、戦死者は出るし、やっぱり戦争なんですよね。血みどろの惨劇が描かれているわけではない「戦争」のお話ということで、主人公と共に不思議な感覚で読みました。

    主人公は「戦争」の影を感じられないまま、ずっと平凡な日常を暮らしていきます。敵に捕まりそうになって逃げるシーンもあるんですが、本人は映画のワンシーン気分でいます。戦争が終ってから、徐々に自分の周りでどんな被害があったのか実感していきます。自分のために戦死者が出たり、身近な人が兵士になっていたり。それでも結局、主人公にとっては失ったものも得たものもありませんでした。まるで霊感の無い人が廃墟に行っても何も感じられなかったように、感じようとしても、見ようとしても、まるでリアルさが分からないという感じでした。読んでいる方としては、主人公の感覚しか分からないので、じれったいような、ホッとするような…やっぱり不思議な感覚でした。「戦争はやってはいけないことだ」という感覚を持っているのに、「この程度だったらまだ良いかな」とか「町同士が本当にいがみ合っているわけではないし…」という考えが芽生えてきそうで、怖くもありました。

    実際の戦争は、私の祖父(現在79歳)が体験しています。兵士にはならずにすんだものの、空襲や食糧難の話を私はよく聞きます。テレビでも当時の映像が流れたりして、戦争の悲惨さを教えられたりもします。でも、本当に心の底から「戦争はやってはいけないことだ」と思っているのかと聞かれたら、正直なところ分かりません。この物語のように議会で戦争が決まってしまったら、自分はどうするのか?声を大にして反対を唱えることができるのか?「あなたには迷惑をかけません。被害があれば補償します」と言われても、否定できるのか、拒否できるのか?この本を通じて、初めてそれを実感しましたし、そういう疑問を持ちました。戦争という歴史知っていても、リアルさがなければ本気で否定はできないんじゃないかと思いました。それでも、主人公のように「戦争があったことを忘れないで日常に戻っていく」ことは大切だと思います。その日常の先で「何か」を実感することがそれぞれの「戦争」になるんじゃないかと思います。

    色々なことを一気に考えさせられて、上手く言えないんですけど(苦笑)。こうやって感想を書いてみて、読んでいた時よりもこの物語の凄さを感じました。確かに「傑作」だと思います。戦争を知らない世代が読んで、それぞれの心に「戦争」という言葉を留めておく大切なきっかけになる本だと思います。

  • 友人より

  • 文学

  • 高い評価をうけている作品であるため、そのぶん期待も大きかったけれど、どうも不明虜な箇所、曖昧に丸め込まれた部分が目立って読み応えに欠けた。文章表現は簡潔で、味があって良い。

  • 設定の力に一番ひきつけられた作品と言える。
    「戦争を知らない人に戦争を教えてあげるよ」という態度が見えないにも関わらず、なんだかそら恐ろしかった。
    課長(部長だっけ?)のエピソードは少し不自然な感じもしたが…。
    香西さんに萌えた

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