オテル モル

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 368
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747461

感想・レビュー・書評

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  • とらえどころがない、不思議な物語でした。
    世界観や描写はショートショートっぽさがあります。

    この作品に登場するオテル・ド・モル・ドルモン・ビアンは、最高の眠りと最良の夢の提供を理念に掲げる会員制ビジネスホテル。眠りに悩むお客さんにしか宿泊の資格がないという、とても変わった決まりがあります。

    物語において独得なのが、ホテルに集うもの、お客さんも従業員も空気でさえも、一心同体であるという点。
    「あなたが吐いたものをお客様は吸い込みます。私とお客様が吐いたものをあなたが吸い込みます。私たちの呼吸はオテルの呼吸です。私たちはオテルそのものです」「一心同体、同床異夢」
    皆、見る夢は違っているけれど、現実では同じ空気を共有していて互いの眠りに影響を与えあっている。

    「夢」「想い」「心」など、実態のないものを伝えるのは凄く難しいと思いますが、たとえ言葉を交えなくても、呼吸とか匂い、顔つきなどによって、共有できてしまうんだなと改めて思いました。
    ライブの高揚感とか大事な局面をみんなで見守る時のピリ付き感とか。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00115695

  • ファンタジックでもあり、ちょっと不気味でもありました。結局はなんだったの?とか、もしかして…ということが散りばめられていますが、謎のままなので、いろいろ想像を広げられそうです。

  • 「よく眠れなければ、覚醒もできないと思うのです。」(145ページ)

    オテ・ド・モルには、よく眠りたいひとたちが集まってくる。
    眠りにつけなかったり、悪夢に悩まされていたり、
    さまざまな理由故に、人が集まるホテル。

    どうか今夜も、安眠に恵まれますように。
    みなさまに、良き夢が訪れますように。

    その願いをまなざしに込めて、お客様を迎える物語り。

  • 結局このオテルは何なんだろう。
    夢の中のような存在。
    記憶にはないはずだけれど羊膜に包まれているような不思議な心地がした。

  • うーん。発想も世界観も面白くて結構好きなんだけど、彼女の猛烈な眠気とかその辺の設定がもうちょっと背景がわかるともっと面白いのになあ、と思った。

  • 面白かったです。栗田さん初めて読みました。
    心地好い世界でした。
    眠るために作られた、オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン。本当にあったらいいなぁ、泊まりたいので会員になりたいです。
    夜に囚われた、よく眠れそうなお話でした。
    オテルで働く主人公・希里の妹・沙衣とか西村さんのことを考えるともやもやしてしまいますが、それもなんだか心地好い眠りに押し流されていきました。
    最高の眠りと、最高の夢。
    「今宵も、みなさまにとり、どうか健やかな一夜となりますように。」

  • 不思議な世界観だった。
    最近、今更ながら気づいたのですが、私は淡々としている文章がどうやら苦手らしい…
    ということで、あまり心揺さぶられる作品ではなかった。はずのに、後からじんわり、何かを感じた。
    ストーリーはおもしろかった。

  • こんなオテルがあったら面白そうだ、寝るためだけに宿泊するのは少し勿体ない気がするけど。読み終わってから装画を見ていたら、なんかいい感じでそっち側に行きたくなる。少し前に悪夢にうなされて目が覚めたり、金縛りに頻繁にあった時期があったから。
    でも、希里の考えていることはよくわからない。なぜ西村さんと同じ屋根の下で暮らせるのか?なぜ美亜の面倒を見てあげられるのか(子どもに罪はないのでここは少しわかる)?なぜ沙衣といままでとおり接することができるのか?
    ん、だから希里は就職したんだっけ?
    ところで、沙衣はロックンロールだ。セックス、ドラッグ、ロックンロール。ちゃんとやってる。多分、もし沙衣に会えたらオイラも好きになってしまいそうな雰囲気がある。

  • 不思議な感じ。人は一つところにいるだけで、影響しあう。だから同じ気持ちを共有すれば大きな力になる。こわい気もする。

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著者プロフィール

直木賞を受賞した恋愛文学の旗手から、早熟の天才少女作家まで。いま、もっとも切実な恋を描く6人の女性。

「2008年 『コイノカオリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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