円生と志ん生

  • 集英社 (2005年8月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784087747652

作品紹介・あらすじ

のちの名人ふたりが、大連で得たものは。
関東軍の慰問で行った中国で、敗走の関東軍に置き去りにされた二人の落語家がいた。五代目志ん生と六代目円生。芸風・性格は正反対。この二人が苦楽を共にし、ついに認め合う仲に。

みんなの感想まとめ

苦悩と友情を描いたこの作品は、戦後直後の満州での落語家二人の実話を基にしています。古今亭志ん生と三遊亭円生が、困難な状況の中で互いに支え合いながら、落語を通じて希望を見出す姿が胸に響きます。異なる芸風...

感想・レビュー・書評

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  • 2019.10.5市立図書館
    宮藤官九郎が大河ドラマを手がけるに当たってヒントになったという一冊。古今亭志ん生と三遊亭円生が満州に慰問に渡ったものの終戦の混乱で苦労してなんとか帰国したという逸話をもとにしたお芝居。主演の二人の他に女優4人が場面ごとに旅館の女将と相客となる現地妻、娼妓置屋の女性たち、開拓村から逃げてきた若い母親たちの亡霊(?)、大連高女の女学生と教師、修道女ら、落語家たちといきあわせる違う役で登場する。渡航した行きがかり上「文化戦犯」として追われ、着の身着のまま難民としてうろうろする二人がかなしくもおかしく、大河ドラマの孝蔵の物語に親しんできたおかげで「なにもかもカミサンにまかせて成り行きのまま」とか「なめくじ長屋」とかよくわかったし、森山未來&中村七之助で脳内再生できて楽しかった。
    (ちなみに2005年のこまつ座の上演は角野卓造&辻萬長、和田誠の訃報に接したところで表紙のふたりの似顔絵と裏表紙の円生と志ん生の似顔絵にあらためてみいってしまう)

  • 「円生と志ん生」は2005年に上演した井上ひさしさんの戯曲。
    当然ながら上演はこまつ座で、確か初演を観た記憶があります。

    あまりにも有名な(落語ファン、というより「落後史ファン」にとっては、ですが)、「古今亭志ん生と三遊亭円生が、戦後直後に満州から帰国できずに散々苦労をした」、という実話の演劇化です。

    ちょうどつい最近NHKのドラマで「どこにも無い国」という、まさにこの時期のお話がやっていて、なかなか映像にならない「戦後直後の新京や大連の無政府状態」が観られて、興味深かったです。

    あらすじでいうと、本当に割と叙事的で。
    ただ、苦労と放浪の中でも、とにかく落語を演じるという工夫や情熱に賭けるふたりの姿、というのがちょっと胸アツ。

    ただ、実話としてのパンチ力も含めて、志ん生と円生、それぞれの自伝を活字で読んだ方が圧巻。
    そういう意味では、終わりの淡々とした感じも含めて、井上戯曲としては、「大傑作」というグループには入らないと思いました。
    (今回ちょっと縁があって活字で再読して、改めて思いました)

    ただ、実話の悲惨さに対してあるリスペクトと鎮魂の感覚で、このくらいに叙事的にしか語れない、という作者の距離感のなせる意図かもしれません。ひょっとしてまた年月を経て巡り合ったら、このくらいのほうが気持ちいい、ということもあり得るのが読書の醍醐味だったりもします。

    ちなみに、井上ひさしさんの「文学作品」としても、実は戯曲がいちばんなのでは?と僕は思っているのですが、
    (無論、それを上演された演劇を生で見る、というのがベストなのでしょうが)
    個人的には「雨」「化粧」「きらめく星座」「闇に咲く花」「人間合格」「父と暮らせば」「紙屋町さくらホテル」あたりが大好きです。
    また、未読、未見の戯曲演劇も多数あるので今後、読むなり再演を観るなり、というのが長く細くの楽しみであります。

  • 20160702 演劇はあまり見た事が無い。台本だけでも面白いがやはり役者がどう演じるか?は観るしか無い。又やらないかな。

  • 戦後の荒廃やらバタバタをユーモラスに描きつつ、井上ひさしの「笑い」についての考え方も垣間見える佳作。

    表紙の絵がだれが見ても角野卓造(笑´∀`)
    舞台でも観てみたい!

  • 円生と志ん生の戦時中の満州での話。状況によっては大変悲惨なめにあっているのに、どこかしらユーモアがあり、また史実的に当時の満州へ渡った人達の苦労が分かる本。面白かった。

  • 舞台をみてみたくなった

  • 日に日に被害が過酷になる日本を抜け出し、満州にやってきたものの、敗戦のあおりを受けて、噺家二人、あちらこちらへ珍道中。そこで繰り広げられる戦争の悲哀と煩悶、涙と苦しみ、そして笑い――円生と志ん生、二人が日本へ戻れる日は来るのか?

    圓生と志ん生が満州に渡っていたことは実は最近知った。命からがら日本へ戻ってきたこともなんとなく知っていましたが、まあこの戯曲通りではないだろうけど、それはもう想像を絶するような体験だったのでしょうね…
    途中に挟まれる劇中歌がちょっとおかしいだけに何とも悲しい。特に禁演落語を歌った歌と四人の若者の歌は。。。(´;ω;`)ウッ…
    修道院が舞台で志ん生を衆生を救いに降臨したキリストと勘違いしてるラストが爆笑ものすぎるw 実際に声に出して笑ってしまいましたwそしてそこで語られてる噺家とは? っていうのにすごく感動してしまった……苦しいことしか無い災難ばかりの世の中。ならその災難をステキなものに変えて上げましょう、笑えるものにしましょう、笑いを生み出しましょう、それが噺家、落語家ですよ……喜劇ここに極まれり。感動です。
    それから三代目小さんと漱石を語るところで今更ながら「日本の近代小説を作ったのは落語なんだナ」と気付き改めて感動。私が本を好きなこと、小説を書くことと、落語が好きなのは全然関係のないことじゃないんだな。むしろルーツがそこなんだなとあったかくなりました。

  • 初版

  • 2009/9/2図書館で借りる
    2009/

  • [07.03.29]<fthr

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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