蒲公英草紙 常野物語

  • 集英社 (2005年6月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784087747706

作品紹介・あらすじ

懐かしさと切なさあふれる感動長編。
20世紀が幕を開け、少女の心は変化の予感にざわめく。折しも村に不思議な一家がやってきて――。運命が導く出会い、果たされる約束。今最も輝いている作家・恩田陸の魅力あふれる感動作。

みんなの感想まとめ

静かな世界と深い人間関係が描かれた感動的な物語が展開されます。20世紀初頭の東北の農村を舞台に、運命に導かれる少女と、記憶を受け継ぐ春田一家との交流が中心となります。彼らの不思議な力は、他者の記憶や感...

感想・レビュー・書評

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  • 再読

    常野物語、三部作の二作目。
    シリーズといっても、作品ごとに全く違う雰囲気だったと記憶している。

    この作品の語り、静かな世界がすごく好き。
    東北のとある農村。「蒲公英草子」と名付けられた日記に綴られた、振り返ってみて初めて幸せだったと気付く日々。幾つかの季節。そしてその終わり。

    最後の問い掛けは、読んでいる私たちに向けられているようにもおもえる。この問いに応えられるように、どう生きたらいいのだろう。

  • 常野物語シリーズ2弾目。

    1作目が、常野をめぐる短編集で、彼らの持つ力とそれに伴うもに語りだったのに対し、2作目は、一組の常野とその滞在先の人々、特に村を守るという使命を受け継ぐ一族との交流や事件を描く形式になっている。

    力の出方もしんみりとした感じで、それはそれでよく、終わり方にもつながっていた。

    想いは不思議な力ではなく、人と人で受け継がれ、結び付けられていく、そんな風に感じた。

  • 常野シリーズ2作目。
    第134回直木賞候補作。

    シリーズ1作目でも登場した、無尽の記憶力をもつ春田一家の物語。

    舞台は国内外にきな臭い気配が漂い始める20世紀初頭の、東北のある集落。

    他者の記憶や感情を、そのまま「しまう」春田一家の力とはなんだろう?
    現代ではスマホなどの記憶媒体がその役目をしているのだろうか。
    彼らのような存在が、自分や大切な人の記憶をまるごと受け容れ、預かってくれることで、(当時の)人々は生きた証を残せたような安心感を得たのだろうか。
    しかし、それがどんなものであれ、力がある、ということは、それゆえの使命を背負うものだ。春田一家の記憶力や、遠目、遠耳などの力は、普通の人の預かり知らぬことを見、知ってしまう。だからこそ、時には自らの命に代えてでも、人々を守らなければならない宿命にある。
    常野の人たちの、ある種の諦念のような静けさは、そこにあるのだと思う。

    語り手の少女が、春田一家のことをこう言い表している。
    「世界は一つではなく、沢山の川が異なる速さや色で流れているのでした。~彼らはどうやらそういう流れの一つらしい~私たちとは異なる川で生きている」p117

    異なる川ではあるけれど、私たちのすぐ側を流れていて、時に交わり、また離れていく存在。その安住の地は、果たしてどこにあるのだろうと考えると、寂しさが胸をよぎる。

  • 1作目を読んですぐに読みたいと思い一気に読んでしまった。内容自体は暖かい内容で悪人も出て来ず平和。荒んでしまった時に良薬になる本かな。

  • “私”こと峰子は、幼いころ蒲公英草紙という題を付けた日記をつけていた。そこには隣のお屋敷の病弱だけれど芯の通った美しい聡子さまや、その兄であり峰子を“ねこ”と呼んで悪戯を仕掛けてくる廣隆さま、屋敷にお世話になっている仏師の永慶さま、洋画家の椎名さま、発明家を自称している池端先生、そしてお屋敷に訪れた不思議な一家、春田家の人たちとの出会いと別れの日々が、ひとつひとつの思い出を磨いて並べるように幼いながらに選ばれた言葉たちで綴られていた。
    あたたかでいとおしい日々は、戦争の影がちらりちらりと目の端をかすめていっても一層やわらかでしなやかな光で満ちて過ぎていく。
    聡子さまの言葉にすることさえできないほどの淡い恋を見つめたり、不思議な春田一家との静かな関わりを重ねるさまをたどる。
    そしてその未来の先にある、たしかな現実への着地。
    視界があまりにがらりと変わってしまうことに、眩暈がした。
    峰子さんのあまりに切実な春田家への呼びかけは、どこかで届いていたらいいと願わずにはいられない。

  • 恩田陸さんの本はほとんど読んでますが、かなり好きな一冊。恩田さんらしい世界観や言葉選び。

    オセロゲームの方はあまり好きになれませんでした。

  • 「常野」シリーズの2作目。
    冒頭の語りや描写が少々グダっとしていたものの、中盤からは静かに展開していく話に引き込まれていきました。
    温かく、美しく、哀しい物語です。
    個人的には春田一家の個性をもっと出してほしかった気がします。

  • 前作以上に世界観に馴染めず、飛ばし読みになってしまいました。結局どういう話で、何が言いたかったのかも分からずじまいです。とこのの人たちが献身的であることだけは理解出来ましたが…。

  • 最後の場面で、嵐の中を子どもたちを助けるために自分が犠牲になった聡子様を、4人家族の末っ子の光比古が「しまい」、その感情をみんなと共有する場面はとても温かくて泣きそうになった。
    私も最期を迎えるときは聡子様のように、歓喜と感謝の気持ちで迎えたい。

  • 「蒲公英(たんぽぽ)草紙」常野(とこの)一族という、ふしぎな力を持った一族が登場する「常野物語シリーズ」の第2作です。

    とはいうものの、第1作「光の帝国」と直接つながっているお話ではなく、共通するのはどちらの本にも春田という常野一族が登場するところくらいです。

    「蒲公英草紙」は戦前~戦後のお話なので、前作よりも時間軸が前になります。
    主人公は峰子という女性で、峰子がつづった日記・随筆のようなかたちになっています。
    その古めかしい言葉づかいの語りが、その時代を生きる人の存在を懐かしくイメージさせてくれました。

    実はシリーズ第1作「光の帝国」を読み終えてから時間が経ってしまったせいか、第1作のあらすじを、ほぼ忘れていました。
    「第2作を読みはじめれば記憶も戻るかな」と思ったものの、そんな奇跡は起こりませんでした…。
    そのため「しまう」「響く」など、常野一族の能力をあらわす言葉と、その力のイメージも、今回は今ひとつできませんでした。

    1作からの続きと大きく期待して読んだこともあり、静かに進む物語に少々物足りなさを感じてしまったため、最後まで読みましたが☆2とさせていただきました。

    「蒲公英(たんぽぽ)」草紙と主人公・峰子が名づけた理由は、7ページに触れられているものの、「著者はどういう意図でこのタイトルにしたんだろう?」というところが最後までわからず、読み終わってから考えていました。
    そんなとき、ふと蒲公英の花言葉を調べてみたところ、「愛の神託」「神託」「真心の愛」「別離」とあり、「あー、だからこのお話は“たんぽぽ”草紙なのか…」と、とても納得しました。
    「愛の神託」「神託」「真心の愛」「別離」という4つの花言葉をときどき思い出しながら本編を読むと、より物語を味わいやすくなるでしょう。

  • こちらも数度目の再読。
    常野物語の一作目『光の帝国』に出てきた春田一家の祖先が出てきます。

    時は戦前。
    峰子という女性の目線で語られていく物語は穏やかでどこか懐かしく、美しく、残酷。
    春田家の者が持つ力、「しまう」「響く」。
    そして「遠目」がどんなものなのかが良く分かると思います。
    人の紡ぐ想い。
    最後の言葉が、現代を生きる私の胸に突き刺さります。

  • まだ戦争が始まる前の新しい世界に胸を踊らせていた時代。その中で少女時代を過ごした主人公峰子が見ていた日々。その土地に古くから続く名家槙村家に出入りする人々と過ごした幸せな時間とその終わりが描かれてる。
    出てくる人々をとても好きになった。重い病気だけど聡明で勇気のある聡子様、峰子を「ねこ」と呼んでいつも意地悪をしていた廣隆様、小さいながらに自分の運命を当たり前に受け止め「常野」として生きる光比古、ちょっとだらしないけど絵のことから時代のこと国のことまで考えている椎名様...
    この時代を生きてこの村の景色を見たような気持ちになった。「常野」は、この先のこの国に役立てるためにみんなの思いを自分の中に「しまう」。「本当はみんな持ってる力」と光比古が言うのは、槙村の人々がしてきたようにみんなの思いを語り合って後世に伝えることができるということなのかな。
    最後の峰子の問いかけは今の私たちへの問いかけに思える。私たちの国は輝かしい未来に向かって漕ぎ出したはずだった。けれど、日本は負けた。残っているのは飢えた女子どもばかり。これからもこの日本は続くのか、新しい国になるのか、私たちがこれからこの国を作っていくことができるのか、それだけの価値がある国なのか。

  • <目次>


    <内容>
    “常野物語”第2弾。東北のある街を舞台に、淡々と物語は進んでいくが、最後に哀しい、大きなうねりが…。昭和の歴史を背景に、”常野”たちが狂言回しとして、物語が終わる。

  • (2023年4月27日手記録の転記)
    読み終えてから此の方、”お役目を果たすこと”についてずっと考えている。
    私は自分の命が何より惜しい人間だから、自信を犠牲にして誰かを助けたり世の中のためになろうとしたり、そんなことは思いもよらないことだ。
    常野の一族も聡子お嬢様も、それを自然と受け入れていて、どうしても分かり合えないものを感じてしまった。
    不思議な力を持っていて、ものを見る視点も違うからそうなれるのだろうか。
    でも、その在り方は、椎名様が憂えた伊藤新太郎さんのように、日本を世界の一等国に引き上げ、同時に、日本を地獄まで連れていくに違いない、そう思えてならない。
    一見美しい自己犠牲だけれど、それは誰かの命を救えはしても、幸せにしてくれるものではない。
    むしろ、一部の人に喪失をもたらすのだから、不幸に導くものなのだろう。
    よく、人には役目がある、人の役に立つことが大事だと説かれるけれど、本当はそうではないのでは?
    役目を果たした聡子お嬢様や槙村家を見ていると、疑いを持たずにいられない。

  • 図書館で借りて読み始めてしまった。
    シリーズ物だったんですね。
    光の帝国も読みたい。

    短命とされた女の子が、自分の使命を全うする。
    最期の姿を見られて、母親としては悲しいけど、その死の意味が知られてよかったと思える。

    その守った物が、戦争という大きな悲劇になぎ倒されてしまうという現実にやり切れなさを感じる。

  • 不思議な力を持つ常野一族が登場する長編。前作からガラッと変わり舞台は20世紀初頭、そして「ですます調」も相まって古い小説を読んでいる気分。つまり苦手で退屈だった。村の人間関係が主軸なのもね。終盤はドラマチックだけど突然反戦の話になってスン…となった。

  • 再読ですが。
    改めて恩田先生の凄さを感じたというか。
    光の帝国の続編……というよりは、その過去のお話。
    初読では感じていなかったのですが、少女の視点の瑞々しい世界。
    引き継いでいく想い。それが丁寧に精緻に描かれていて。

    かつての日本の原風景。
    そして、さらに富国強兵の後の日本を描いたラスト。
    もう夏休みが終わりますが、ぜひ、中高生が戦時を考えるうえでも読んで欲しい一作でした。

  • これぞ常野物語という雰囲気。「光の帝国」の時よりまだ常野一族以外の人たちとの距離が近かった時代のお話。

    西洋画は瞬間を切り取る、日本画は対象の過去から現在までを読み解く、みたいな解釈が非常に面白かった。そしてこの日本画の方の解釈と常野一族がオーバーラップする。

  • 読み終えるまで、苦労した。
    まったく共感もできず、入り込むこともできずじまい。
    だからなに?そんなことする必要ある?って感じ。
    読みも浅くて、読み返す気もしないからわからないんだけど…
    ふっとばされた子を、どうしてあの子が呼び戻せたのか?親よりも力がある?
    ファンタジー?SF?お伽話?
    想像力が乏しくてごめんなさい。

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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