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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784087747782
作品紹介・あらすじ
明治期、岡山。瞽女屋敷に暮らす女達の物語。
盲目の女ばかりが暮らす瞽女屋敷。死者の気配を感じとる者。行く先々に福をもたらす者。光を失った分、それぞれが何かを与えられていた。やがて妖しの気配が屋敷に満ちた時、それは訪れた…。
感想・レビュー・書評
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盲目の女性ばかり住む屋敷で引き起こされる,[牛女」の怪の話。
3人の女性の視点からそれぞれ怪の謎が明らかになっていく。
文体が独特。岡山弁の調子は、なんだか不思議な吸引力がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岩井志麻子氏の書くホラー小説は、リアルだ。
霊を感じる者、見る者、憑かれる者、払う者、それら全てが著者の勝手な想像物ではない。
霊を感じるというのは、人が他人の存在を、目で耳で肌で感じとるのと同じように、見えることもあれば、声だけが聞こえることも気配だけを感じることもある。人が気の強い人には近寄らないように、霊もまた、荒々しい人には憑りつかない。
いわゆる霊感が強いというような人が読んでなお、霊ってたしかにそんな風だと思えるからこそ、彼女のホラーは怖い。でたらめな想像の産物ではないのだ。
登場人物の人間関係も設定も、そこにはミステリのようなトリックはありはしたのだが、正直、なまめかしくこそあれ、意外性や怖さはなかった。
それは似たような話をどこかでも読んでいたからだろう。
だけれど、その人物達が感じ取る気配には、ぞっとした。
説明のつかない妙な気配や予感は、私にもある。私のその現実が、岩井志麻子氏のつくりだす虚構へと私を連れ出すのだ。
小説に描かかれる背後につきまとう気配に、いつかの夕暮れに自分も体験したのではなかったかとぞっとする。まるで自分がその夕暮れ時に立っているかのような恐怖を感じる。
盲目でも周りを感じ取る人物の描写に、暗闇で、いるはずのない人の気配を、見えるはずのない動きを感じ取ってしまった夜がよみがえる。
非現実的な世界を描きながら、なぜか、その全てがぞっとするほど自然で現実的なのだ。
こんな風に恐怖を味わわせてくれるのは、彼女の作品ならではと言えるだろう。 -
盲目の女達が片寄せあって暮らす瞽女(ごぜ)館。瞽女頭のすわ子、がさつ者のイク、捨てられ子のお芳。すわ子の夢枕に現れお芳に取り付く牛女。「二人姉妹で生まれたけぇど、姉さん牛で私は盲、……」。瞽女館の秘密が暴かれる。<br>*******<br>
物語が3人の独白で進んでいくのが、じわりと怖い。お芳は自分を探し、逆にすわ子は自分を見失い、滅びの道を選ぶ。
半牛半人の「くだん」や兄妹の近親相姦で子供が生まれたくだりなど「ぼっけえきょうてえ」の流れかと。こちらも岩井作品の王道。かつ源流?非常に面白かった。
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不気味な雰囲気があるし、ミステリ的な捻りも効いているが、いわゆるただ単に怖いだけの世界とは違う。
本書の臨場感は抜群でまるで自分がその場に居合わせてしまったかのような臨場感がある。岡山弁の語り口がそうさせるのだろう。 -
どろどろした話。
そんなに怖い話ではなかった。
結局、お芳様ってことなのかな。 -
とても不気味な物語ではありましたが、3人の語り口の差がおもしろく、すっきりと読むことができました。
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すわ子達のその後が気になって何となくもやもやしてしまう。
それ以外は概ね楽しく読めた。 -
因縁と因果と。独特の方言や、三人の女が語る一人称の文体。全部がじわじわとひたひたとぞっとするような怖さを感じさせる。この近くて遠いような怖さがたまらない。
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ちょっと、飽きてきました。二冊連続はちょっとつらいです。
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雰囲気”ぼってぇきょうてぇ”に似ていた気がします。うん!恐怖ってのはこうでなきゃと思わせる作品です。血が噴出さなくても 人が次々死ななくても ”得体の知れない何か”の存在感がモノを言いますね。面白かったです。
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とてもおどろどろしい感じに惹かれました。そして勿論のこと、内容も決して爽やかとはいえないものの、岩井節は健在です。
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はじめは面白かったんですが…結局「ぼっけえ、きょうてえ」と同じ?
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3人の登場人物の視点から物語が展開される。徐々に闇の正体が判明する。「きょうてぇ」という岡山弁がここでも出てきます。
著者プロフィール
岩井志麻子の作品
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