はるがいったら

著者 :
  • 集英社
3.62
  • (40)
  • (106)
  • (115)
  • (7)
  • (5)
本棚登録 : 471
レビュー : 116
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747928

作品紹介・あらすじ

気が付けば他人のファッションチェックまでしている、完璧主義者の姉。何事も、そつなくこなすが熱くなれない「いい子」な弟。二人の間に横たわるのは、介護され何とか生きる老いぼれ犬。どこかが行き過ぎで、何かが足りない姉弟の物語。第18回小説すばる新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『本屋さんのアンソロジー』を読んで以来、気になっていた飛鳥井千砂さん。
    まずは、小説すばる新人賞を受賞したデビュー作を手に取ってみました。

    寝たきりの老犬ハルを、ペットシーツを敷き詰めた部屋で介護する行(ゆき)。
    近所のコンビニに行くにも鉄壁のコーディネートをする着道楽の姉、園。
    行は、目標を決めてストイックに自分を追い詰める姉の完璧さを尊敬しつつも心配し
    園は、めったなことでは怒らず、何事も鷹揚に受け入れる弟が眩しい。

    こうありたい自分。 この人からは、こう見られたい自分。
    この人には、見せたくない自分。 本当の自分。
    自分でも気づかない自分。 思いがけない受け取り方をされている自分。

    ひとりひとりが纏う、そんな微妙なニュアンスが
    デビュー作とは思えないさりげなさで、丁寧に掬い上げられています。

    特に、勉強も運動も人付き合いも、そつなくこなせるが故に
    付き合う相手にも格を求める「ちょっと冷たいヒーロー」と捉えていた人の本音や
    憧れていた人の行動を勝手な思い込みから誤解し、「許せない!」と断罪する人の
    身勝手さの描き方には、はっとさせられて。

    園のアパートの隣室に住んでいたばかりに
    園と行の姉弟やハル、その他大勢を愛車に乗せて真夜中の公園だの
    それぞれの家だのを行ったり来たりする破目になる小川くんの
    「じゃあ今日はみんなお隣さんですね」という言葉の温かさが胸にしみて

    わかってるようでわからなくても、わからないようでわかっていても
    家族にしろ、友人にしろ、ずっと一緒にいたいと思う人たちとの縁を大切に
    手を差し伸べ、差し伸べられながら生きていくのだなぁ、と
    静かに思う1冊でした。

    • vilureefさん
      いやー、グッときましたまろんさんのレビュー。
      びんびん迫ってくるものがあります。

      この作家さん、全くのノーマークでした(^_^;)
      さっそ...
      いやー、グッときましたまろんさんのレビュー。
      びんびん迫ってくるものがあります。

      この作家さん、全くのノーマークでした(^_^;)
      さっそく読んでみたいと思います。
      ほんと、ブクログ見てると読みたい本ばっかり増えて困っちゃいますよね~。
      2013/03/16
    • まろんさん
      macamiさん☆

      おお、macamiさんの「読む気満々の本」の山、魅力的ですね♪
      登場人物のディテールを描くのがとても上手な作家さんだな...
      macamiさん☆

      おお、macamiさんの「読む気満々の本」の山、魅力的ですね♪
      登場人物のディテールを描くのがとても上手な作家さんだなぁ、と感心しながら読みました。
      時間ができて読むことができたら、ぜひレビューで感想を教えてくださいね♪

      同じときに同じ本、私もとてもうれしいです!
      ブクログで、趣味の合うお仲間と出会えた喜びをかみしめる一瞬ですよね(*'-')フフ♪
      2013/03/18
    • まろんさん
      vilureefさん☆

      私も、『本屋さんのアンソロジー』を読むまではお名前も知らない作家さんでした!
      とてもすっきりした文体で、読後感のよ...
      vilureefさん☆

      私も、『本屋さんのアンソロジー』を読むまではお名前も知らない作家さんでした!
      とてもすっきりした文体で、読後感のよい作品だったので、
      これはちゃんと長編を読んでみないと!と思って。

      お隣さんの小川くんが、とにかく人が良いというか、可愛くて、救われた気分になりました。
      まだまだ人生途中、じたばたもがいている真っ最中!という
      登場人物たちがいとおしくなるお話でした(*'-')フフ♪
      2013/03/18
  • 完璧主義な姉、園、冷めた目線を持つクールな弟、行。ふたりが子供の時に拾ってきた、14歳になる老犬はる。両親が離婚し、離れて暮らす姉弟は、今でも仲がいい。寝たきりになったはるを看ていた行が入院してしまい、園が預かることになる。

    『チョコレートの町』がすごく良くて、気になっていた作家さんでした。
    こちらもものすごく良かった。
    静かに、でも、案外ドロドロと話が進むことに、まんまとハマってしまいました。
    園の気持ち、行の気持ちが、手に取るようにわかり、世代も違うのに、かなり感情移入して読んでいたかも知れません。

    当初は、もっとはるの話があるのかなと思っていましたが、はるの脇役っぷりにびっくり。
    でも、さらっと書かれていたはるとの思い出のシーンには、やっぱり泣かされました。
    我が家の犬は7歳。いつか来る日を思い、ぎゅっと抱きしめてしまいましたね。

  • 周囲への値踏みや迎合、それでいて被害者のような態度にイライラさせられた。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13260967.html

  • 両親の離婚により母と暮らす4つ年上の姉 園と、父と新しい母、さらに兄と暮らす高校3年の弟 行。姉弟が子供の頃公園で拾った犬ハルは14歳の老犬になり、行が自室で介護していたが行が入院するため園が預かることにする。。離婚して離れても仲良しな、美人の姉にクールな弟なんて素敵な滑り出し♪と思ったら、んまぁドロドロ…。園の完璧はちょっとストイックだし恭司の完璧はねぇ?美人な奥さん裏切って美人な浮気相手までいる「完璧」ってなんだ?でもお隣さんもものすごい勇気出してくれて最後も協力してくれて良かった。

  • 飛鳥井さんの作品に興味がでて来て、読んだ2作品目。

    完璧主義の園と事なかれ主義な行の2人の目線が変わりながら話が進んでいく。
    なんでも完璧にしたいところ、熱くなりきれず受け入れてしまうところ。自分と似通っていて、“分かるわかる”と共感しながら読んだ。

    色々盛り込まれていたので、その先を知りたい感じだが、きっとみんな明るい方へ向かって行くのだと分かるので、読後は物足りないながらも爽やかな作品だと思う。

  • 文体も展開も馴染みやすく、個人的に好みの部類でした。

    登場人物の考え方も、全人物に関して共感できるものが多く、自分というものをを考えるうえでのいい参考にもなりました。
    淡々としたストーリー展開(一応事件とかいざこざとかあるけれど、なんだか微妙に盛り上がりに欠ける)が物足りないと思う方もいるかもしれませんが、「でもまぁ、人生ってそんなもんだよなぁ」と、弟・行のような感性を持っている人なら難なく読めると思います…。
    お涙頂戴にはしってないのもよかったです。そうされることで逆に泣ける。

    たくさんの登場人物が出てきますが、あっけなくもう登場してこなかったり、とくになんの関係も発展せずに…という感じの扱いばかりです(笑)
    でもそれこそ人生。
    たくさんの人と関わっても、たまたま同じ時間や空間を少しの間共有しただけの関係。だから、たぶんこのお別れのあとはもう会うこともないだろうな…みたいな出会いの繰り返し。
    そういうもんだよなぁ。

  • 自分を分かってもらうって難しい。
    そして、人を理解することは難しい。
    つい、人のある一部分を見て、全て分かったつもりになりがちだが、誰かを真に理解することも、真に理解してもらうこともとても難しいと思う。
    それでも、人は分かり合えない部分を抱えて、誰かを愛していくのだろう。
    わかってもらえないことを嘆くのではなく、わかってもらえなくても、自分らしく生きる道を選択し続けたい。

    • kuroayameさん
      わかってもらえなくても自分らしくと書かれているレビューに勇気をいただきました。
      わかってもらえなくても自分らしくと書かれているレビューに勇気をいただきました。
      2012/10/11
    • sorairokujiraさん
      kuroayameさんありがとうございます。
      わかってもらいたい気持ちって、結構重たくて持て余すこともありますが、そんなところを突き抜けて...
      kuroayameさんありがとうございます。
      わかってもらいたい気持ちって、結構重たくて持て余すこともありますが、そんなところを突き抜けて、自分らしくいたいなって思いました。
      2012/10/14
  • 最後まで読んだとき、主人公にも周りの人たちにも自分の一部を見るようで、

    受け入れたい、という気持ちと、
    受け入れられない、という気持ち、
    仕方ない、やるせない……。

    頭の中でいろんな感情がぐるぐる回っていた。


    この泣きたくなるほどの切なさは、
    同時にとても爽やかで、温かくもあり…。

    なんだか読んでよかったなぁと、思った。

  • 姉弟と老犬ハルの日常が語られる。
    姉・園ちゃんの言動に共感して、自分を省みた。
    そして、行くんみたいな弟 いいなぁ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「老犬ハルの日常」
      老犬と聞いただけでウルウルしちゃう。何でやろ?
      「老犬ハルの日常」
      老犬と聞いただけでウルウルしちゃう。何でやろ?
      2012/12/18
    • mumeさん
      ウルウル→ズルズルして下さいませ。
      読むと泣けます、です。
      ウルウル→ズルズルして下さいませ。
      読むと泣けます、です。
      2012/12/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ウルウル→ズルズルして」
      文庫になってるようなので、春になったら読もうかな(春は花粉症で、と誤魔化せるんです)。。。
      「ウルウル→ズルズルして」
      文庫になってるようなので、春になったら読もうかな(春は花粉症で、と誤魔化せるんです)。。。
      2013/01/07
  • 70★語り手が、主人公の「行」と「園」交互に物語が進んで行く。
    全体的に静かで淡々としている雰囲気で、心の声が多い。色んな人間がいて、それぞれ何かしらコンプレックスや悩みがある。物語は、日常の中にちょっとしたスパイス(老犬やいやがらせ問題など)を取り入れて友情や家族愛などを描いてるのかな。
    感性が強い人…というか、共感や、癒しを求めている人には合うのかなぁと思った。自分は本に求めるものが少し違うので「…で!?」という感想になってしまった。
    登場人物は全員タイプが違って、性格とかも、これがメインというくらいよく書き込まれてるのにあまりイメージがわかなかったし誰にも魅力を感じなかった。
    犬がでるのに泣けなかったし(・_・;)

全116件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

飛鳥井 千砂(あすかい ちさ)
1979年生まれの小説家。北海道生まれ、愛知県稲沢市育ち、神奈川県在住。
2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の文庫『タイニー・タイニー・ハッピー』が20万部のベストセラーとなる。他の代表作に『アシンメトリー』『君は素知らぬ顔で』『UNTITLED』『鏡よ、鏡』『女の子は、明日も。』『そのバケツでは水がくめない』など。

はるがいったらのその他の作品

飛鳥井千砂の作品

ツイートする