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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784087748048
作品紹介・あらすじ
密林に墜ちた200万ドル。手にするのは誰だ!?
ミャンマー山岳地帯で200万ドルを載せたヘリが墜落。表沙汰にはできないこの金を巡って、後ろ暗い経歴をもった男たちが密林を彷徨う。大金を手にし野望を遂げるのは誰だ!? 迫力の冒険巨編。
感想・レビュー・書評
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著者については、高野秀行氏の『ミャンマーの柳生一族』で知った。
ミャンマーを舞台にした小説を書く為に、何度も現地入りしていた高野氏を取材旅行の同伴者に指名。旅の末に出来上がったものが本書である。
「現地に行けばアイデアも浮かぶ」と終始マイペースだったが、ちゃんと観察やネタ集めをされていたのかと読んでいて思った。(普通に失礼…笑) 参考文献一覧には高野氏の『ビルマ・アヘン王国潜入記』『西南シルクロードは密林に消える』も記載されており、先輩風を吹かせながらも何だかんだで彼を当てにしていたんだな、とにんまり。
ミャンマーの密林に200万ドルを乗せたヘリコプターが墜落。その出来事を軸に登場人物らの運命が交錯する。
年の瀬に読むにはヘビーなもんを選んじゃった気もするけど、時間も忘れて思わず読み耽っちゃった(*・・)
クライムとサバイバルのごった煮。私欲にまみれた軍部に現地の裏社会だったりと、少なくとも主要登場人物のほとんどがダーティーなバックグラウンドをお持ちだ。それぞれの目的は違えど、全員お金で動いている。
更なる背景にあるのは、やはりミャンマーの政情不安だろう。それに登場人物らのバックグラウンド・私情が絡まり、そのせいでルイ・リン(登場人物の一人で家具商の青年)のような一般人も手を染めざるを得なくなったのだから、本当に救いようがない。
「この国は広い。[中略]そこにあまりにも多くの民族が混在してる。たったひとつの価値観で全体を推し計ろうとするのは無理なんだ」
本書には、高野氏がアヘン栽培で滞在していたワ州も登場。(不覚にも笑った) 写真がなくても何となくイメージ出来たし、こりゃ冗談抜きで高野氏本3冊を読んでから臨んだ方が良いかも。
本当にネタを現地調達してきたんだな。
それらの材料を合わせてクライム&サバイバルものが仕上がったわけだが、緊迫感が本物に近くてずっとハラハラしていた。船戸氏の著書を読んだことがないのも大きいが、本当にあの行き当たりばったりな”おっちゃん”が書いたものなのか疑わしくなってきたくらい。(「ジャーナリストかクライム小説に秀でた外国人作家?」)
高野氏と同様早大探検部ご出身だから、山越えや武装集団との遭遇で見られた緊迫感は、そのご経験から仕入れてきたものだろうか。
「人間には運とか附きとかいうものがあることをこの齢にしてようやくわかった。そういうものはあらかじめ量が決まってるんだ。それを使い果たしたら、すべては終わりだと思え」
全員お金で動いているし、「生」への執着も強い。
生きる気力を削がれることがあっても、自身の生きる目的までは見失わなかった。(生き残るための手段は相変わらずダーティーだったが…)
彼らのその後をここまで気にかけるような話は、この先そう簡単に出てこない気がしている。(「気になる」ではなく「気にかける」。ここ大事!)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミャンマー・カチン州を縦断し、ヤンゴン(ラングーン)を経てアンダマン海に注ぐイラワジ河の上流部を舞台に、200万ドルの大金に、欲望と保身と逃亡が織りなす殺戮戦に読者を引き込んでいく。小説とは云え、実話とも思える著者の筆運に只々驚きを隠せない。やはり小生の知らない世界が存在した事にこれからも色々なジャンルの書籍を読もうと思う。
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高野氏の「西南シルクロードは密林に消えた」を読み、この本に辿りつく。元来船戸氏モノは足が地に着いたドキュメントタッチとノベルの中間位置に存する所が好きで読んでいた。ご多分に漏れず、淡々と命が消えて行く・・最後は「標なき」イラワジ河畔の風景「地名などない」と言い放つ日本人とイスラム教徒のみ生き残った。
登場人物のごった煮状態で半ばまでついて行くのが必至。ただ思う所は、ミャンマ―という空間に広がる阿鼻叫喚~ヘリの墜落で空中に舞う200万ドルに群がる畜生どもの狂宴の凄まじい事と言ったらない。
日本人・中国人・カチン独立軍兵士・イスラム教徒の中国人・インド商人・ビルマ共産党の生き残り・ナガ独立運動指揮官etc
ラストへ向けての疾走はありとあらゆる死に方、殺され方が出尽くしている感満載。
船戸さんらしく毛沢東思想に一生をささげた中国人当選の口を借り「人間には運とか附きというものの量が予め決まっており使い果たしたらすべては終わりだ」との言葉・・人生訓の様。
あらゆる言語が飛び交うこの社会では英語が生き抜くには必須という、しかもインド訛りで無い・・実感の重み。 -
高野秀行さんの「ミャンマーの柳生一族」を読んで、この本に辿り着く。船戸与一さんの本は初めて。最初登場人物が多くて混乱しましたが、どんどん引き込まれて
一気に読み進みました。面白かった!
ハードボイルド小説。
人間の欲は恐ろしい。最後はなんともいえない虚無感。
これって高野秀行さんのこと?と思われる記述がありました! 高野氏の「アヘン王国潜入記」を読まれている方はわかるかも…!
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舞台はミャンマー。山中に消えた200万ドルをめぐる追跡劇。着服してきた金で高級ホテル建設を目論む日本人。組織を裏切り麻薬取引資金を持ち逃げした中国人。脱獄した民主化運動家。拷問の露見と脱獄犯を出したことで追いつめられた刑務所副所長。カチン独立軍の勇士。妻と姦通者を殺して逃げるイスラム教徒中国人の家具職人。インドの強欲な商人の手下。ビルマ共産党の生き残り。ナガ独立運動の指揮官。さまざまな背景を持つものが、大金を狙い、山中をかけめぐる。最後の救いの無さは健在。毒蛇で、山刀で、墜落で、転落で、銃撃で、人々は無造作に死んで行く。絶望、締念、生きる希望の復活から再転落と忙しい。最後は日本人とイスラム教徒が生き残り。”人生最後は運とかツキだ、お前にはそれが残っているか?”という問いかけが河畔にこだまする。生きていればいいことあるさなんて、気休めを許さない厳しさ、ハードさ。参考文献にあげられた高野秀行「アヘン王国潜入記」「西南シルクロードは密林に消えた」読んだあとだと楽しみもひとしお。高野秀行らしきジャーナリストがちらっと挿話で出て来たり(p.234)、通訳ゾウ・リップ、ナガ独立運動の高官クガル,チャンドラというインド商人、が名前と若干の背景の類似を持たせつつ、登場人物としてでてきたりといったところも楽しめる。/「目的のために手段を選ばない。その目的に価値があるかどうかは疑いもしない」「この国は広い。精神的空間が。あまりに多くの民族が混在してる。たったひとつの価値観で全体を推し量ろうとするのは無理なんだ」
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初めての船戸作品です。
ミャンマー(ビルマ)が舞台で200万ドルを載せたヘリが墜落する。麻薬取引での金だがそれを脱獄した政治犯、少数民族のゲリラ、ミャンマーにホテル建設を夢みる日本人ビジネスマン。
それぞれがその金を奪う為に密林に向かう。
ミャンマーの民主化運動がバックにあり、平和ボケした我々日本人には想像できない社会がまだま
あるのだと思った。 -
消えた200万ドルを探して様々な思惑の人間がミャンマーの密林に入っていくサスペンス。
ミャンマーの政治状況や少数民族についてある程度知っていないと読むのが結構大変な小説だった。
高野さんのミャンマーについての本を何冊か読んだ後にこの本を読んだから背景を理解できたけど、背景を理解していても前半は見慣れない名前や固有名詞が多くて読むのが大変だった。ただ後半からは引き込まれてあっという間に読めた。
「ミャンマーの柳生一族」を読んだ後にこの本を読んだので、あの取材からこんな小説が出力されることには驚いた。 -
久しぶりに船戸与一の本をのぞいたらミャンマーを舞台にした本があった。昔一度読んだことがあるはずだが、忘れていた。ミャンマー集中キャンペーンのついでに読んでみる。
相変わらずの船戸与一ワールド。国際色豊かな連中がひたすら殺し殺されるという世界。今回はイエメン人まで登場。だけど、このイエメン人が筋書きにそんなに必要だったとは思えないな。
殺伐とした船戸与一の世界は嫌いじゃないんだけど、飽きた。読んだのに覚えていないのがそれで、「ミャンマー」とか「カチン独立」とかもはやただの記号でしかない。辺境を愛するのはわかるが、それにしてはずいぶんぞんざいな扱いじゃないかと思う。
この人が本名で出しているルポタージュはひどく面白かった。また、江戸時代を舞台にした「蝦夷地別件」は破格に面白い。満州国演義も全巻でたみたいだし、戊辰戦争を舞台にした新刊もあるみたいだし、そっちに期待するか。 -
高野秀昭氏とともにミャンマーを訪れた際の体験を元に書かれた物語。この著者の作品全般に言えることだが、あまりミャンマーが舞台である必然が感じられない。普通に読み進められる火曜サスペンスばりの物語。
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猛き箱舟を越えるのは難しいだろうな。
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アジアの闇シリーズ・舞台はミャンマー
船戸与一の作品
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