絵小説

  • 集英社 (2006年7月26日発売)
3.69
  • (24)
  • (43)
  • (49)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 290
感想 : 53
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784087748161

作品紹介・あらすじ

華麗なイラストに誘い出された、6つの夢。
ジャン・コクトーや吉岡実など古今東西の詩をモチーフに、作家とイラストレーターが互いの想像力を掻き立てあう。密やかで美しい、絵と小説のコラボレーション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • やっぱりこのお二方は親和性が高い・・・どこか恐ろしくてでも美しい・・・。
    皆川先生がチョイスした詩から宇野さんが絵を描き、それをもとに創作した物語・・・という特殊な作りをした1冊です。ううん、豪華だ。
    『蝶』や『影を買う店』ぽくてとても素敵。
    「赤い蝋燭と・・・」タイトルの通り人魚を彷彿とさせますが、人魚のように声を失った女性に惹かれていた少年のお話。
    「美しき五月に」傷付き血を流す愛しい男に愉悦を感じる少女という皆川節炸裂。う~ん「少女外道」!でもこれは、どこかものがなしい。繰り返す痛みは彼か彼女か。
    「沼」は異界へと誘われる母子のお話。皆川先生って北欧神話お好きなんですかね、割とオーディンとかヴァルキューレネタ多いですよね・・・。
    「塔」はいたぶられながらも姉を慕う少年のお話。個人的に一番すきですね!ラストも含めて・・・近親相姦の暗喩ぽくて・・・ラプンツェル・・・。
    「キャラバン・サライ」は早熟な読書家の子どもの服毒自殺のお話。もうこのあらすじからしてヤバイ。また『にんじん』読んでるような幼女だよ・・・皆川節・・・。
    「あれ」はもしや皆川先生の自伝なんだろうか・・・ぞくぞく・・・。そんな気はしてたんだが皆川先生、日夏耿之介お好きなんだな・・・。

  • 宇野亞喜良×皆川博子。
    まず、宇野亞喜良の絵がありそこに皆川博子が物語をつけたそう。
    なんとも贅沢。

    赤い蝋燭と
    美しき五月に


    キャラバン・サライ
    あれ

    の6篇からなる短編集。
    中でもキャラバン・サライが特に良い。
    子供の純粋な狂気が滲み出ていてぞっとする。

  • 夢のコラボ。あとがきも兼ねている最後の収録作「あれ」によると、まず皆川さんが好きな詩の一節を抜き出して、そこからイメージされた絵を宇野さんに書いてもらい、その絵からさらにイマジネーションを得て皆川さんが小説を書く、という順番だったようです。以下メモ。

    ○赤い蝋燭と……(木水彌三郎「幻冬抄」より)
    ○美しき五月に(多田智満子「風が風を」より)
    ○沼(ジャン・コクトオ/堀口大学訳「わるさながらも素晴らしい」より)
    ○塔(吉岡実「僧侶」より)
    ○キャラバン・サライ(イヴ・ポンヌフォア「真の名」より)
    ○あれ(アンリ・ミショー「怠惰」より)

    好きだったのは、孤独な幼女が湖底に沈むキャラバンサライ(隊商宿)の幻想に惹かれる「キャラバン・サライ」主人公が好んで読む本の数々は、おそらく皆川さん自身の記憶なのではなかろうか。

    「塔」はそもそもの「僧侶」という詩がなんとも不気味なので、おのずとホラーじみてくる。ニエッタニエッタとかランチュクチュクとか変な擬音が気持ち悪さを増幅。「美しき五月に」は既読だったかな、輪廻転生もの。全体的に不穏で良かった。

  • 鏡の向こうの様に気づいたらあちらの世界にいて、一度世界に触れたら歯車は動き始めてもう後には戻れないような、二度と振り向かず去って行くような素晴らしい読後感だった。「美しき五月に」が特に好み。官能の記憶の重層美。名を呼んだら窓から腐った内臓が降ってくる「塔」もいい。宇野亞喜良の絵の織り混じる世界を耽読し、気付いたら魂が游いでいたから、私の躰は球体関節人形のように関節が次から次へとはずされていったのだろう。もちろんいい気持ち。

  • 嗚呼、デカダンス!たまりませぬ。日の射さぬ暗い場所に流れる湿った空気。死との境界を彷徨います。特に惹かれたのは「美しき五月に」。少女の切り裂くような官能。うっとり。皆川博子には中毒性があります。ご注意を。

  •  図書館より。

     詩からイメージされた皆川博子さんの短編6編と、宇野亞喜良さんのイラストが収録された短編集。

     初めての皆川さんの小説だったのですが、今まで全く自分が読んでこなかったような世界観の小説ばかりでした。幻想小説のジャンルに当たると思うのですが、感想を書くのが難しい……。

     印象的だったのは『美しき五月に』。常に15歳までしか生きれない、前世の記憶を持ったまま輪廻転生を繰り返す少女が主人公。
     話の内容は正直理解しきれたとは言い難いのですが、それでも文章の美しさに魅せられました。こういう小説が「文学」と言えるんだろうな、と感じました。

     どの短編も内容は理解しきれなかった気がするのですが、どれも不思議な印象が残る小説です。もっと皆川作品を読めばこの良さが分かってくるのかな、と思います。

  • 皆川博子×宇野亞喜良だなんてもうお耽美の極み

  • 絵小説

    詩→絵→小説という流れでできた画家と作家のコラボレーション作品です。
    収録作品は、赤い蝋燭と…、美しき五月に、沼、塔、キャラバン・サライ、あれです。
    どの作品にもももとになる詩があり絵があり、物語があります。
    印象に残ったのは、人魚姫をモチーフにした冬さんと幼い主人公のつかの間の交歓のお話の「赤い蝋燭と・・・」と、恩田陸さんの「ライオンハート」と同じ記憶を持ちながら何度も輪廻して出会う少女のお話の「美しき五月に」です。後書きと交差する「あれ」の仕掛けも面白いアイデアでした。
    でも、何で★3つか? 竹蔵は男なので、女性特有の危うさや話の飛躍についていけなかっただけかもしれません。感受性に自身がある人?は是非ご一読を。

    竹蔵

  • 豪華なコラボレーション。
    最後の「あれ」にこの本のコンセプトがあったが、皆川博子さんの好みの詩の一節から発想した絵を宇野亞喜良さんが描き、その詩と絵をもとに物語を添えるというもの。妖しく幻想的な短編集。

  • 1時間30分

  • 豪奢な昏い闇。手と手袋のような文と絵。

  • 皆川さんが選んだ詩を元に描かれた宇野亞喜良氏のイラスト。幻想的で繊細で詩とのイメージを重ね合わせてため息をつく。さらにそのイラストをもとに皆川さんが書いた小説が続く。私の周りからは音が消え、少し昔の匂いがやってくる。泥と血の匂い、ざらつく手触り、確かに知っている誰か…。ふっとつめていた自分の息を吐く音で現実の音が戻ってくる。しかしそこで終わりではない。宇野亞喜良氏のイラストに戻るとそれは先ほどとは違う意味を持った鮮やかな色で私を迎えるのだ。そんな幸せな時間をくれる短編が6つ。「美わしき五月に」が特別好き。

  • 華麗なイラストに誘い出された、6つの夢。
    ジャン・コクトーや吉岡実など古今東西の詩をモチーフに、作家とイラストレーターが互いの想像力を掻き立てあう。密やかで美しい、絵と小説のコラボレーション。(アマゾン紹介文)

    赤い蝋燭と
    美しき五月に


    キャラバン・サライ
    あれ

    詩をもとにイラストを描き、そこから小説につなげる…という、刺激的な作品。
    どちらも元より幻想的な作風だけに、コラボした本作は、かなり尖がった内容になっているのではないかと思います。
    『あれ』は流石にどうかという締め方でしたが…。
    『美しき五月に』のエロティックさと『キャラバン・サライ』の静けさが特によかったです。

    25/10/4再読

  • 詩、イラスト、小説のコラボ。

  • 宇野亞喜良さんの絵ととっても合っています。
    どの話も短いにもかかわらず凄く深い上どれもなんというかとろみのあるお話でした。

  • これは素晴らしい。
    皆川様の幻想小説に宇野亞喜良氏の挿絵が相まって別世界へ連れて行ってくれる。

    まず皆川さんが詩を選び、宇野氏が挿絵を描き、そこからまた皆川さんが小説を書くという手段をとっているのですが、どれも幻想小説という名にふさわしい不思議な物語ばかりです。

    聾唖の蝋燭売りの少女。
    15歳で海にかえる転生の記憶をもつ少女。
    異母姉と秘密を共有する少年。
    薬瓶を抱えてほほ笑む少女。
    腕の関節を外して湯に浮かべる<あれ>に変わる女性…。

    どれもこれも溜息なしには読めません。
    こういう本を集めて暮らしたらどんな夢が見られるかしら。

  • 宇野亞喜良氏のイラストが小説にとても似合う短編集でした。と思ったらイラストから小説を紡いだとのこと。

    記憶を持ったままいつも同じ年齢に亡くなってしまう少女の話が一番印象に残りました。

  • 物語ではあるけれど、どちらかといえば長い詩のよう。どれも生の生々しさに満ちていてどこか艶めかしい。

  • 幻想的な短編の数々。
    絵とシンクロして美しさと怖さを感じる。
    記憶を持ったまま生まれ変わる少女の話が印象的。

  • 短編集 
    皆川さんの著書は幻想的である。 
    独特の世界観と、日常が霞むほどの濃厚さ。それらが絡まりあって、纏わりつく様な空気と、むせ返るような濃厚な匂いに絡め取られ、身動きが出来なくなる。 それでも、非日常を求め、まだ見ぬ世界を覗いてみたくなり、著書を手に取る。
    「キャラバン・サライ」が一番印象深い。

全45件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

皆川 博子(みながわ・ひろこ):1930年旧朝鮮京城生まれ。72年『海と十字架』でデビュー。73年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞受賞。86年『恋紅』で直木賞、90年『薔薇忌』で柴田錬三郎賞、98年『死の泉』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。著書に『聖餐城』『海賊女王』『風配図 WIND ROSE』『天涯図書館』など。

「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

皆川博子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×