- 集英社 (2007年2月5日発売)
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感想 : 14件
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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784087748383
作品紹介・あらすじ
母と娘の葛藤のなかに描く、家族と家庭の姿。
父親のない子を産んだゆり子。パート勤めをしている間、娘・千草は母親のもとに。父が家を出、今は母一人が住む家はゆり子にとっては見憶えのある場所、幼かった日々が甦る。母と娘の葛藤を描く。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
母と娘の葛藤を描くこの作品は、愛情と苦悩が交錯する複雑な関係を浮き彫りにしています。主人公のゆり子と娘の千草は、互いに愛し合いながらも、過去の影や期待に縛られ、心の距離を感じています。母親は自身の過去...
感想・レビュー・書評
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何と戦っているのかわからないけど、とにかく必死で戦っている人、たまにいます。
本人は必死でとても苦しいのかもしれない。
それはそれで大変だなと思うけど、その周りで、その戦いの犠牲になる人は大迷惑だなとも思う。
そしてだいたい、子どもがその犠牲になってしまう。
見えない何かと戦わなければならなくなった理由は色々あるだろうけど、子どもがそれに巻き込まれなければならない理由はないですから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
優しい両親に感謝
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母と娘の話。根は単純。なのにどうしてこんな結果になるのか。
この作者の、愛というものの考え方、人のつき放し方は好きです。
文章も美しくて純文調だけど退屈じゃない。もっと注目されてほしい作家さんのひとりです。 -
これはすごい。なぜこれが芥川賞候補にも上がらなかったのか不思議なくらいだ。
結婚することで総合職エリートの道を絶たれ、子どもを産むことで会社を辞めた母に育てられた娘の物語。見憶えのある場所とは虐待を受け、ことあるたびに「あなたを産まなければよかった」という叫びが染み付いた家だ。
こう書くとどろどろした親子の物語になってしまうけれど、その特異な文体が淡々と冷静に語る世界はだからものすごくリアルで、テレビドラマでは到底描ききれない、ちゃんとした劇団の舞台でならあり得るかなと思った。
内容より文章の一つ一つがすごいのだ。どこを切っても深い。
自ら母親となることでふたたび菜穂子の子どもに戻ったのではと、ゆり子は感じる。
命を宿さなければ、あの家を拒絶し、否定していられたというのになんという皮肉だろう。
私にはスキルがない、と搾り出すように言う。
彼女にしてもらったようなことは絶対にしちゃいけない、それは承知している。
でも、じゃあどうすればいいかとなると、暴力はいけないとか、
馬鹿にしたり可能性を潰すようなことを言っちゃいけないとか、
そんな、極端なことしかわからない。
こうして書き写してみると、改めて、的確に言葉を選んでいると感心する。主語を書かなかったり、会話文を織り込みながら心理を描く手法などは「源氏物語」を思い起こした。
上記はほんの一部で、どの人にも感じ入る部分はあると思う。読者会をしたら何時間も盛り上がりそうだ。
後世に残る作家というのはこういう人を指すのだろうと思う。 -
このテーマなら、なんか、もうちょっと…!視点固定・三人称で視点がくるくる変わるので、そのスパンが短すぎるような気もしました。
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考えさせられる。
キャリアを捨てて専業主婦になったことを、自分自身がどう捕らえるかによって、こうも家族の人生が変わるとは。
いつでも前向きで生きていきたい。 -
母親って子供が生まれたら無条件に母親になれるってわけでもないんだよな・・・。
そして、そんな母親を選べずに生まれてきた子供はきついよね・・・。
やっぱり家族は家族として機能していないと、それぞれが哀しい。 -
母から存在を否定されて生きてきたゆり子は、父のない娘・千草を育てるために、憎んでいた母親に生活を頼らざるを得ない。
優秀だったのに家庭のために犠牲になったと、自分の現在の姿を認められない母親と、その呪縛から逃れられない娘。
家、家庭、女であることの業や不条理や甘えが様々な色彩で塗りたくられ、気がつくと一服の絵になっている、そんな印象の一冊だ。 -
さらりと、人間の一番恐ろしい部分を描いている作品。
これだけ短いからこそ読めるんだと思う。 -
ピリピリしているピンと張り詰めた綱の上を目隠しをして歩くような、そんな緊張状態の続く母子関係世の中の全ての母親が、自分の子供を愛し、自分を犠牲にしてまでも守り育てている と言うのは幻想である過去の栄光にすがり、人より優れていたことを自分の存在のよりどころとしている母親は 娘が自分の思うとおりの道を進まないことに過剰に反応する。言葉で、身体で 娘を痛めつける。娘は母を精神的に切り離すことで一人の人間として生きる世界を手に入れる。が父親のいない子供を生むことで、娘は母親の生活へと自ら戻っていく。なぜ 離れないのか。父親が弟が 母親を捨てたように。なぜ 自分も母親を捨てないのか。母親は 娘が完全に去っていくコトを決めたときにさなぎのように自分の中へ閉じこもってしまう。母親は本当は娘を愛したかったのかもしれない娘は本当は母親を愛していたのかもしれない愛情はそこに同じ血がある限り凶器であり狂気である
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母親の暴力って・・・
子供の人生に想像つかないほど
悪い影響があるんだと
改めて思った。
ゆり子の母は完璧主義者で、
家事も子育ても手抜きなし。
ただ、夫と子供たちは
自分の思い通りにならないし、
自分の時間がない・・・
元の仕事に戻れない・・・
こうしてゆり子に暴力。
夫や子供は外にどんどん出て行き、
結局行き場がなくなったのは母親。
この母親は高いプライドのせいで、
外に出て行くことをしなかったのだけれど、
やっぱり、専業主婦とて、
外に出て行っていろんな世界・・・
社会を見ることは大切なんだろうな。
安達千夏の作品
