- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087748765
感想・レビュー・書評
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相撲をテーマにした小説を探していて手に取りました。
本作では大相撲ではなく、隠岐島で行われている、神社に奉納するための古式相撲が取り上げられています。
現代の、いわゆる興行としての相撲ではなく、「神事」であることが良くわかります。
祭に際して奉納する相撲を取る力士に選ばれるということは島の(地区の)代表者となることでもあり、島の住民に受け入れられたいと切に願っていた主人公にとって、大関に選ばられたことはこれまでの努力が認められた結果でもあります。そういったところも、ただ一筋に努力する・祈ることが神に通ずるのだ、という「神事」の雰囲気が影響しているようにも思います。
実際の相撲の描写シーンも迫力があり、手に汗を握りながら一息に読み切ってしまいました。自分を選んでくれた地区の人たちのために、家族のために、神に奉納するに足る恥ずかしくない相撲を取りたいと奮闘する主人公と、それにこたえる相手力士の魂のぶつかり合いは思わず目が熱くなります。
「島・村社会の伝統行事」ということで昭和の古い価値観も残っており、令和の男女観・夫婦観から見ると違和感を覚えるかもしれませんが、それも含めて一読の価値がある小説だと感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
隠岐島で20年に一度行われる古典相撲の大会の長編小説。
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はらはらと最後まで続く。
そして、最後まで何回涙するかわからない。
感動!間違いなしである。 -
原作を読んで、映画の謎が色々と解けてスッキリしました。
しかし、本の半分くらいが相撲の取り組みシーンで、(それも同じ対戦相手で!)よく小説が成り立つものです。相撲に詳しくない私が読んでも、ぐいぐい引っ張られて、ちょびっと涙が出てしまいました。
同著者の他の作品も読んでみたくなりました。 -
古典相撲の盛んな島根県隠岐の島の“水若酢(みずわかす)神社”では、20年に一度、遷宮相撲が奉納される。300もの取り組みが夜を徹して行われ各地区の代表が力を競い合うのである。この小説は、祭りの最後の大一番を任された力士と家族の心温まる物語である。相撲に詳しくなくても、後半の取り組みの描写には圧倒され、涙、涙・・・
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何がすごいって、相撲の取り組み前から終わりまでの
ほんの数時間を一冊の本にした、という描写力。
相撲の取り組み描写が続いても、読み手をダレさせません。
簡素なのに、人物たちの生きてきた日々、気持ちを
読み手に想像させながら、先に進む物語。
絆のある関係…家族は、一筋縄ではないし、正解とか失敗とかない。
先へ進む日々の中で心を通わせる一瞬を逃さない、
言葉で伝え合うこと、思いを実行する腹のくくり方…
登場人物たちからそんなことを感じたり、自分なりに考えたり、
作品と読み手の「間」で呼吸が生まれ、感じ取れる何かを
生み出せる空間がある良作です。 -
豪腕、直球一直線で全編を仕上げる潔さ。ストーリーも、工夫して感心させるより、スピードと迫力で有無を言わせぬ感動を生み出す直裁さを選ぶ。
ドキュメント・タッチの描写は、映画や劇画にぴったりだ。 -
5
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訳ありな家族が何十年に一度の相撲大会に挑む