雨の塔

  • 集英社 (2007年11月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784087748963

作品紹介・あらすじ

四人の少女たちが織りなす愛と孤独の物語
資産家の娘だけが入れる特別な学校に「捨てられた」四人の少女たち。閉じた空間で生まれる愛情、執着、嫉妬。濃密で危うい感情の行く先は――。大人のための“少女小説"。

みんなの感想まとめ

閉ざされた空間で織りなされる四人の少女たちの愛と孤独の物語は、心の寂しさや虚しさを埋め合う彼女たちの姿を通じて、切なさと美しさを感じさせます。特別な学校に入学した彼女たちは、まるで少女そのものでありな...

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り雨の似合うストーリー。
    隔離されているかのような土地に立つ女子大の寮に住む4人の少女達。大学生ともなると、未成年とは言え少女という感じではないかもしれないが、この物語に出てくる4人は少女以外の何物でもないくらい純粋で清らかだ。心の寂しさや虚しさをお互い埋め合う姿は痛々しい程。
    現実とはかけ離れた耽美な雰囲気が好きな方は是非!

  • 【あらすじ】
    社会から隔離されたお嬢様学校での、4人の女生徒たちの関係を描いた、百合要素ありの作品。それぞれの女の子の冷たい過去と、学校寮で共同生活していく中で芽生える気持ちが、重々しく切ない。彼女たちは閉ざされた世界で誰かからの愛を求める。

    【感想】
    ずっと一緒にいてくれる人はいない。それでも今はまだそばに居て、夢を見せてほしい。そう訴えかけるような物語だった。

    ふとした事で揺れる心は、若さの副作用みたいなものだなあと感じた。

    タバコと雨の描写がうまいと思った。タバコの煙と雨のカーテンが、苦悩する心をふんわり隠すベールのようで綺麗だと思った。

    三島と都岡は長くいるだけあって、最後は家族愛に近いものを感じた。
    矢咲は、どこまでも無責任な人だけど、救われてよかった。

    視点が変わるのが、それぞれの女の子に感情移入できてよかった。

  • 「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」シリーズで知られるピーター・ジャクソン監督の「乙女の祈り」という映画を思い出した。

    世界の果てと表現される世間から隔絶された学園で幽閉生活をおくる少女たち。
    実際は大学生なので少女ってほどでもないけど、みんなまるで少女。
    閉鎖的で排他的な人間関係と脆くて危うい絆にすがり、抑圧されて苦しんでも、それでも食べて寝て息をする。
    切ないけど美しいな。

    ちなみに「乙女の祈り」は、もうずいぶん昔に見たきりなので細かいとこは覚えてないけど、当時すごい絶賛したことは覚えてる。
    こんなおっさんが、思春期の多感な少女たちをこんなリリカルに美しく描いているなんて!という衝撃と、さすが「ロード・オブ・ザ・リング」の監督!と感心する甘美で繊細な表現で、完成度がとても高い作品です。

  • 訳ありで閉ざされた学校に入学した資産家の子供たち。しかし舞台は学校ではなく、寮である。人の気配をほとんど感じない塔の形をした鳥籠の中で出会い、身を寄せ合う四人の少女たちの心の叫びは、互いを絡めとりながらそれぞれの結末へ向かっていく。雨にけぶる塔の中でくゆる煙草の煙だとか、おいしそうな匂いを放つマフィンだとか、ピアノの音だとか、色あせた世界で五感を刺激する描写が静かに重くのしかかってくる、そんな物語だった。

  • 外界から遮断された岬の学校。
    陸の孤島である寮で、資産家の娘たちはひっそりと寄り添い合う。
    ある者は逃げるために、ある者は家のための「駒」として使われる日のために。

    終始退廃的で薄暗い雰囲気に包まれた世界観。
    「大人のための少女小説」という謳い文句を見かけたが、なるほどその表現がしっくりとくる。
    この世界観と、それをかたちづくる言葉選びのうまさだけで充分価値がある作品。
    くらくらするほど心惹かれた。
    煙草やバナナのマフィン、サティのピアノ曲が読後も胸の中に渦巻いている。
    「今」しかないからこそ、そのかけらはきらきらと輝くのだろう。
    都岡と三島の主従とも友愛ともつかない関係性が好き。

  • 女の子たちの息詰まる世界。
    まさに倒錯の世界という感じ。
    好きな人はとても好きだと思う。
    私には重たく感じられた。

    • kuroayameさん
      レビューを拝見し、「女の子たちの息詰まる世界」と記載されていたので、超女子独特の世界(グループを作るとか)を想像してしまいました!!。
      そ...
      レビューを拝見し、「女の子たちの息詰まる世界」と記載されていたので、超女子独特の世界(グループを作るとか)を想像してしまいました!!。
      そんな世界が苦手なので、私も重く感じてしまうのではと思いました(><)。
      2012/10/18
  • 文庫化するのをずっと待って、やっと購入(笑)
    思っていた以上に濃い女の子同士の関係が描かれていてとても読み応えがありました。私は好きです。そもそも百合が好きなので(笑)

  • 閉じた世界の、少女たちの孤独。脆く危うい彼女たちの心。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-216.html

  • ここは「世界の果て」。捨てられたわたしたち。
    一番孤独なのは、だあれ?

    少女たちが抱える心の闇・孤独・閉塞感が物語全体を覆っています。
    全体的にモヤで覆われたような雰囲気、現実感のない印象。それが、耽美で美しい。

    誰かに感情移入するよりは、『雨の塔』という作品が醸し出す世界観に浸ることが出来ました。

    閉塞感を感じる中だからこそ、物語の中に出てくる、空の写真のコラージュやマフィン、温かいコーヒー、煙草の香り・・・これらの描写がいっそう引き立っていると感じました。

    私もマフィンを作りたくなりました。




    装丁もとても美しいです。4人の少女が籠の中に入っています。

  • 誰が誰か分からなくなった

  • 陸の孤島と言われる、外界から隔絶された全寮制の女子大を舞台に、四人の少女の関係性と、それぞれの揺れ動く繊細な想いを綴った物語。

    ちょっと浮世離れした設定ではありますが、儚さや美しさが際立つ世界観に惹きつけられました。

    シャンプー、マフィン、煙草など、香りを連想させるアイテムの用い方が効果的で、甘さと苦さ、救いと諦めが共存する物語に、彩りを与えているように思います。

  • ストーリーはいまいち入り込めなかったし、先が気になる展開もなかった。娯楽小説じゃなくていわゆる純文学?みたいな感じを受けた。登場人物が現実離れした上流階級の人間なので感情移入できない。文章は綺麗だった。
    おもしろくなかったので、返却期限が迫る中で読み進めるのが大変だった。

  • 陰鬱な空気感がどうにも苦手。
    入り込めないまま、なんとか読了。

  • 2021/08/27-08/29

  • 狭い世界にいると思考が偏る
    傍にいてくれる、またはたまたま傍にいた人に執着し依存する

    哀しい話だった
    恐らくだけど矢咲は暖かい家庭で育ったからさくらにも小津にも三島にも依存せず一歩引いて見れた結果、僅かに取り乱すだけですみ
    何度も人から捨てられてきた小津は最後に信じたいと思った相手にも捨てられたと思い傷心の末海に散ったのかなと思う

    小津が誰の奴隷でもないさくらとは違う運命だと知っていたら結果は違ったかもしれないし、そうでないかもしれない

    心が弱っているときに読んだら間違いなく悪い方へ引き込まれる本

    三島の天然面倒ぶりに都岡が憐れだと思い、最後に戻ってきたときには驚いた
    早く卒業できるといいねと…

  • 上流階級の下に生まれた少女たちが、それぞれの事情を抱えてやってくる小さな町のような塔。

    愛しい子の政略結婚から逃れるための心中に失敗した矢咲。

    娘すらもトップに立つために踏み台にした母を今も求めている小津。

    事業の都合で三島のお気に入りの友達という奴隷になった都岡。

    政略結婚に使われるまでの間に都岡から矢咲に気持ちをとらわれる三島。

    美しく贅のすべては手に入るというのに、唯一彼女たちに届かないのはたったひとつの自由だった。

    自由を求めて、自分たちが本当に求めているものを渇望している最中。

    矢咲の傷ついた心に気づいた小津との濃密な関係。
    片思いのまま置いてけぼりにされた三島の傷心。
    矢咲に愛されれば愛されるほどやつれていく小津を心配する都岡。

    突然やってきた自由を目の前に、彼女たちがそれぞれ選択した道。
    小津、可哀想に。戦略的だった三島と都岡の本当の友情。
    未熟で残酷で、愛しい少女たち。

  • 4人の女の子が織りなす、大人のための少女小説。
    儚くも美しく、かつ色気があり、甘く濃密な百合っぽさ漂う内容となっています。
    耽美的な雰囲気にどっぷり浸って楽しめる作品ですね。
    個人的な好みとしては、年齢がもう少し下でも良かったかなと。
    “少女”って幾つまで?高校生くらいが一番しっくり来るように思います。

  • 隔絶された寮に送られた、四人の少女の物語。
    ほの暗いジュニア小説といった雰囲気で、懐かしさも感じながら読んだのだけど、割とあっさり終わった印象。

  • 少女漫画的な流れのストーリー。そこはかとなく耽美チックな内容かと。

    登場する四人の少女の境遇は正に表紙の通り。
    カゴの中に入れられた四人は抜け出すために足掻こうとせず、過去にとらわれ続け、漫然と日々を過ごす。

    ストーリーが展開に従い、四人の素性、ここにいる理由が少しづつ打ち明けられる。
    四人の個性、お互いの関係、想いがゆっくりと変化してゆく。

    最終場面、雨の塔で、一人は絶望的な選択を、一人は成り行きで救われ、一人は友を救うために自ら動き、もう一人はそれにより救われ、それまで以上の絆で結ばれる。

    それぞれ異なる結末が印象的であった。

  • 大雨の音を聞きながら読みました。語り手がコロコロ変わるので最初は少し読みにくかったです。「春狂い」よりは良かったけど、どの章も読んでて痛かった・・・。三島と都岡にもいずれ終わりは来るだろうけど、矢咲と小津のような可哀想な結末にはならないでほしい。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。2006年『花宵道中』で女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞をW受賞しデビュー。『白蝶花』『雨の塔』『セレモニー黒真珠』『野良女』『校閲ガール』シリーズ等著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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