ここにいないあなたへ

著者 :
  • 集英社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087751864

感想・レビュー・書評

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  •  旅行先から、「ここにいないあなたへ」そっと語りかけるメッセージがあり、そのメッセージを象徴するような写真が次のページにあり、という構成。

     内容的にはとてもわかりやすいので、あとはこういうのが好きかどうかの問題。

     私も、20代のはじめくらいで読んでいれば、もう少し浸れたかも。

  •  辻仁成さんの透明感溢れる文体が大好きです。これを読むと少し素直になれる気がします。
     〝ここにいないあなた〟って一体誰のことでしょう?

  • 写真×文章
    やっぱりこの組み合わせ、好きだ。
    安珠さんの写真が好きで、
    辻仁成さんの文章が好きだけど、
    どちらかというと、
    安珠さんの写真に、安珠さんの言葉 がしっくりくるのかな。
    本書は、私が思描いたハーモニーとはちょっと違った。
    本作が1995年の出版物で、
    写真家と作家、それぞれに今私が持ってしまっている先入観があるせいかもしれないけれど。
    文章は、手紙的な語りかけ感が良い。

  • よんだっけ?

  • 辻仁成の詩集。

  • ここにいないあなたへ、ここにいる僕より。

  • この作品、詩だろうか、短編小説だろうか。この本の帯には、「作品」としか書かれていない。<br />辻仁成というこの自由な作風を持つ作家はこれまで、詞を詩集で出したりと、様々な文学ジャンルの垣根を取っ払ってきた。そして遂にこの作品で、詩と小説の垣根すら取り除くことに成功したように思える。つまり、この作品は詩であり、同時に短編小説としても成立している。

    <p>この「作品」は、前編「ここにいないあなたへ」で始まる詩の形式をとって展開している。主人公の男性が、恐らく北海道を舞台にして、そこで見た景色、巡り会った人物、物思いなどを、旅行の日記のように綴っている。そう、主人公は作者本人ではなく、旅をするこの男である。主人公がいて、物語が進んでゆく。こういったところが短編小説なのである。そして、その主人公は独り身だ。かつていた「あなた」が「ここにいない」。その「あなた」というのが恋人のことであることは安易に予想が付くが、どうして今「ここにいない」のかという理由は、後半になるにつれて明らかになってくる。</p>

    <p>俺自身、恋人を失った経験がある。この「作品」とは全く違う理由からであるが、恋人を失う、「あなた」が「ここ」から「いな」くなるということは、状況から言えば同じ。そしてそんな俺も、今年の1月に奄美を一人旅した。何をするにも自由なバケーション。空は晴れてはいなかったが、見慣れない街の景色や、逞しく伸びる原生林など、魅力的なものは沢山あった筈だ。それなのに、どうしてか、寂しい。そういった体験が、この作品を読んでありありと蘇ってくるようだった。</p>

    <p>しかし、この作品の主人公は、「あなた」が「ここにいない」ことを嘆きながらも、自然、人、そこで触れたもの全てに対してめいいっぱい感動し、喜びを露にしている。これは悲しみを剥き出しにした、暗く、ドロドロした旅ではない。自然をめいいっぱい愛し、人生というものを謳歌する、そんな逞しく、美しい旅の記録なのである。そういった強さを、俺も欲しいと思った。そして、また再び、どこかを一人旅してみたいとも。</p>

    <p>最後に、この作品の目次は、本の一番最後に載っている。一度前編通して短編小説として読んだ後、今度は詩集として目次から一遍一遍引いて読めるようにとの考慮だろうか。何度も繰り返し読むことの出来る、素敵な作品である。</p>

  • そこにいなかった私へ伝わってくるような本でした。

  • 写真&詩タイプで、写真は主に風景。
    なのにちょっと涙を誘う。
    悲しい写真があるわけでなく、むしろ明るい風景、
    小さな普段なら見落としてしまいそうなシアワセのカタチ。
    それらが眩しく輝けば輝くほど、ココロの脆い部分に働きかけてくる。

    うん、すごくいいよ。
    優しい人になれそうな気がする一冊。

  • 辻仁成は好きじゃないんですが、やはりこの人は愛を書く人なんだ…と思わずにはいられない。写真もキレイです。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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