- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087752489
作品紹介・あらすじ
15世紀末。国王ルイ12世の離婚の申し立てに、王妃は徹底抗戦の構え。弁護を引き受けたフランソワの鮮やかな戦略とは。法廷サスペンスと歴史小説を見事に融合させた作品。第121回直木賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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ハッピーエンドなのかな?
終盤までのそれぞれの登場人物の悲しみが、心にいつまでも残る。突き刺さっている感じ。
佐藤賢一さんは、以前、『傭兵ピエール』を読んだのを思い出した。どこまで事実なのかわからないけど、当時のリアルであろう描写に、グロテスクだなと思った一面も。
でも、それが美化するより、事実を学べて良かったり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み応えのある作品でした。特に裁判が始まってからはどんどん引き込まれて、当時の結婚の完成、という観念や、今と変わらない男の身勝手さや、逆に今とは違う思うに任せない結婚事情などとても興味深く読めました。なかなか女には屈辱的な場面あり、そこまでするのか・・・と思ったりもしましたが。フランソワの攻める姿勢、譲らない誇り等、ちょっとリーガル・ハイを思い出してしました。もちろんコミカルな所など皆無ですが。最後に分かった意外な事実には驚き。多分ハッピーエンド。王も離婚できて良かったのかな。その後はダメっぽかったけど。
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舞台設定のせいなのか、はたまた若干持って回ったかのような言い回しのせいなのか、序盤はどうにも読み辛く、とっつき難かった。
いや、たぶん模擬裁判風の問答のせいかな。
ところがフランソワ・ベトゥーラスが王妃の弁護を引き受けるあたりから、俄然物語は吸引力を増す。
もちろんフィクションだから、力技のご都合主義を感じぬわけではないが、それを差っ引いても娯楽性は十二分。
どちらかといえば直球のストーリーに、程よくスパイスを効かせる具合のミステリー性も見事に好バランスを生み出している。
そして何といってもラストが抜群にいい。
うん、面白い話だったな、と比較的ライトな心持ちで読了しようとしている読者の心を一気に揺さぶる秀逸のラストシーンに、星5つ。 -
ルイ12世から離婚をせまられた正妻の公女ジャンヌ。
その裁判に、かかわりあうことになる敏腕弁護士フランソワ。
そして、彼の若き日の恋人ベリンダとの過去が明らかになってくる。
男と女とは、結婚とは、についていろいろと考えさせられる。
また、若さとは、暴力とは、そして、失われた青春と、自分のなくしてしまったもの、についてもね。
キャラがたってるし、テンポがいいので、読みやすい。
ベリンダの弟のオーエン、教皇庁から派遣されたアルメイダ、そして有能な学生フランソワ。
あのチェーザレ・ボルジアもでてくるし、ルネッサンス期のヨーロッパが好きな人ならとっても楽しめる。
是非青池保子さんに漫画化してほしい
フランソワ:
インテリは権力に屈してはならない。意味がなくとも、常に逆らわねばならない。 -
オフクロに薦められた一冊。
佐藤賢一さんが同郷ということもあり、親近感を持ちながらも、
最初は読みづらいのかなぁ、なんて思いながら・・・。
中世フランスという、なかなかなじみにくい時代が舞台ではあるが、
なんのなんの。後半に行くにしたがって
小説としてのテンポの良さが心地よく、ぐいぐい引き込まれる小説だった。
前半にある、「女性蔑視」とその対比。
あれよあれよと弁護に立ち、
その手腕たるや、さすがインテリ。
うん。爽快。
そうなっちゃうんじゃないか、っていう
ある意味僕の期待通りの・・・。
面白かったですよ。 -
初読は10年前ですが、何度でも読みたくなります。
登場人物がとにかく魅力的で、最後まで一文も無駄がない。
"負"を背負わされた人間が生きるために戦い、自力で勝利を勝ち取る爽快感。読む価値のある快作です。 -
1498年フランス。王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して離婚裁判を起こした。孤立無援の王妃に対し、かつてパリ大学きっての秀才と謳われた伝説の男、フランソワ・ベトゥーラスが弁護を担当する。中世ヨーロッパ王族の教会裁判という、なじみのない題材を扱っていながらも、魅力的で生き生きとしたキャラの数々、真面目な顔して卑猥な裁判内容、権力同士の力関係、正体不明の暗殺者、美しい恋人との悲恋、惨めな過去、意外な秘密、ちょっとしたエロ、とエンタメ小説の要素がふんだんに盛り込まれていてグイグイ読ませ、史実に基づいていながら読後感もこの上なく爽快。傲慢な天才であるが故に大きな挫折を味わい、パリを追われ田舎弁護士に落ちぶれた主人公フランソワがすごいイイ。ジャンヌ父に恨みを持っていながら、絶大な権力に理不尽に苦しめられるジャンヌを見過ごすことが出来ない、屈折しながらも正義感溢れる伝説の男。「インテリは権力に屈したら終わりだ。意味がなくても逆らえ。」というセリフの似合う男って、最近なかなかいないよ。
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中世フランスにおける、国王ルイ12世とその王妃との離婚裁判をテーマにした小説。
ラストはどうなるかと思ったが、なかなか良い終わり方でした。
西洋歴史小説に手をつけたのは初めてだったが、非常に面白く読めた。 -
▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/030104863